左：株式会社ipoca 代表取締役社長 一之瀬　卓氏
右：ヤフー株式会社 メディアカンパニー生活メディア事業本部長 津森 暁史氏

記者の視点：
リアル店舗の商品情報、在庫情報がネットで検索可能になったことで、リアル店舗とネットショップの垣根が小さくなっている。

Yahoo!ロコ×NEARLY、ネット通販への影響は？

ネットショップとリアル店舗との垣根が小さくなるサービスの提供が本日より開始された。つい先ほど、六本木ヒルズにて、ヤフー株式会社（以下、ヤフー） メディアカンパニー生活メディア事業本部長 津森 暁史氏と株式会社ipoca（以下、ipoca） 代表取締役社長 一之瀬　卓氏の登壇による両社の業務提携に関する記者発表が行われた。今回の業務提携により、ipocaが持つ日本最大級の店頭情報データをYahoo!ロコに提供し、その結果、本日よりYahoo!ロコから、80施設、9350店舗で取り扱う商品関連情報を閲覧できるようになったのだ。

ipocaが持つ店頭情報データとは、NEARLY（ニアリ）というスマートフォンアプリが提供する情報を指し、ニアリを使えば、店頭に置かれている商品や、その在庫情報などを知ることができる。つまり、リアル店舗であるにも関わらず、店舗に行かずともその商品がわかるのだ。リアル店舗の課題として、特定の店舗情報をチェックしないユーザー（ライト層）への電子媒体によるプロモーションが挙げられ、ニアリはこのライト層のユーザーに対して情報を届ける電子媒体としてその役割を果たすというのだ。

ipoca 代表 一之瀬氏は 「スマートデバイスの普及により、ネットで情報収集の場が街中になっている。」とし、今回のヤフーとの業務提携により、「街中で売っている実際の小売りの商品と消費者のニーズ、こちらをマッチングする文化というものを作り始める。」と語っている。

またYahoo!ロコはお店にとどまらずホテルなどの施設の情報を検索、予約できるサービスだ。月間総ユニークブラウザは約4773万UBに上り、地域情報サービスとして最大級である。今回の業務提携に関してヤフーの津森氏は「検索サービスとしてしかも地域の情報に限った形で提供していくサービスとして提供してきたが、今後は、これまでの”店舗”情報を提供するサービスから”店頭”情報を提供するサービスにしていきたいと考えている。」と話し、これを”行動支援”と表現した。「どこにどんな店舗があるのかだけでなく、今どういった商品を取り扱っているかといったところまで提供する。それがお客様が実際に店舗に足を運ぶには必要な情報だと考えている。」と続けた。

具体的な提携の内容としては、
・Yahoo!ロコ内に商品関連情報を掲載
・Yahoo!ロコ内で商品関連情報を検索
・Yahoo!ロコ以外のYahoo!JAPAN地域サービスとの連携推進
の3つが発表された。

Yahoo!ロコ以外でのサービス連携はこれから進めていくということだったが、将来的にはYahoo!地図上で商品情報が掲載されるということも考えられる。ユーザーにとってはより簡単に買い物ができ、リアル店舗にとっては新たなプロモーション手法として拡大していくことが期待される。

さて、今回のこの動きだが、ネットショップへの影響がどう出るか？これは記者の予想になるが、これまで店頭でほしい商品が見つからないからという理由でネットショッピングをしていた人が、店頭での購入に流れる可能性がある。もちろん、重いものを運びたくない、店頭まで行くのが面倒といった場合にはネットショップの利点が生きるのだが、ほしいものは大抵見つかるという利点は、ネットショップだけのものではなくなってしまうかもしれないのだ。そういう意味で、ネットショップとリアル店舗の垣根は小さくなると思う。

また、ヤフーショッピングとのシナジーに関してだが、今回の記者発表では津森氏は「今回の業務提携は店頭に向いているお客様に向けたものであって、ECとのシナジーは特に考えていない。」と話している。しかし、長い目で見れば、店頭にある商品もネットショップで購入できる商品もどちらの情報もヤフーが提供する。つまり、買い物するならヤフー。という状況が作り出せるのではないかとも思うのだ。これが実現するか、そんな狙いがあるのか、真意のほどはわからないが、いずれにしろ、ネットショップを運営していくにおいて、リアル店舗の動きにも敏感にならなければいけない時代になっている。それは確実なのではないだろうか。

また、本日の記者発表では特別座談会「スマートデバイスの普及がもたらす集客、購買活動の変化について」も行われた。こちらに関しては今週中に続報としてお伝えする。