最短1時間で越境EC自社サイトを立ち上げ!韓徳鵬氏が方正ではじめた『24ABC』
世界一のEC市場規模を持つ中国。中国人の興味は日本へ強く向けられ、越境ECの需要はますます高まりを見せる。そんな現状を受け、中国のEC業界で名を馳せる韓徳鵬氏が開発した越境ECプラットフォーム『24ABC』が正式リリースされた。中国2位の家電販売店「国美電器グループ」のEC事業責任者として、売上げを3年で148倍にも押し上げた韓氏。方正株式会社商品流通事業部長として捉えている中国越境ECのリアルと、中小EC企業が参入していくためのサービスを伺った。
ますます盛り上がりを見せる中国越境EC市場も、参入へのハードルは高い
日経新聞・朝日新聞や講談社といった新聞・出版に関するメディア系のシステム構築を長く手がける方正株式会社 、日中にまたがって事業を展開してきた同社が「総合越境ECプロバイダー」として新たな事業をスタートさせた。
「中国の国内EC市場も越境EC市場も高速で発展しています。関税や物流を改善したことで、日中間のインバウンド領域も発展している。グローバルな視点で考えても、中国越境ECはこれからまだまだ成長が見込める良い市場でしょう」そう語る韓氏。
かつては団体客のみだった中国からの観光客は、今やほとんどが個人旅行になった。中国人は日本について知見を広げ、個性的な商品や日本人が好む商品に興味が向きはじめている。日本滞在中は観光をメインにして買い物は商品を見るだけ、帰国後にECで購入するという中国人旅行者が増えているという。
「越境ECは日本独自の商品やカルチャーを輸出する意味もある。以前は関税や物流に手間がかかり商社が介在することでコストがかかったが、今では中小企業もECで簡単に販売するチャンスがある。大きなブランドでも小さなショップでもECなら1つの店舗。企業の規模とは関係なく、店舗が消費者と直接交流できるのがメリットです」と韓氏は言う。
気軽に行き来できる日中の距離はECの送料や配送スピードにおいても利点となる。日本商品の評価は高く売上は毎年上昇し、国内企業には中国人に販売したいというニーズがある。だが一方で越境EC自社サイトを作るコストやリソースの負担は莫大だし、海外モールへの出品では価格競争に巻き込まれる懸念があるのも事実だ。
スタートという大きなボトルネックを解決する、モールでも独自でもない新たな方法
「そういった中小企業のために考えたプラットフォームが24ABC。一言で表すのであれば『総合越境ECプロバイダー』です。PCの基本操作ができる人なら、1人で1時間あれば店舗が作れて、販売と運営の機能も全部ついている。今までは越境ECサイトを作るために技術・運営・メンテナンスといったチームが必要でした。それが一個人でできるようになります」韓氏はそう力説する。
ECを知り尽くした韓氏が徹底的にこだわった“簡単にスタートし、運営できる”ということ。24ABCはドラッグ&ドロップの簡単操作で制作からPR・運営までの機能が揃う。マーケティング・デザイン・IT・カスタマー・物流・決済まで、ありとあらゆるサービスを提供しているのだ。
「中小企業が越境ECの事業をはじめるために重要なベースの部分を、いかに低コストで提供できるかが最も重要な課題でした。その答えが『1人で1時間でスタートできるプラットフォーム』です」。
手軽にはじめられる24ABCだが、その後のオペレーションに行き詰まってしまっては意味がない。越境ECには言葉の壁はもちろん、市場の動向やプロモーション方法、決済・関税・物流など、ありとあらゆる問題が生じることが容易に予想される。
「システムプラットフォームの重要性は20%ほどだと考えています。残りの80%は運営面のオペレーション。自分で開発したり他のサイトを利用したりすると、スタートした後のメンテナンスコストが高くつきますが、24ABCのパッケージサービスであれば、追加コストをほぼゼロで運営していくことができます」韓氏はそう胸を張る。
ローコストで実現するハイクオリティかつオリジナリティ溢れるショップ
24ABCのほとんどの機能はスマホで管理できる。スマホで撮った写真をそのまま商品ページにアップできるという、SNSのような手軽さだ。
「豊富なプロモーションテンプレートも用意しました。デザイナーに依頼しなくてもクーポン券やポスター等の販促物をカスタマイズできる。セール表示のアイコン等も好みで大きさやレイアウトを調整できるので、素人でも個性的なページが作れます。さらにパッケージのサービスを利用すれば中国語スタッフによる運営サポートを受けられるし、中国のシーズンモチベーション等についてのアドバイスも発信していきます」。
中国語を話せるスタッフがいなくても、中国市場の動きを熟知していなくても運営が可能になる。さらにWeChat Pay、Alipay、銀聯カードに対応した国際決済も特徴的だ。高額な決済手数料の利率を下げられるうえ、売上げは日本円に換金されて振り込まれる。
「中国で注文した商品を日本の店舗で受け取れるO2Oの機能も用意しました。リアル店舗に取りにいけない場合でも滞在先のホテルまでお届けします。また、リアル店舗を訪れた際に商品のJANコードをスキャンすれば、24ABCアプリの決済手段で決済を完了させて商品を持ち帰れる仕組みもあります」と韓氏は説明する。
プラットフォームだけではなく、ECをからめたリアル店舗での関連サービスまでを提供していくというのだ。「中小店舗が悩んでいることをすべて解決できるようにした」と韓氏は自信をのぞかせる。
「商品ページの値段の表示方法にも独自性があります。日本円と中国元のどちらを大きく表示するかを選べますし、その日のレートを入力すれば全ての商品を一括で自動換算して変更できます。もし返品や交換が発生した場合も、2ヵ月以内であれば注文時のレートで計算するので、為替差損を被ることもありません。消費税増税を見越し、税率の一括変換機能も備えています」。
かゆいところに手が届くパッケージサービスが中国越境EC市場に変革をもたらす
市場調査にも1年以上をかけたという24ABC。日本のために細かいところまで気配りがなされ、難しいイメージのある越境ECを身構えずにはじめられそうだ。
「パッケージサービスを利用する場合は、指定の国内倉庫に送れば在庫管理や二次梱包・インボイス作成を含む国際配送まで代行します。国際配送の追跡機能等ももちろんついている。プラットフォームだけを利用することもできるので、EMS等を自社で手配して送ることも可能です。販売を完全に当社に委託していただくという方法もあります」。
中国のEC業界に旋風を巻き起こしてきた韓氏が、この中国越境ECプラットフォームに込めたのはどんな思いなのだろうか。
「中国1位の家電ブランド『ハイアール』で製造業を経験し、『国美電気』でリテールを経験しました。個人的に消費をするから消費者の気持ちももちろん分かる。製造からリテール、消費までの一貫した経験が、システム開発の背景にあります。20年以上のビジネス経験、10数年間のEC経験の中で直面してきたさまざまな問題を全て解決できるようにしています。店舗が面倒だと感じることを、すべてプラットフォームの機能に盛り込みました」。
巨大な中国EC市場に日本の中小企業が簡単に参入していけるようになれば、そこは日中双方にとって魅力的なマーケットになるはずだ。そのために韓氏は日本のすべての中小企業により良いサービスを届けたいと考えている。
「2020年の東京オリンピックの頃に、越境ECはピークを迎えるでしょう。それまでに日本の企業が越境ECをはじめられるようにサポートしていきたい。日本で1番の越境ECプロバイダーを目指しています」。
中国ECを牽引してきた韓氏が掲げる大きな目標。これだけの機能を揃えたサービスをもってすれば、実現される日はそう遠くないだろう。