ギフト強化で500%、名高い洋菓子店『京都北山マールブランシュ』のギフトECサイト戦略とは

ECのミカタ編集部 [PR]

マールブランシュ事業部 あべ松大 氏

「巣ごもり消費」の拡大で、食品やギフト系のECサイトが注目されている。これまで実店舗が主流だった企業も、EC強化への動きが加速している。だが「ECを強化する」といっても、ブランド維持、実店舗との連携、バックヤードやフルフィルメントの運営など、解決すべき課題は山積みだ。

そんなコロナ禍にあって、EC事業で着実に成果を挙げている事例もある。

「京都クオリティ」を追求した、京都の洋菓子店でもトップブランドの「京都北山マールブランシュ」を展開する株式会社ロマンライフもそのひとつ。

同社は数年前から課題を見据え、EC強化を前提とした社内のマーケティング方針の見直し、あわせて戦略的な社内システム全容の再設計に着手。

CRMとEC強化を図るべく、CRMツールやECサイト構築クラウド型プラットフォーム「aishipGIFT(アイシップギフト)」を導入するなど、さまざまな戦略を推進してきた。

地域色の強いブランドのEC展開、ECと実店舗・生産・基幹の連携、ギフト強化、個別カスタマイズ可能な自社サーバインストール型のECパッケージからの脱却などの戦略的な課題解決推進により、現在ではEC事業が強化前に比べて飛躍的に伸びたという。

その詳細について、マールブランシュ事業部のあべ松大氏、広報部の德本智史氏に話を伺った。

オムニチャネルなど戦略的EC強化で、コロナ禍に大きく売上拡大

オムニチャネルなど戦略的EC強化で、コロナ禍に大きく売上拡大『マールブランシュ』https://www.malebranche-shop.jp/

株式会社ロマンライフは、京都発のハイクオリティな「食」を手がける企業。2017年度の売上高は約63億円にものぼる。

德本氏「当社は1956年に設立し、現在は京都・北山に本店を構える洋菓子製造・販売の『マールブランシュ』と、レストラン運営・食品販売の『侘家古暦堂』の運営を事業の柱としています」

同社の展開する「マールブランシュ」は、JR京都伊勢丹や京都髙島屋など京都に13の直営店を展開し、京都の洋菓子店として抜群の知名度を誇るブランドである。小売店に卸したりせず、こだわりの味を守り続けている。

德本氏「やはりコロナウイルスの影響は大きかったですね。特にレストラン事業はかなり痛手でした」

そんなロマンライフ社だが、EC事業に早い時期から取り組んでいたため、コロナ禍に大きくECの売上拡大もできた。ECの売上が前年比500%という月もあったという。

あべ松氏「ECを始めたのは十数年前からです。最初は小さな規模からスタートして、現在では代表的商品お濃茶ラングドシャ『茶の菓』のヒットもあって多くのお客様にご利用いただくようになり、売上を伸ばしていくことができました。近年では実店舗をきっかけに既存のお客様にECをご利用いただく戦略にシフトし、さらなる成長を目指しています」

すでに実店舗でもECでも確固たる地位を築き、オムニチャネルの展開も軌道に乗っている。しかし、EC強化への取り組みを始めた当初は、多くの課題があったようだ。

ブランディングとおもてなし。ギフト向け商材ならではの課題

ブランディングとおもてなし。ギフト向け商材ならではの課題(右)マールブランシュ事業部 あべ松大 氏
(左)広報部 德本智史 氏

一言で「ECを強化する」といっても、ただシステムやサイトをリニューアルすれば良いわけではない。

あべ松氏「『マールブランシュ』には実店舗を長年ご利用いただいているお客様も多く、ECにおいてもお客様との関係性を高め、価値のあるショッピング体験を提供しなければなりません。さらにバックヤードでも、食品を扱うメーカーならではの課題がありました」

ロマンライフ社が抱えていた課題は、大別すると以下の6つである。

[1]地域色の強いブランド展開
ブランディングという点において、ECは難しい。地域の限定性が強い商品はその特徴が失われるし、デザインやUIを工夫しないと、実店舗に近いWEB接客は実現できない。

