ヤマト運輸、北海道奥尻島で「客貨混載型」公共ライドシェアの実証運行開始

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ECのミカタ編集部

 北海道奥尻島で、ヤマト運輸のセールスドライバーによる客貨混載型の公共ライドシェア「島のりあい」の実証運行を開始

ヤマト運輸株式会社と北海道奥尻町は2025年8月29日から、ヤマト運輸の集配用ワゴン車両を活用した客貨混載型の公共ライドシェアの実証運行を開始した。この実証は「奥尻島民で助け合い『島のりあい』実証プロジェクト」の一環として実施される。

客貨混載型の公共ライドシェア

奥尻町は、北海道南西部の日本海に浮かぶ離島で、人口は約2100人。高齢化率は約41%にのぼり、日常の買い物や通院、観光客の周遊などにおける移動手段の確保が喫緊の課題となっている。

こうした状況を受け、奥尻町とヤマト運輸は「公共ライドシェア制度(自家用有償旅客運送)」を活用し、地域にある車両・人材・物流の力を掛け合わせることで、持続可能な移動支援の仕組みづくりに取り組む。

◆実証運行の概要
▷期間:2025年8月29日〜12月末(予定)
▷運行時間:8:00~19:00
▷運賃:実証期間中は無償で運行
▷運行車両・ドライバー
 (1)ヤマト運輸の集配用ワゴン車両(2025年9月中に一般貨物自動車運送事業許可取得予定)。ヤマト運輸のセールスドライバーが日中の業務時間帯の空き時間を活用し、客貨混載で運行。
 (2)町管理車両または町リース車両(2025年9月中に開始予定)。町民ドライバーが副業・地域貢献として参加し、主に夕方〜夜間帯の観光・生活移動に対応。
▷利用者:奥尻町民・観光客など
▷運行エリア:奥尻島内全域
▷予約方法:電話予約のみ
▷予約時間:8:00~19:00
▷予約締切:翌日午前便→前日19:00、午後便→当日午前中(運行状況により対応できない場合あり)
▷運行管理体制:乗務開始前・終了後の点呼、アルコールチェック、運行記録、車両の日常点検など実施

※画像元:北海道奥尻島で、ヤマト運輸のセールスドライバーによる客貨混載型の公共ライドシェア「島のりあい」の実証運行を開始(ヤマト運輸株式会社)

離島の時間的「交通空白」解消を目指す

本実証は、国土交通省の「『交通空白』解消緊急対策事業(令和7年度『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト)」の採択を受けた「奥尻島民で助け合い『島のりあい』実証プロジェクト」の一環として、以下を主な目的として実施される。

◆移動ニーズの把握(時間帯・エリア・利用目的・対象者などの実態を可視化)
◆運行スキームの検証(配車・予約受付、ドライバー体制、運行管理・安全体制などを確認)
◆費用構造・運賃設計の検討(無償期間の利用実績を踏まえ、本格運行時の利用料金体系・ドライバー報酬設定などを整理)
◆「一人多役」モデルの可能性の検証(町民ドライバーの参加形態・育成手法・資格要件などを確認)


また、この「島のりあい」は地域の移動を地域自身の担い手で支えることを重視。町民が副業などでドライバーを担う住民参加型モデルの実証も2025年9月中の開始が予定されている。

ヤマト運輸では今回の実証結果を踏まえ、2026年度以降の本格運行(有償運行)に向けて、「運賃設定・報酬水準の決定」「予約・配車の委託スキーム」「町民ドライバーの継続的な確保・育成策」を段階的に構築することも公表している。物流と旅客輸送を組み合わせた「客貨混載」型で、離島の時間的「交通空白」解消を目指す取り組みとして、期待が寄せられる。

※画像元:北海道奥尻島で、ヤマト運輸のセールスドライバーによる客貨混載型の公共ライドシェア「島のりあい」の実証運行を開始(ヤマト運輸株式会社)