いつも、「EC事業者の実態調査2025」を公表 仕入れや運用コスト上昇の影響大
株式会社いつも(以下、いつも)は2025年6月10日、全国のEC事業者を対象に2024年の振り返りと2025年の展望をまとめた「EC事業者の実態調査2025」の結果を公表した。
調査概要
◆調査期間:2025年2月20日~3月11日
◆調査機関:株式会社いつも
◆調査対象:全国のEC事業者
◆有効回答数:188社
◆調査方法:インターネット調査
◆出典:EC事業者の実態調査2025(株式会社いつも/調べ)
「2024年、EC事業に影響を与えた要因」のトップは「物価上昇」
2024年のEC事業に最も影響を与えた要因として、「物価上昇」が56%と最多を占めた。また、「広告費の上昇」も上位に挙げられ、全体の約8割が仕入れや運営コスト上昇に直面していることが明らかとなった。
商材カテゴリー別では、「食品・飲料」が特に物価上昇の影響を強く受けている一方、「日用品・ヘルスケア」や「美容・コスメ」では比較的影響が少なかった。
いつもは「第2位の『競合との競争激化』、第3位の『広告費の上昇』がそれぞれ前年比で大きく上昇している点が特徴的です。競合との競争激化によって広告単価が上昇しており、関連があるものと見られます」と分析している。
二桁増を目指す事業者は前年より3%減
「2025年のEC売上目標」について、「昨年比で10% 以上の成長を目指す」事業者は62%となっており、前年から3ポイント減少。一方で、「昨年比で0~10%の成長を目指す」との比率は34%と、前年より9ポイント増加した。
商材カテゴリー別では「アパレル・ファッション小物」の74%が「昨年比で10%以上の成長を目指す」と積極的な姿勢を示している。
価格を上げられない時代の利益戦略不在
「2025年にECで取り組みたいこと(複数回答)」については、「EC業務の効率化」が61%でトップに。前年から12ポイント増加しており、限られた体制下で事業が運営されている様子がうかがえる。
第1位の「EC業務の効率化」と第2位の「EC事業戦略の見直し」どちらか一方でも回答した人は全体の75%と大多数を占める。また、第3位の「新商品の開発」、第4位の「SNSの強化」、第5位の「販促効率の見直し」は、それぞれ前年から大きく増えてトップ5入りする結果となった。
いつもはこの傾向について、「従来の商材や従来のプロモーション手法では差別化が難しくなってきている」と分析し、「価格を上げられない時代の利益戦略不在」が浮き彫りになったともコメントしている。
変化する状況の中で、常に柔軟な対応を取ることが求められるEC事業の実態をうかがわせる調査結果だと言えそうだ。