SaaS型でもサイトデザインは自由に! 新生futureshopのCMS機能「コマースクリエイター」が自社ECに革命をもたらす
自社ECサイトを運営する企業にとって、待望のECプラットフォームが誕生した。2400店舗以上が利用しているSaaS型のECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップは9月3日、「futureshop」のサイト構築機能を刷新し、新しいCMS機能「commerce creator(コマースクリエイター)」を追加した。サイトデザインの自由度を大幅に高めたほか、レスポンシブデザインとアダプティブデザインのどちらにも対応。顧客属性に応じてサイトの表示内容を最適化する機能や、ページの編集・更新作業を大幅に効率化する機能など、サイト運営に役立つさまざまな機能を実装している。
構想段階を含めて3年以上を費やし、サイト構築機能を刷新した新生「futureshop」は、自社ECサイトを運用するEC事業者にどのような価値をもたらすのか。フューチャーショップの星野裕子社長と安原貴之部長に、機能の全容と開発の背景を聞いた。
「futureshop」は、ECサイトの構築から運用、管理、優良顧客化、集客プロモーションなど、自社ECサイトに必要なさまざまな機能を持ったSaaS型ECサイト構築プラットフォーム。フューチャーショップは2003年に「FutureShop」の提供を開始し、2006年には現行バージョンのベースとなる「FutureShop2」をリリースした。現在、2400店舗以上が利用しており、2017年の年間流通額は968億円。今年9月3日にCMS機能「commerce creator」を追加し、製品名を「futureshop」に変更した。
更新性・最新性とカスタマイズの自由度を両立
——「futureshop」にCMS機能「commerce creator」が追加され、EC業界で話題を呼んでいます。「commerce creator」とは、どのような特徴があるのでしょうか?
星野 SaaS型プラットフォームのメリットである「新機能を手間なく導入できること」や「自動でバージョンアップし、システムが陳腐化しない」といった特徴を備えたまま、ECサイトのデザインカスタマイズの自由度を、これまでと比べ物にならないほど高めました。
「commerce creator」はECサイトの要素を分解し、それぞれの要素をパーツとして管理・更新します。例えば、商品ページの「カルーセル」「メニュー」「箇条書き」「在庫商品一覧」といったパーツの1つ1つに、IDとクラスを付与。パーツの順番をドラッグ&ドロップで変更したり、パーツのデザインをHTMLやCSSでカスタマイズしたりすることで、オリジナリティの高いECサイトを構築することができます。
そして、「commerce creator」の肝は、パーツのデザインをカスタマイズしても、システムのバージョンアップが自動で行われること。
ショップさまがカスタマイズできる部分と、弊社側で管理するシステムパーツを切り分けているため、ショップさまがパーツをどれだけカスタマイズしても、バージョンアップに影響しません。この仕組みによって自動バージョンアップとデザインカスタマイズの自由度を両立しました。
——SaaS型のメリットを残したまま、デザインカスタマイズの自由度が低いデメリットを克服したわけですね。
星野 その通りです。“良いとこ取り”のシステムだと思ってください。
企業のブランディングにおいて、ECサイトのデザインは、とても重要な役割を担います。「commerce creator」を使えば、ブランドの世界観を自社ECサイトで、これまで以上に自由に表現できるはずです。
会員ごとにECサイトの表示内容を最適化
——ECサイトの要素をパーツ単位で管理・運営する仕組みに変えたことで、さまざまなメリットが生まれたそうですね。
安原 要素をパーツ単位で管理することで、ECサイトの表示内容を会員ごとに変えられるようになりました。パーツの表示条件を個別に設定することで、会員ステージに応じてサイトに表示する商品やキャンペーンを変えるなど、顧客属性に合わせたコンテンツの出し分けが可能です。
また、パーツを更新すると、そのパーツが埋め込まれたすべてのページを一括で更新できるようになったことも、大きなメリットでしょう。これまで、ECサイトを1ページずつ更新していたショップさまは、「commerce creator」を使えば更新作業にかかる時間が大幅に減るはずです。特に、アパレルや雑貨、食品など、商品ページ数が多いショップさまは、サイト更新の手間が大幅に軽くなるのではないでしょうか。
パーツを組み合わせることでデザインの自由度を極限まで高めた「commerce creator」は、弊社が独自で開発しており、現在特許出願中です。
数千件にのぼる要望を機能開発に反映
——今回のリニューアルでは、他にどのような機能が追加されたのでしょうか?
