ヤフーの本気が物流と決済に〜流通総額1.5兆円突破のその先は
ヤフーの成長はさらに増して
ヤフー株式会社(以下、ヤフー)のまわりがなんだか賑々しい。
ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は2015年通期で流通総額1.5兆円を突破し、取引高の成長比率は、前年同四半期比で61.8%増をしたと発表されたのは、記憶に新しい。ここでキーになるのは、Yahoo!ショッピングと「LOHACO(ロハコ)」であり、また、それを取り巻く環境として、Yahoo!JAPANカードなどの決済の勢いも見逃せない。Yahoo!JAPANカードは有効会員数が221万人にのぼるなど、お得なポイント還元などにおいて、ECでも、そのメリットが存分に活かされ、勢いに拍車をかけている印象だ。
それは、今期に入ってからも勢いは持続している印象で、それは同社の次々と打つ新たな施策にも見て取れるように思え、次の決算発表でもその躍進を予感させる。
LOHACOで、もっと日常が変わる
その施策でまず注目したのは、ロハコの新たな配送サービスである。冒頭にも触れたロハコは、アスクル株式会社(以下、アスクル)が、ヤフーの協力のもと運営している通販サイト。主に、生活を支える日用品のものが多く扱われ、このジャンルにおいては、消耗するものが多いので、アプリなどで手軽に購入できるなど、非常に使い易く便利な仕様になっているのが奏功している。
そのロハコで取り入れた新たな施策「Happy on Time」と言って、今までなら商品を届けてもらうときに「午前中指定」など幅を持って指定はしなければならなかったものが、30分単位、1時間単位で可能になるということなのだ。8月末(予定)から、東京都千代田区、中央区、港区、江東区と大阪府大阪市北区と、福島区、此花区で実施される。
ただ、なぜ、こんなことが可能になるかといえば、配送計画や配送車輌状況をリアルタイムで管理・更新するテクノロジーがあるからなのだが、ここが時代のポイントであり、日立製作所の人工知能「Hitachi AI Technology/H」を導入するという。まさにこれまでLOHACOで培ってきたビッグデータが生かされる場面に来たということでもあり、それらのデータが最大限発揮され、また人工知能によって学習され、さらにブラッシュアップされていけば、その配送の時間の誤差は最小限になっていく、という。
ノウハウを持ち、また進化した技術をつかって、我々の生活を大きく変えていくYahoo!やアスクルが追求するECもある一方で、個々のEC店舗においては、改めて、自分たちの役割は何かと問うてみたい。
4月にデビューしたばかりの電子マネー「Yahoo!マネー」とは?
さて、ヤフーが関わるところでの変化は、決済でも見られる。確かに、先ほどの配送もそうだが、商品を買うという行動の中で、今後、決済が持つ役割はますます大きくなるだろう。それが、つい先日発表されたYahoo!マネーである。これもまた、今後のヤフーを担う上で、かなり大きな変化なのではないかと思うのだ。
Yahoo!マネーは言うなれば、電子マネーであり、それらは、硬貨同様、一円単位で買い物に利用可能だ。これらの電子マネーは、Yahoo!ショッピングやヤフオク!、ロハコといった同社が提供するサービスで活用できる。
これを話す上で、「Yahoo!ウォレット」について、説明したい。ウォレットの決済手段としてはクレジットカードと口座振替が中心だが、5月26日、新しく追加された機能が「預金払い」と「Yahoo!マネー」だ。この「預金払い」は、対象の口座を「Yahoo!ウォレット」に登録すると「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「LOHACO(ロハコ)」でのお買い物において、お支払いの際に銀行口座から即時に代金が引き落とされる決済手段だ。25 行の銀行口座に対応しており、年内に地方銀行を中心にさらに13行の追加を予定している。銀行口座から即時に代金が引き落とされるオンラインの決済手段において、25行もの銀行に対応しているのは「Yahoo!ウォレット」の「預金払い」が日本で唯一(※ヤフー調べ)だ。
次のページではYahoo!マネーというのは何なのかについて…
ヤフオク!利用時、Yahoo!マネーで受け取るとお得!
ここに新たに加わったのが、まさに、Yahoo!マネーだ。これは1円単位で買い物に利用できる電子マネーのこと。預金払い用口座からYahoo!マネーへとチャージして、このYahoo!マネーとして対象サービスのお支払いに利用できたりする。実際に、紙幣や硬貨がやりとりされることなく、決済が完結するので、便利である。さらに、ヤフーは、ヤフオク!で出品した際の落札代金をYahoo!マネーで受け取ると、落札代金の2%のYahoo!マネーが上乗せするなどのメリットも用意しているのだ。
こうすることで普段から、Yahoo!マネーとしてチャージしておけば、今までにもまして、ネット通販がやりやすい環境が整うために、これから先、おそらく、ヤフーは、このYahoo!マネーに力を入れてくるのではないかと思っている。
何気ない変化と言いつつ、時代の流れを受けて、効率化を徹底することで、お客様の利便性が向上する土台ができつつあるのは、やはり今後のECにかける期待と意気込みと情熱の表れなのではないかと思う。ネット通販をやる以上、これらの動きに対して、常に敏感であり、それらの動きを逆に利用できる柔軟性こそが、これからの店舗に求められることなのではないかと思う。