多品種、小ロットな商材が多い「ゆめ画材」の物流を支えるサービスとは?
自社とモールの計4店舗を展開し、画材の小売を行う「ゆめ画材」。多品種かつ小ロットの品揃えであるため、物流面でコストがかかり、システム連携などの課題を抱えていた。そこをクリアにしたのが、1SKU、1個からでも受託する神戸の総合物流会社、株式会社エスグロー(以下、エスグロー)だった。
ゆめ画材を運営する、株式会社谷口松雄堂のインターネット事業部 部長 佐竹博文氏と、株式会社エスグローの統括部長 中村宗寛氏にお話を伺った。
対応力、開発スピード、低コスト。エスグローの物流にはすべてが揃っていた
佐竹氏:今年16年目になるゆめ画材は、10万点以上のアイテム数を取り扱っており、現時点で5万ピースほどの在庫を保有しています。物流は通算3社の大手企業にお願いしてきた経緯がありますが、当時抱えていたロジ業務に関する課題と管理コストを抑えるため、新たに3社の物流会社から見積もりを取りました。
管理コストの部分だけを見ると実は1番安くはなかったのですが、開発のスピードや対応力が素晴らしく、中村さんの人柄からも、口だけではなく実行力があることを感じました。
弊社の場合は品数が多いので、商品がどう動いていて、どこでトラブル起こりやすいか、といったことをトレースできない物流会社にはとてもお願いできません。その点エスグローさんは現場をよく把握しておられたので、スタートしてから新たな課題が出てきても、解決していけると確信したのです。
そう感じた理由は、中村さん自身がWMSシステムを手掛けており、弊社が課題としていたところを解決してくれたからです。中村さんは営業をしながらシステム設計もでき、提案力、ソリューション能力が非常に高いですよね。
中村氏:倉庫側のシステムと店舗さんの管理システムとでは、いろいろな仕組みが絡むので、どうしても矛盾が生じます。その間をロスがないよう、緩衝していくカラクリをつくり、セキュリティ面にも配慮しながら、連携をゼロからで作ったことが、御社のニーズにマッチしたということですね。
佐竹氏:これは、営業とエンジニアが分かれているような会社ではとてもできないことだと思います。中村さんは、レスも非常に早いですよね。
中村氏:「できない」と言ってしまうとそこで終わってしまうので、できる方法を考えて、他社の見積もりが必要な送料などは除いて、基本は即答させていただいています。
僕自身は大手物流の会社の現場作業員から、現場管理、物流事業所の統括、海外での業務の立て直しなど、物流におけるあらゆる現場を経験してきました。
そこで感じたのは、現場作業は大手企業の用意したシステムオペレーションの流れに乗って動いていくので、管理といっても人を管理していく「下を見る管理」しかできず、「向上する管理」はやがてなくなっていくということ。システムを設計した人は現場にいないため、効率よく使うかどうかは作業する人次第になる。年月が経つと、そこの矛盾点が浮き彫りになってきます。
僕はその時点でもう一度システムを見直し、設計した人の思いが入っていながら、現場で使われず放置されているようなシステムを活用しながら、効率化するための改善策を練ってきました。こうした経験から、さまざまな課題に対してすぐにお応えできる力を身につけられたと思っています。
佐竹氏:エスグローさんに物流をお願いすることで、コストも売上に対して7.42%から、6.43%に下げることができ、非常に助かりました。
多品種小ロットにありがちな誤出荷を、限りなくゼロに近づけるために
佐竹氏:ECを運営する上で、本来誤出荷はゼロでなければいけません。しかし、これがなかなか難しい。弊社でも0.04%の誤出荷があり、これをゼロに近づけるために、なぜ誤出荷が起こったのをしっかりトレースする仕組みが必要でした。商品の中でも竹ひごなどの材料は、JANコードもなく管理が大変です。
中村氏:バーコードのないものは、入荷予定をいただき、その予定に合わせてバーコードシールを発行しています。入荷されたらそれを貼り付けることで、在庫管理や出荷の際のピッキング作業において、物の流れがしっかりと追跡管理できる。大手物流会社であれば「バーコードシールを貼ってから納品して」と言われるようなところも多いと思いますが、弊社ではシールの発行、貼り付けまで対応しています。
一般に、物流において重要視されるのは出荷の作業ですが、実際の優先順位は入荷、在庫管理、出荷の順です。在庫管理がおろそかな倉庫は入荷もおろそかになる。そういうところを業界内では、物の管理ができている「管理倉庫」と比べて、ただ物を流すだけの「作業倉庫」と呼んでいます。
入荷は非常に大切ですので、弊社では初期段階で打ち合わせさせていただき、入荷予定を必ずいただけるようお願いしています。入荷予定に合わせた運用を考えられますし、出荷に関して必要なデータも見えてきます。それらを総合的に見ながら、ヒューマンエラーが入らないシステムを構築しています。
倉庫を個建貸しに引っ越すことで、在庫数減、出荷数アップ!
佐竹氏:エスグローさんの提案で、倉庫は坪貸から、在庫個数で家賃を払う個建に引っ越しましたが、本当によかったと思っています。でも普通の物流倉庫さんだと、月によって家賃が変動する個建より、安定収入が入る坪貸のほうがいいと考えるのでは?
中村氏:普通はそうですね。しかし弊社はその逆で、商売するうえで店舗さんに「在庫滞留させたら余計な家賃がかかるので、どんどん稼働させよう」という意識を持っていただきたいのです。店舗さんとしては、運用回転を上げればコストが下がりますし、弊社としても、空いたスペースに新たな荷主様を誘致して、同じスペース内で売上をどんどん上げていくことが可能となります。
佐竹氏:個建の仕組みのおかげで、今はデッド商品を把握し、特別価格にしたり、稼働させるなどの工夫をしています。そもそも商品は経年変化するものなので、滞留させないほうがよいのは当然のこと。しかし坪貸のときは、そのことに意識が向いていなかったですね。今は坪貸の頃よりも1万点ほど在庫数が減り、出荷件数は増えている状況です。
商品の管理がしづらく、物流に困っている店舗さんのお役に立ちたい
佐竹氏:エスグローさんの倉庫はとても綺麗ですよね。
中村氏:通常、倉庫といえば粉塵が多いイメージかもしれませんが、その原因は木のパレットにあります。弊社では倉庫内を清潔に保つため、プラスチックのパレットを使用しています。特にEC物流では商品を段ボール単位ではなく、ピースごとに取り扱うため、ほこりがつきやすく、クレームの原因になってしまいます。弊社の倉庫でしたらその心配はありません。
また倉庫の建物は全館監視カメラがついており、セキュリティ対策も万全。元オフィスの建物ですので、室内空調も完備しており、ご覧になった方からは「倉庫らしくない綺麗さですね」と評価いただくことも少なくありません。
棚の整理整頓も独自の手法を用い、商品データをハンディターミナルで管理しながら、WMSと直結してリアルタイムでデータ、イコール、モノの流れになるようにしています。
弊社ではこうした設備やシステム開発力を生かして、商品点数が多くて管理しづらい店舗さんや、これから売り上げをどんどん伸ばしていくフェーズにきている店舗さんのお力になりたいと考えています。
中には他品種、小ロットということで物流会社から渋い顔をされているような店舗さんもいるかもしれませんが、弊社ではコンプライアンスに反するようなこと以外は「できない」といわずに対応していきたいと思っています。
単なる作業の受託ではなく、現状のデータに向き合って効率化するため、システマチックなお話からさせていただきますが「自社に合った物流システムを構築したい」とお考えの店舗さんと、いい関係を築いていければ幸いです。