[2]ECと生産との連携
こだわりのお菓子は、一日に生産できる量に限りがある。物流についても実店舗とECでは異なる仕組みを構築しなければならない。

[3]実店舗とECの連携
ネットとリアルの融合を実現するには、これまで主流だった実店舗とECをより効果的に連携させなければならない。

[4]賞味期限・配送温度帯
デリケートな食品を扱うEC事業者は、配送方法にも気を配らなければならない。

[5]ギフト対応
ギフト系商品の販売において、大手モールや通常のASPカートシステムは、細かな要望に応えているとは言い難い。

[6]個別カスタマイズ可能な自社サーバインストール型のECパッケージであるがゆえの課題
このようなECパッケージで作ったシステムは、構築時点は最新だが、ローンチした直後からどんどん時代遅れになっていく。機能を追加・改修するにも、社内にエンジニアがいない、要件をまとめるリソースがないなどによって、膨大な時間とコストがかかり、市場に置いて行かれてしまう。


これら全ての課題を解決するため、ECサイトの再構築には、クラウド型ASPの「aishipGIFT」を採用した。

『aishipGIFT』を詳しく知りたい方はこちら

[1]地域色の強いブランド展開

あべ松氏「京都ならではのお菓子を全国展開することの是非は、社内でも常に議題に挙がるポイントです。ECやギフトで当社のお菓子を知っていただき、そして京都にお越しになった際に、実店舗に立ち寄っていただく。この循環が生まれれば、ブランドを損なうことなくEC展開ができると考えました。そのために京都を感じられるサイトデザインはもちろん、UI/UXについても優れたものを提供する必要がありました」

サイトの隅々までデザインカスタマイズできる自由度の高いCMSを備える「aishipGIFT」により、ブランドの世界観を正確に表現。

クリエイティブ面だけでなく、ユーザーの要望が複雑になりがちなギフト向けの熨斗設定や商品を複数のお届け先にスマホでも簡単に指定できるなど、ユーザが迷いにくく注文しやすいカートステップとUIにこだわり、ECサイト全体をスマホファーストで設計、レスポンシブデザインで構築した。

[2]ECと生産との連携

あべ松氏「賞味期限の問題や、その日ごとに出荷できる数量が違うため、一日単位で在庫数を厳密に管理する必要がありました。ロジスティクスについては、当社はもともと小売の流通網がベースとしてあったので、それをECに応用しました」

基幹システムと注文データをリアルタイムで自動連携。商品ごとに異なる製造日数を考慮して、出荷日基準でのリードタイムを設定できるようにした。

さらに出荷日ごとに販売上限数を管理する機能や、商品ごとの出荷場所指定機能など、商品特性に合わせて詳細に設定できる管理システムを実現した。

[3]実店舗とECの連携

あべ松氏「お客様の利便性を高めるために、ECと実店舗の会員情報をシームレスにつなぎ込み、CRMを強化したいと考えていました。例えば購買履歴をひとつのマイページで閲覧できたり、ポイントを一元管理したりということが要望として挙がりました」

実店舗とECの購入履歴を統合、ポイントも一元化したことに加えて、これらのデータはCRMツールとリアルタイムで連携できるようにした。

[4]賞味期限・配送温度帯

あべ松氏「商品を適切な状態でお届けするため、冷蔵便・冷凍便・常温便を使い分けています。さらには品質管理のために、常温品を夏場だけ冷蔵便で出荷するなど、システム上でも商品ごと、時期ごとに設定する必要がありました」

商品ごとの冷凍・冷蔵・常温の三温度帯設定はもちろん、季節によって温度帯の変更を登録できるようにしたり、温度帯、出荷場所によって問い合わせ伝票番号を分割するなど、繊細な洋菓子を適切な状態でお届けできる環境を整備。

季節限定商品は、販売期間を指定できるようにした。システムはヤマト運輸のサービスレベルに準拠しており、配送先住所ごとに配送可能期間を制御することもできる。

[5]ギフト対応

あべ松氏「当社商品はギフトの需要が非常に多く、売上の7割を占めています。そのため、一度の購入で複数の配送先を指定するなど、ギフトならではの機能が必要になります。

また、ギフト用途のお客様は『絶対に失敗したくない』という想いが強く、より具体的にイメージできるものを求めています。当社は熨斗やパッケージにも力を入れていますので、それが画面上でも分かるようにしたかったのです」

注文時にリアルタイムで熨斗のデザインや入力された文字を表示する機能により、ユーザーが購入時にイメージしやすいようにした。

また、ひとつの注文で複数の配送先を設定できるようにするなど、ギフトの細かなニーズに応える仕様を作り上げた。熨斗をCSVデータで一括印刷できるようにするなど、バックオフィスの運用改善も果たした。

