役員が語ります。楽天の情報共有会「R-Camp」開催
楽天、20周年目前の”今”
楽天株式会社(以下「楽天」)は、27日に楽天役員による情報共有会(通称「R-Camp」)を実施。ここでは、現在の楽天市場の状況や今後の展開、そして毎回異なるテーマでサービスの紹介などが行われ、プログラムの最後にはQ&Aセッションも実施される。まず登壇したのは、上級執行役員である河野 奈保氏。
20周年を目前とした2016年のテーマなどを語った。今年の楽天市場の注力テーマは2つあり、まずは”品質への徹底的なこだわり”だ。「安心・安全への取り組み(広範囲にわたる包括的施策)」「Voice of Merchants(店舗様からの声)」「Voice of Customers(お客様からの声)」「UI & UX(使い勝手)」という、この4つのPDCAサイクルを回していくことで、顧客満足度の最大化を図る。
2つ目の注力テーマは”魅力あふれる楽しくお得なお買い物”。70以上のサービスを提供し、アカウント数は1億にまでのぼる楽天では、やはりサービスを複数利用するクロスユーザーが多いという。今後も、ポイントキャンペーンに頼らない、SPU(Super Pint Up)プログラムという常設の取り組みによって、楽天市場を中心にユーザーの生活を豊かに、そして便利にしていくという。
そういった取り組みの中で新たな商品との出会い方を提案するサービス、「ROOM」について、楽天市場事業部 編成第二部 ROOMグループ 編成企画グループマネージャーの山下 純一氏がサービスの紹介にあたった。
Not ランキング!センスで商品を選ぶ「ROOM」
「ROOM」とは、”「欲しい!に出会える。」キュレーションメディア 〜モノからモノだけでない、モノからヒト、ヒトからヒト、ヒトからモノ、という新しい出会い方〜”がコンセプトとなっており、日頃から楽天市場をよく利用しているお買い物の”目利き力”のある人たちが集まる。
具体的にどのようなサービスなのかといえば、楽天市場の商品ページや購入履歴から、商品のオススメしたいポイントや実際に使った感想などとともに投稿することができ、ユーザー層は楽天市場と類似しており、やや女性が多く、やや若いという。
数多くの商品が掲載されている楽天市場では、やはり、自分の好みに合った商品に出会うのがなかなか難しいのだが、「ROOM」によって自分のがピンとくる、「いいね」と思えるモノに出会え、その商品がすぐに買えることができるのだ。
そして、自分のセンスを発信し、趣味で繋がることができるのも、趣味やこだわりを持つ人々にも嬉しいことだ。そして、何よりも「いいね」に加えて楽天ポイントがもらえるというのも大きなポイントではないだろうか。自分が投稿した商品を他のユーザーが購入すると、5%のポイントが還元される。ROOM経由の売り上げを100万円以上あげたユーザーもいるというから驚きだ。
楽天市場未経験者が「ROOM」から楽天市場ユーザーに
このR-Campには実際に「ROOM」のユーザー3名が登壇し、対談が行われた。3人それぞれの「ROOM」のテーマやこだわりが紹介された後、一問一答の時間へと移る。ブログやSNSなど他のメディアとの違いについて、「ブログは文章の構成を考えたり、アフィリエイトを貼ったりと時間がかかるけれど、『ROOM』はすぐに投稿できて、反応も速い」という声が。
確かに、ブログであると”読まれる記事”を書き、誰かに見つけてもらうためには時間がかかるが、「ROOM」ならば自分のセンスでフォローすることができ、自分だけの世界を作り上げ、そしてそれを共有することができるのだ。
また、Instagramとの連携も楽天では促進している。Instagramでは現在、投稿にURLを入れることができず、唯一URLを入れられるのがプロフィール画面1ヶ所のみだ。ここに「ROOM」のリンクを貼ることで、「ROOM」ページへ誘導し、Instagramの世界観を崩すことなくスマートに、お小遣い稼ぎができるため、若いモデルも活用しているようだ。
この「ROOM」の存在意義というのは楽天市場のランキングに登場しない商品に光が当たるという点にあるのではないだろうか。ランキングに登場する商品は、売れ筋商品で、そして誰しもが知っているものであることが多い。しかし、例えば、世界的なSF映画「スター・ウォーズ」に登場するダース・ベイダーを模した吉徳大光の鎧飾り。高額商品であるゆえにランキングには登場しにくいのだが、「ROOM」の「あなたの『#スター・ウォーズ』コレクションをつくろう」という企画を機に販売数が伸びたという。
「ROOM」を使い始めてから、楽天市場を利用するようになったという方もいるそうで、楽天市場のユーザーを増やす施策としても一役買っているようだ。
初のR-Camp。いずれは三木谷氏も登場か?
プログラム最後にはQ&Aセッションが行われた。「ROOM」に対する質問はもちろんのこと、その他、楽天市場の戦略的な部分についても質問が飛び交う。その中からいくつか抜粋すると、「今後、コンテンツマーケティングを強化していくのか。」という質問に対して、今後もタレントや雑誌とのコラボなどを活用し、強化していくとの回答が。
これまでも、記事を使ったコンテンツを増やして行きたかったのだが、キャンペーンを実施する方ががやはり、目に見えた結果が出ていたようであった。しかし、現在はキャンペーンに頼らずに新規のユーザーも増えているという状況だそうで、今後は、モノをただ並べるのではなく、季節のイベントごとに新たな企画を自ら作っていくことに注力していくという。河野氏は言う。「単純に広告でモノを売る時代ではない。」と。
初回となるR-Campは次の河野氏の言葉で締めくくられた。「なぜこのような場を設定しているかといえば、開示できませんとか、公開されていないので、ではなくて、ほどほどに可能な限りはお伝えしていかないと、と考えています。良くも悪くも課題はありますし、だからこそ改善しようと色々なアクションをしているので、ちゃんとこの場ではお伝えしようと思っています。」
記者会見の中でも質疑応答の時間はあれども、このようなざっくばらんに話をすることのできる機会というのは、なかなか稀なことであろう。ただの広報という意味でなく、会社を正しく理解してもらうための取り組みと捉えることができる。今後も定期的に開催され、代表取締役会長兼社長の三木谷氏が登壇する機会もあるそうなので、今後も引き続きR-Campの様子をお伝えしていこうと思う。