「FutureShop2」がInstagramショッピング機能と自動連携!メリットをアパレルECの「SPINNS」に聞いた
Instagramのフィードに投稿した商品写真から、ECサイトに直接ユーザーを誘導できる「Instagramショッピング機能」に注目が集まっている。こうした中、2300店舗以上が利用しているECサイト構築プラットフォーム「FutureShop2」は2018年6月下旬、「Instagramショッピング機能」に必要な商品データをECサイト側から取り出し、自動連携できる機能を実装した。これにより、ECサイトは商品データ登録の手間をかけずに「Instagramショッピング機能」を利用できるようになった。
EC事業者が「Instagramショッピング機能」を使うと、どのような効果が期待できるのか。今回、「FutureShop2」でECサイトの構築と運用を行ない、「Instagramショッピング機能」を利用しているファッションブランド「SPINNS」の運営担当者に話を聞いた。「SPINNS」を運営するヒューマンフォーラムの中村至成氏と、フューチャーショップの八木智仁氏による対談をお届けする。
Instagramに投稿した商品写真にECの商品データをタグ付けすることで、ユーザーがECサイトの商品ページへ直接遷移できるようにする機能。Instagramで商品の認知から購入まで、シームレスにつなげることができる。日本では6月5日に機能の提供が始まった。
「自動連携機能がなければ、Instagramショッピング機能の利用は不可能でした」
八木 弊社は6月下旬に、「FutureShop2」の新たな機能として、ECサイトの商品データを抽出し、Facebookカタログ(ショッピング機能を利用するために必要なデータベース)に自動連携する機能の提供を開始しました。「FutureShop2」をご利用中のショップ様の導入第1号が「SPINNS」さんだったのですが、御社はなぜ「Instagramショッピング機能」を導入しようと思ったのでしょうか?
中村 「Instagramショッピング機能」が日本で始まる約3カ月前、米国でサービスが提供されたことを聞き、日本で始まったらすぐに利用しようと決めました。「SPINNS」のInstagram公式アカウントのフォロワーは12万人を超えており、そのフォロワーをECサイトに直接集客できるのは魅力です。
八木 さすが、新しいテクノロジーへの感度が高いですね。おっしゃる通り、「Instagramショッピング機能」はECにおける有力な集客手段になると思います。しかし、ECサイトの取扱商品数が多い場合、ECの商品データをFacebookカタログに連携する手間は非常に重い。ですから、「FutureShop2」をご利用中のショップ様の業務効率化を支援するため、ECの商品データを1日2回、自動でFacebookカタログに連携できる機能を実装しました。
「FutureShop2」のFacebookカタログ連携機能を実際に使ってみて、感想はいかがですか?
中村 連携機能のおかげで、業務効率が大幅に上がりました。正直、「Future Shop2」の連携機能がなければ「Instagramショッピング機能」を利用することはできなかったと思います。
Facebookカタログの登録自体は難しい作業ではありませんが、「SPINNS」のECサイトの取扱商品数は常時4000SKUほどありますから、それらすべてを手動で登録するのは不可能です。SNSの運用担当者は他の業務も掛け持ちしているので、そこまで多くの時間は割けませんから。
八木 そのような感想をいただけて嬉しいです。連携機能は他のショップ様にも好評で、申し込み件数は2カ月間で400社を超えました。アパレル、バッグ、美容、コスメ、食品、スイーツ、キッチン、ジュエリー、インテリアなど、さまざまな商品ジャンルのショップ様から申し込みをいただいています。
Instagramショッピング機能の集客効果は?
八木 「SPINNS」さんはInstagramやTwitter、LINEなど、SNSを積極的に活用していますよね。どのような目的でSNSを運用しているのでしょうか?
中村 SNSを運用している目的はブランディングです。お客さまと直接やりとりすることでファンを増やしたり、顧客接点を作ったりしています。
八木 「Instagramショッピング機能」を利用したことで、Instagram経由の流入は増えましたか?
