オムニチャネル化戦略は商品・顧客情報・施策の「リアルタイム連携」が成功の鍵に
オムニチャネル成功のキー・ファクターは、リアル店舗・ECなど販売形態の異なる2つ以上のチャネルを統合的にコントロールすることにある。そのため、リアル店舗の販売システムと、ECの販売システムが効果的に融合されなければならない。
POSシステムや小売業向け基幹システム『RITS(リッツ)』などリアル店舗向けのソリューションに高い実績をもち、かつECサイト構築パッケージ『ITFOReC』を展開する株式会社アイティフォー(以下、アイティフォー)なら、極めて高い次元でのオムニチャネルの構築が可能である。該社の流通・eコマースシステム事業部 営業推進部 部長 萩尾 篤史氏と、同部 シニアスペシャリスト 上野 慎一氏に、お話を伺った。
オムニチャネル成功の要は、シームレスな施策展開とリアルタイム性の高いデータ連携にある
オムニチャネルとは、説明するまでもないが、リアル店舗やECなどの顧客接点を有機的に連携させて顧客サービスを展開するということである。多くの場合は、リアル店舗起点でEC進出に伴って課題となるケースだろうが、近年はEC起点でリアル店舗展開に進出というケースも散見される。いずれにしろ、リアル店舗とECなど、2つ以上の販売チャネルを併用しているのなら、オムニチャネル化は喫緊の課題となる。
「そもそもオムニチャネルというものは、お客様がどの販売チャネルを通じて商品購入をしても、同じサービスを受けられることが重要です。例えば、ポイント施策一つ取っても、ECで買っても、リアル店舗で買っても同じにポイントがつく、ということは当然のこととして、“ポイントを使う”というシーンにおいても、リアル店舗でもECでも、同じ利便性を提供できることによって、均質なサービス提供が可能になります。それが本来のオムニチャネルだと、当社では考えています。ですから、当社がオムニチャネルの構築をお手伝いするにあたって目指すのは、各種のキャンペーン施策などがどのチャネルであってもシームレスに展開できることと、ポイント付与などがほぼリアルタイムに反映されるデータ連携のスピーディさです。」と上野氏は言う。
アイティフォーが構築するオムニチャネルの優位性は、まさにこの点にある。
RITS側で顧客DBを統合し、ITFOReCとの連携で、プロモーション施策も顧客データ管理も一元化
「ポイントの統合管理もそうですが、たとえば、会員向けの割引キャンペーンなどもリアル店舗とECの両方で同じ条件で実施できることが重要です。そのためには、顧客DBの統合は必須です。店舗利用客もEC利用客も一元的な顧客DBで統合管理し、かつ何らかの施策展開のために顧客抽出を実施するにあたっても、店舗・ECを箇々別々にやるのではなく、一体的に処理できることがオムニチャネルの基本です。たとえば、ポイント2倍キャンペーンを実施するとなれば、そのキャンペーン期間中は、ECでも、どこの店舗でも同様の施策が展開できなくてはならないということです。」と萩尾氏は、リアル店舗・ECの垣根を超えたシームレスな施策展開と、その施策を裏側で支えるシステムの重要性に言及する。
小売業向け基幹システムである『RITS』と、ECサイト構築パッケージである『ITFOReC』を併用している場合、『RITS』の顧客マスターを主体として、そちらにEC側の顧客データをリアルタイムで統合することが可能となる。ポイントを付与する場合はもとより、ポイントの利用情報についても、API連携によってタイムラグを最小限に抑えた運用が可能になっている。そのため、リアル店舗で買い物をして、付与されたポイントを使って、お店を出た直後にECサイトで使うということもできるので、顧客の利便性は極めて高くなる。
「EC側のシステムが『ITFOReC』ではない、違うシステムを使用していたとしても、システム連携である程度のことはできますが、『ITFOReC』を使っている場合と比べて、リアルタイム性は落ちますし、そもそもシステム連携のためのコスト的負荷もかかってしまいます。」と上野氏は、『RITS』と『ITFOReC』の併用こそが、優位性を高めるポイントであると言う。
