Amazonプライム・ビデオ、日米での動きまとめ

ECのミカタ編集部

Amazonプライム・ビデオ、本格化!

 Amazonがプライム会員へ提供する「プライム・ビデオ」にて、日本でのオリジナル作品を充実させていく動きを見せている。今月に入って、新たに12作品の配信が発表された。

 プライム・ビデオとは、Amazonがプライム会員向けに提供しているビデオ配信サービスで、年会費3,900円を支払えば、追加料金なしでAmazonが提供するコンテンツ・サービスを制限なしで利用できるというものだ。今回のプライム・ビデオはそのコンテンツの1つである。

新たに発表された12タイトルのオリジナル作品の一部を以下に紹介する。
・はぴまり~Happy Marriage!?~
・RAKUEN 三好和義と巡る楽園の旅
・Invisible TOKYO
・ベイビーステップ
・HITOSHI MATSUMOTO presents ドキュメンタル

「はぴまり~Happy Marriage!?~」では出演者にディーン・フジオカや清野菜名や藤原紀香といった著名人を起用している。作品をより多くの人に配信したいというAmazonのプライム・ビデオに対する力の入れ具合が伺える。

米Amazonの動画に対する動き

 アメリカのAmazonの動きとしては2015年12月27日にアマゾン・ドットコムのCEO、ジェフ・ベゾス氏が年間16本の劇場映画を作成し映画業にも本腰を入れているとして話題を集めた。映画の製作はアマゾン傘下の「アマゾンスタジオ」が担当し、「トランスペアレント」という作品はエミー賞やゴールデングローブ賞を受賞している。アメリカでは既にAmazonが作成したオリジナル作品が評価されているのだ。

 そして今回、日本のAmazonでもプライム・ビデオにおいてオリジナル映画・ビデオコンテンツに力を入れているといった流れである。このオリジナル作品が多くの人の注目を集め、ヒットをたたき出せば、作品見たさにプライム会員は更に増加していくだろう。

 株式会社インプレス(以下、インプレス)が発表している『動画配信ビジネス調査報告書2016』の結果からも、日本における動画のニーズを読み取ることができる。

 動画配信サービスの利用率は、「3カ月以内に、有料の動画配信サービスを利用したことがある」と答えた人が9.2%であった。昨年と比べると1.5ポイント増加している。これは日本において動画配信サービスが浸透してきた証拠だろう。また、3カ月より前の利用者も含めると、利用経験者は14.2%となった。

【利用サービス別の視聴頻度】

 また、利用サービス別の視聴頻度を見てみると、週に複数回以上視聴しているユーザーの比率は、Huluユーザーが73.2%、dTVユーザーが64.6%であるのに対し、Amazonビデオユーザーは49.7%と低い結果となった。ここでAmazonがオリジナル作品を充実されることで、ユーザーが増え、利用者の巻き返しをすることは可能だろう。

【利用しているVODサービスの料金体系】

 利用しているVODサービスの料金体系の調査では、定額制のサービスを利用しているユーザーは合計で86.6%、都度課金を利用しているユーザーは合計で20.6%となった。都度課金のみの利用者は昨年より9.9ポイント減少し、定額制への移行が進んでおり、定額制で動画作品を見たいというニーズは高まっていることがわかる。

 現在、動画配信サービスの需要が高まってきていること、そして動画配信サービスにおいて定額制で支払う利用者が増えてきていること、そこにAmazonがプライム・ビデオに力入れることで今後プライム・ビデオを利用したいという人はさらに多くなっていくことが予想される。

 日本においてプライム・ビデオがオリジナル作品により充実していくことで、Amazonのプライム会員に魅力を感じる人が増えてくるだろう。そしてプライム会員になることでプライム・ビデオが視聴し放題になるだけではなく、お急ぎ便・お届け日時指定便が無料で利用できたり、プライム会員先行タイムセールに参加できたり、Prime Musicを利用できたり等と様々なコンテンツ・サービスを体験することができる。

 今までAmazonは、EC事業に力を入れて商品を提供してきた。しかし近年、「モノ」を提供するだけでなく「コト」、つまりコンテンツの提供に力を入れていることが、プライム会員のサービス充実からも読み取れる。多方面から様々なコンテンツ・サービスを提供することで、Amazonは商品単体ではなく、生活シーンの提供をしているのではないだろうか。今後、人々の生活に更に根強くAmazonが存在していくことが予想される。今回の日本におけるプライム・ビデオのオリジナル作品充実は、その第一歩なのではないだろうか。


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