中村 投稿したコンテンツによって集客効果に違いはありますが、じわじわ流入しているといった状況です。正直、爆発的にアクセスが増えたということはありません。ただし、「Instagramショッピング機能」は効果が低いというわけではなく、ブランドの客層によって効果が異なると思います。
「SPINNS」の客層は高校生や大学生が中心で、その世代は、SNSのタイムラインに販売や広告を目的としたコンテンツが流れてくることを嫌います。また、クレジットカードの所有率が低く、可処分所得も少ないため、SNS上の投稿を見てECサイトで衝動買いする人は多くありません。ですから、「SPINNS」の場合、「Instagramショッピング機能」を使っても、ECサイトへの集客や売り上げに直接的な効果は出にくいのでしょう。
一方、弊社が展開しているカフェ事業や食品、雑貨などのブランド「mumokuteki」のECサイトは、「Instagramショッピング機能」による集客効果が大きいです。「mumokuteki」の主な客層は30代の女性。Instagram公式アカウントのフォロワーは約7000人なのですが、多いときには1つの記事で約900人をECサイトへ集客できることもあります。
八木 客層によって「Instagramショッピング機能」の効果に違いがあるんですね。貴重な情報をありがとうございます。ちなみに、Instagramで人気になりやすい写真の特徴はありますか?
中村 「SPINNS」の主な客層である16~22歳ぐらいのユーザーは、Instagramのフィードよりも「ストーリー」を閲覧する傾向が強まっています。「SPINNS」のアカウントで特に人気が高いコンテンツは、モデルが着用した写真を「ストーリー」に投稿したもの。作り込んだ写真よりも、自然な雰囲気の写真が好まれます。
八木 だから「SPINNS」さんは「ストーリー」にも積極的に投稿しているんですね。
中村 そうなんです。それから、最近、10代の間ではショート動画共有SNS「Tik Tok」が大流行しています。「SPINNS」の店舗スタッフが店内で撮影した動画を「Tik Tok」に投稿すると、それを見て「Tik Tok」の動画を撮影するために来店するお客さまもいるほどです。
八木 「Tik Tok」など新しいSNSにも、取り組んでいかなくてはいけないんですね。弊社もプラットフォームとして、流行に遅れないように新しいSNSに追随していきたいと思います。
アパレルECに必要な機能を「FutureShop2」がカバー
八木 「SPINNS」さんは2012年から「FutureShop2」を利用してくださっています。この7年間で、ECを取り巻く環境は大きく変わったと思いますが、近年はどのような施策に力を注いでいるのでしょうか?
中村 近年はスマホ対応を強化しています。現在、ECの売り上げの約95%はスマホです。2013年〜2014年ごろにスマホ比率が6〜7割に達した時点で、リソースをスマホサイトに集中すると決めました。
八木 2017年には「ZOZOTOWN」に出店するなど、販売チャネルも広げていますね。
中村 「SPINNS」のEC事業は公式サイト(自社ECサイト)からスタートし、現在は「ZOZOTOWN」「SHOPLIST」「楽天」「Amazon」にも出店しています。「SPINNS」は実店舗を25店舗展開しており、現在のEC化率は約10%。EC事業全体の売り上げを伸ばしていくために、モールに出店して新規顧客獲得を推進しています。
同時に、公式サイトでは既存顧客との関係強化にも注力しています。
「FutureShop2」は、さまざまな商品ジャンルのECサイトを構築・運用できますが、特にアパレルに強いですよね。アパレルECに必要な機能は、だいたい揃っています。カテゴリー分けも便利ですし、特集ページも作りやすい。そして、顧客のファン化を促進したり、LTVを伸ばしたりする機能も充実している。今後も「FutureShop2」の機能を最大限活用していきたいと思います。
八木 最後に、「SPINNS」さんのEC事業の今後の展望をお聞かせください。
中村 今後はユーズドを強化します。弊社はもともと古着屋から出発しているので、ユーズドの商品を豊富に取り揃えていることが強みです。ユーズドのブームが来ていますし、ECモールとの差別化を図るためにも、公式サイトでユーズドの販売を強化していきます。
八木 ありがとうございました。ECのトレンドの変化がどんどん早くなる中で、弊社は環境変化に柔軟に対応できるASPの強みを生かし、「FutureShop2」に必要な機能を随時実装し、外部サービスとの連携も強化していきます。時代は「所有」から「利用」に移っているとも言われます。ASPプラットフォームの「FutureShop2」を上手く利用していただいて、これからもECの売り上げを伸ばしてください。