さらに、様々なキャンペーン施策の管理も簡便化できる。複数のリアル店舗とECサイトは同列に扱われる設定になっており、たとえばポイントキャンペーンなどを実施する際に、特定店舗を選んで限定的に実施することもできるし、ECサイトを含む全店舗での施策としてキャンペーン展開する際も、カンタンな操作での設定が可能となっている。施策内容を選び、施策の実施期間を設定して、対象店舗を選ぶだけで設定されるのだ。
「ECサイトに訪れた顧客がログインすれば、キャンペーンなどの対象者かどうかがわかりますので、その施策特典などが付与されます。また、リアル店舗でも会員カードなどを読み取った時点で、POS連携により、キャンペーン対象者であることがわかります。」と上野氏は説明する。
顧客セグメントに応じた施策展開もスムーズに。マーケティング機能も充実
さらに、アイティフォーのオムニチャネル・システムを導入することで、顧客情報の分析に基づくセグメント設定を容易に実施し、効果的に施策に活用することができるというメリットもある。
「RFM分析など多様な分析に基づいて顧客のセグメントを実施し、特定のセグメント顧客に対して、何らかのプロモーション施策を実施する、ということも容易になります。顧客をセグメントした上で、特定の顧客セグメントに対してだけメールを配信することが可能になります。また、たとえば直近1ヶ月以内に1万円以上の購入実績がある顧客だけに、次回購入時に割引クーポンを発行する、といった施策を実施することもカンタンで、もちろんリアル店舗・ECのすべてに同一施策を同時展開できます。顧客の購買履歴などの分析に基づく、アップセル・クロスセルの施策展開などもスピーディに実施できるということも、大きな優位性だと考えています。」と上野氏は自信を覗かせる。
さらに、マーケティング分析のシステムとして、「RITS統合分析システム」と「DMP(マーケティングオートメーション)」も用意されており、こうした分析システムを活用すれば、販促施策のPDCAサイクルを迅速に回していくこともできる。
「たとえば、会員のマイページについてもデータ連携のリアルタイム性を生かせるので、ユーザーは、いつ、どこで、何を買ったかという自分の購買履歴を、タイムラグなく確認することができます。それにより履歴を確認しながら、以前、Aというリアル店舗で購入した商品の再購入/定期購入をECで行うということも可能です。」と上野氏はユーザーメリットについても言及する。
オムニチャネル導入の様々な課題を、コンサルティング視点でサポートするアイティフォーの総合力
販売チャネルとしてのリアル店舗とECの統合的管理はもとより、商品在庫についても一元的な管理が可能となっていることも大きな強みのひとつである。
「あるリアル店舗で購入しようと思ったら、そこには在庫がなかった、という場合でも、別店舗の在庫をすぐに確認できるので、取り寄せという形で対応することもできますし、店頭で客注として受け付け、EC扱いでご自宅にお送りするということをその場で手続きすることもできます。」と萩尾氏。
これほどに便利で、機動的なオムニチャネルを実現できることは極めて有為なことだが、ゼロベースでオムニチャネルを構築するには、さまざまなハードルが存在することも事実だろう。
「実際にオムニチャネルを導入しようとすると、社内でのプロジェクトの規模が大きくなってしまい、何をどうしていいのかわからない、というお客様が少なくありません。しかし、そういう場合にこそ、まずは当社にご相談いただきたいと思っています。当社はコンサルティング的な関わり方で、ゼロベースからのオムニチャネル構築をお手伝いする体制が整っていますので、戦略の方向性が定まる前の段階から、トータルでサポートさせていただきます。」と萩尾氏は言う。
多店舗展開を志向し、かつEC展開にも余念のない小売事業者にとって、オムニチャネル化は避けがたい戦略の方向性である。
もし、“これから本格的にオムニチャネルを”とお考えなら、まずはアイティフォーに相談してみることが、成功の鍵になるといえるだろう。