アリババ書き入れ時の「独身の日」 APEC中の交通規制と重なり影響?
大気汚染対策で大規模交通規制 配達物流面への影響は
中国で11月11日の「光棍節(こうこんせつ:独身の日)」といえば、中国のEC企業各社が値引き合戦など行い盛り上がりを見せる書き入れ時の一大イベントである。中国では独身者のことを「光棍」と呼んでおり、「1」が4つ並んだこの日が「独身の日」とされている。近年の中国では、伝統的なイベントの他にもクリスマスやバレンタインなど西洋のイベントなど、イベントや記念日が定着し盛り上がりを見せており、中でも「独身の日」はモノが売れる日として企業にもユーザーにも大きな商機として生活に位置付いている。
今年度より米Amazonが商戦参入する中、中国大手EC企業のアリババグループは、この日一日で500億元の取引額を目標としているとの現地メディアの報道があるなど、イベントにかける意気込みもうかがえる展開が続いていた。そのような中、ロイターの報道では7日、アリババグループ会長の馬雲(ジャック・マー)氏が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)開催中の交通規制の関係により配達に影響が出る可能性があるとの見解を示したという。
APEC関連会合が5日より北京で始まるのを前に国際舞台でのイメージを良くするため、中国政府はPM2.5などによる深刻な大気汚染対策とし3日より自動車の通行規制を行っており、12日まで続く予定とされている。ナンバーの末尾を偶数奇数に分類し交互に通行させるなどし、周辺の天津市や河北市でも同じように規制が行われる。
通行規制の影響に対し「APECのおかげで空気がきれいになった」などの声が現地ネット上で書き込みが見られるなど、市民生活には歓迎の受け入れがなされている反面で、物流配達事業者の間では配送の遅れを告知するなどして注意喚起を行っている。
また、地下鉄やバスの利用者が一日あたり延べ300万人増えるなどして、駅の混雑などにも影響は出ている。
一大イベントの弊害となる交通規制 アリババの売上にどう影響を与えるか
365日中たった1日の一大書き入れイベントに、国の交通規制が重なってしまうという事態が売上にどう影響するのか気になるところである。
もちろん割引きセールなどは従来通り行われるため、「モノが届くのが遅くなるなら今年はやめておこう」と思うユーザーが多いか、「多少遅れてでも買っておこう」と思うユーザーが多いか。「どのくらい遅くなるものなんだろう」と、普段との比較を楽しむユーザーなども出てこないとは限らず、案外「規制」という制約が購買行動に対しては希少価値のようなプラスを与える可能性がある気がしないでもない。
「独身の日」商戦のくくりで捉えた場合一番しわ寄せが集中するのは、遅れに対するクレームや膨れ上がった物流案件を処理しきれず勤務に長時間かかってしまうなどの恐れのある物流配達事業者であろう。
11月11日は明日。どんな話題がニュースに上がり、数字に与える影響などどのようなものなのか、気になる話題である。