安原 主なものとしては、レスポンシブデザインとアダプティブデザインのどちらにも対応できるようにしました。また、会員機能の強化、カート画面の遷移数の削減、ショッピングカート情報のクロスデバイス機能など、コンバージョン率アップや売上拡大につながる機能を多数、追加しています。
新たに実装した機能を挙げれば、切りがありません。機能の1つ1つを見ると、ものすごく珍しい機能が実装されているわけではないかもしれませんが、自社ECサイトに必要な機能を、カスタマイズなしで、これほどたくさん網羅したSaaS型のプラットフォームは他にないと思います。これまでにショップさまからいただいた数千件に上るご要望や、弊社が過去に直面した課題などをすべて洗い出した上で、できる限り機能の追加や改善に生かしましたから。
——EC事業者のニーズを「commerce creator」に反映させているのですね。
星野 その通りです。時代とともに、ECプラットフォームに求められる機能は変わります。2006年11月に「FutureShop2」をリリースしてから11年以上経過し、ECを取り巻く環境は大きく変わりました。2006年当時は、ようやくガラケーコマースの時代が到来したばかり。その後、スマートフォンECの時代になり、今はSNSが活用される時代へと移行しています。
ECを取り巻く環境の変化に伴い、ショップさまから、さまざまなご要望をいただきました。できる限り対応してきましたが、既存のプラットフォームでは対応に限界があったのも事実です。ショップさまの要望を1つでも多く叶えるために、「futureshop」のフロントエンドを全面的に作り直しました。
従来の「futureshop」からデータの移行作業は不要
——「commerce creator」の開発は、いつ頃着手したのでしょうか。
星野 開発を決めたのは2015年です。構想期間を含めてリリースまで2年以上かかりました。企画段階で「これからのfutureshopは、どうあるべきか」について社内で徹底的に議論したため、開発に時間がかかってしまいましたが、結果的に自信を持ってご提供できる製品が出来上がりましたから、じっくり議論して良かったと今は思っています。
——「commerce creator」は、従来の「futureshop」(旧名称は「FutureShop2」)のメジャーアップデートということでしょうか?
安原 そういうわけではありません。従来の「futureshop」のサイト構築機能を刷新し、「commerce creator」というCMS機能が追加されたということです。
従来から提供してきた「futureshop」は、現在も提供しており、これまで通りご利用いただけます。「commerce creator」を実装した「futureshop」と2種類のプラットフォームが同時に動いているということです。「commerce creator」に移行する際は、契約を切り替えていただくだけで完了します。商品データや顧客データなどの移行作業は必要ありません。
星野 今回、「commerce creator」の開発が長期化した理由の1つは、既存ユーザーさまが「commerce creator」を利用する際、データの移行作業を行わなくて済むようにしたためなんです。データの移行作業はショップさまにとって負担が大きいですから、それは避けたかった。データ移行が必要ないシステムを開発することに、非常に苦労しました。
リリース時点で問い合わせは100件以上
——「commerce creator」に対する反響は、いかがですか?
星野 ありがたいことに、正式リリースの時点で100社以上からお問い合わせをいただいています。「futureshop」の既存ユーザーさまはもちろんのこと、他のプラットフォームからの乗り換えを検討されている企業さまからの問い合わせも多いです。
——「commerce creator」の料金はいくらに設定しているのでしょうか。
安原 「commerce creator」を実装した「futureshop」の利用料は、従来と比べて初期費用と月額料金がそれぞれ2000円上がります。ただ、SSL証明書も込みの値段なので、実質的にはそれほど値上げしていません。そして、これだけ多くの機能を備えていて、かつ、この料金で提供しているプラットフォームは、他にはないと自負しています。
製品名を変更し、メジャーバージョンアップ番号を外した理由とは?
——「commerce creator」の実装を機に、製品名を「FutureShop2」から「futureshop」に変更しました。なぜメジャーバージョンアップ番号を外したのでしょうか?
星野 製品名を変えた理由は、「futureshopを、ずっと使い続けていただけるプラットフォームにする」という弊社の思いを表現したかったからです。「futureshop」はこれからも進化し続けますが、システムの乗り換えを行うことなく使い続けられるプラットフォームにすると決めています。だから今回、メジャーバージョンアップ番号を製品名から外しました。システム変更の負担をかけることなく、ショップさまを EC業界の未来にお連れしたい。そんな思いを製品名に込めました。
「futureshop」は時代に合ったプラットフォームとして進化を続ける
——最後に、「futureshop」の今後の展開について、教えてください。
星野 直近の計画としては、現時点で「commerce creator」に対応していない「定期頒布会機能」や、実店舗とECのポイントを連携できる「futureshop omni-channel(前FutureShop2X)」を年度内にも「commerce creator」に対応します。
最近、作りたい機能のアイデアが、どんどん湧いてくるんですよ。「イーコマース」は今や、「コマース」そのものになりつつあると思っています。だから、「イーコマース・プラットフォーム」も「コマース・プラットフォーム」に近づいていくと思うんです。そういった意味でも、「futureshop」は時代に合ったECプラットフォームとして、やりたいこと、やらなくてはいけないことがたくさんあります。さまざまな新機能の開発を進めています。
買い物を、もっと便利に、楽しいものにしたい。それを実現するために「futureshop」は進化していきます。これからの「futureshop」に、どうぞご期待ください。