Amazonのシェアを取り返せ! 日本の「おもてなし」と受注管理
山本哲也のコラムはこちら
コラム#1:今導入すべき? 受注管理システム、外部依頼の検討ポイント
http://ecnomikata.com/ecnews/strategy/6423/
コラム#2:あなたの会社に最適な受注管理システムがわかります!
http://ecnomikata.com/ecnews/backyard/6503/
受注管理システムの未来
前回は受注システムの選び方をお話しいたしました。今回は完全に自動化された受注管理システムとその先に見えるネットショップの本質についてお話しさせていただきます。
私が代表を務める株式会社ZONZONでは、カスタマイズ専門の受注管理システムを開発しており、日々多くの店舗様から自動化のご依頼を受けております。よくあるお問い合わせが「こんな事は自動化できますか?」というお問い合わせを頂きます。それに対する答えは「自動化したい内容を紙に書くことができれば自動化は可能です」とお答えします。紙に書くということは、自分が思っている内容を理論立てて説明する必要があります。口頭とは違い、暗に思っていることを相手は読み取ってくれないからです。例えばこんな感じに明記出来れば自動化可能です。
「東京都のお客様にA商品を12月24日にお届けする場合には、千葉の委託倉庫から佐川急便を使って、宅配便で送る必要がある」
上記条件を自動処理するためには以下のマスターを使います。
・お届け先マスター
・商品マスター
・倉庫マスター
・運送会社マスター
・配送方法マスター
お届け先マスターで最も近い倉庫を判定して、商品マスターで在庫状況を確認して、倉庫マスターで出荷指示のデータを確定して、運送会社マスターで最も安い運送会社を判定して、配送方法マスターでお届け希望日を指定できる配送方法を判定して、、、という感じです。この処理は自動化によりコンマ1秒以下で処理されます。第一回目の記事の「受注システム導入方程式」は上記のような自動化カスタマイズの案件にも利用することができますので、現在手動で頭がいっぱいになりながら受注処理をしている店舗様は検討してみてください。
自動処理は夢のようなシステムにも思えますが、
「東京都でも離島がある」
「委託倉庫では代金引換は利用できない」
「Aの商品と一緒に愛知の倉庫にしか在庫のないB商品を一緒に購入されたので二つの倉庫に出荷指示を出さないといけない」
などなどなど・・・・・
"完璧な自動化"の為には滅多にないケースも事前に考えておく必要があります。1000件に1件ぐらいしかない特殊なケースでも1万件あれば10件になってしまいます。仮に例外を含めて全ての受注パターンをプログラム化できれば受注処理のスタッフを0人にすることも可能です。弊社のクライアント様でも0人はまだありませんが、限りなく0人に近い状態の店舗様もみえます。
自動で注文情報を取り込み、自動でレビュー割引や追加送料、手数料を判定して、自動で適切なサンクスメールを送り、自動で運送会社を決めて、自動で配送伝票を印刷して、自動でピッキングリストを出力して、自動で出荷メールを送信して、自動でクレジットカードや銀行振込の入金消し込みをして、自動でフォローメールを送る。スタッフの方が行うのは想定していなかった例外を探す作業のみです。例外が1ヶ月の間に1件もなければ、その月の受注処理の人件費は0円です。
しかし、絶対に自動化できないのが「注文時にお客様が記入される備考欄」です。「領収書を山本の名前で一緒に送って欲しい」ぐらいであれば、注文フォームを工夫することにより自動化も可能ですが、
「配送前に000-0000-0000に電話して欲しい」
「発売前のAの商品も買うので、送料無料の為に出荷を待っていて欲しい」
「今回買った商品とコーディネートできる商品があれば教えて欲しい」
の様な備考欄にはコンピューターはお手上げです。備考欄を設けないという判断もあります。それが、Amazonです。
Amazonは備考欄を設けておらず、上記の様な個別の対応は一切しません。受注管理コストを少しでも下げて、販売価格を抑えて競争力をつけることも重要ですが、その先にはAmazonという巨人が待ち構えています。(個人的にはAmazonと真っ向勝負したいです。シビれる戦いをする為には戦力が必要ですので、虎視眈々と狙っている企業様がみえたら是非誘ってください)
「電話で商品について詳しく教えてもらえて助かりました」
「前回買った商品がとてもよかったのでリピートです」
「新作の商品はいつ販売ですか?」
お客様は備考欄やメールでの問い合わせを通して、ネットショップとの繋がりを求めています。商品を買うのではなく、ネットショッピングという体験にお金を払っています。受注管理の自動化を進めることにより、極限まで効率化することは可能ですが、備考欄への対応は"人"でしかできません。お客様は見ていない様で店舗の対応によって、個性、モラル、仕事に対する誠実さをしっかりと見ています。
Amazonに商品について問い合わせている人は見たことがありませんが、私がお伺いする店舗様では自社の商品に対する問い合わせに真摯に対応されているスタッフの方をよく見ます。備考欄以外は完全自動化は可能です。しかし、合理化の権化のAmazonに立ち向かうにはそれだけではまだ足りません、備考欄などのコミュニケーションが唯一の武器となり突破口となります。
日本人の誠実さ細やかな気配りを武器として、世界標準のITサービスを生まなければいけない時に来ています。