これらの機能は、既存のカートシステムではまず実現不可能、できたとしても莫大な改修コストがかかるだろう。

[6]個別カスタマイズ可能な自社サーバインストール型のECパッケージであるがゆえの課題


あべ松氏「リニューアル以前は自社サーバインストール型のECパッケージでECサイトシステムを運用していました。旧ECサイトのリリース当時はシステムベンダー様に要件を細かくお伝えして、自分たちの“想い”がたっぷり詰まったショップが完成したと思います。

ですが、その後のECシステムメンテナンスが大変でした。

構築時点ではシステムは最新ですが、EC機能の最新要求や要件をまとめられるリソースがなかったためどんどん時代遅れになっている印象でした。

自社所有のシステムでは少しの機能改修でも膨大な時間とコストがかかり、市場に追従する最新のECシステムの提供ができないという課題がありました。

常に最新機能が無償バージョンアップされ、必要な部分のみ機能カスタマイズできるクラウド型のものを探していた時にaishipGIFTと出会いました」

今回はクラウド型のプラットフォームを採用したことで、月2回の無償バージョンアップにより、常に最新機能が使用できるようになった。自分たちの要件とよくマッチングし、さらに必要な部分のみ追加機能カスタマイズができる「aishipGIFT」はぴったりだった。

また、カートステップ改善などの無償のバージョンアップ内容や有償の追加機能カスタマイズについても、担当者に加えて運用現場にまでヒアリングして具体的な機能を提案、最低機能のプロトタイプ作成し、どんどん追加要求機能の実現を行うなど、EC事業者とユーザーのために本当に必要なものをアジャイル開発で提供してくれているという。

食品・ギフトECに強いクラウド型プラットフォーム「aishipGIFT」

食品・ギフトECに強いクラウド型プラットフォーム「aishipGIFT」ギフト系ECサイト構築クラウド型プラットフォーム aishipGIFT
https://www.aiship.jp/gift/

ロマンライフ社が採用した「aishipGIFT」は、株式会社ロックウェーブが提供する食品・ギフトEC向けのクラウド型プラットフォームだ。

ロマンライフ社では「aishipGIFT」を2019年10月に導入して以来、順調に売上が増加しているという。1,500社導入のショッピングカートをベースに開発されたASPは、食品やギフトを扱うEC事業者のあらゆるニーズを叶え、ユーザーにとって買い物がしやすく設計されている。

前述のロマンライフ社の課題を解決した機能の他にも、注文した商品を店舗でも受け取れる『店舗受け取り機能』やECと電話注文を統合できる『電話注文機能』といった機能を搭載している 。

カスタマイズ性にも優れており、基幹システムとの連携もスムーズだ。ロマンライフ社が導入した際も、さまざまなオリジナル機能をオーダーメイドした。

あべ松氏「まずデザインにはかなりこだわりました。当社では商品の包装から販促物まで、一貫したクリエイティブを意識しています。ブランドの世界観を汲みつつ、優れたEC機能を持つサイトをモバイルファーストで作っていただきました」

デザイン面だけでなくSEOにも強く、セッション数は昨年のリニューアル直後に比べて110%になった。また、営業戦略の根幹になるCRMについても、店舗の会員登録をECと同じものをタブレットで提供するようにして、会員登録のリアルタイム化とデータベースの統合を図った。

あべ松氏「モノを売るという意味では、ネットもリアルも同じです。データベースをひとつに統一することで、顧客管理をスムーズに行えるようにしました。実店舗での会員登録も、これまでは紙ベースでしたが、『aishipGIFT』の機能を利用してECサイトと同じUIでタブレット上で簡単に登録できるようにしました。今年3月~7月末のEC経由の会員登録数は、前年比で約130%になっています」

信頼性の高いAWSをベースとしたクラウド型サービスであり、月2回のバージョンアップで機能面でも常に最新の状態に更新され、保守・管理のコストも抑えられる。

あべ松氏「ECは変化の激しい業界です。スクラッチや自社サーバへのインストール型のECパッケージではアップデートが間に合いません。例えばペイメントサービスの追加にしてもそうですね。自前のものを毎回カスタマイズしていたら、費用も工数も大変です。クラウド型なら、ベンダー様が常に最新鋭のサービスを提供してくれるので、当社は商品開発やサービスに注力することができます」

ロマンライフ社は「aishipGIFT」を主軸としたギフト対応や管理機能、顧客連携を強化し、さらなる発展を目指している。

機能強化についてはロックウェーブ社が親身になって一緒に考えてくれているそうで、EC事業を拡大していく上での重要なパートナーとして信頼を寄せている。

『aishipGIFT』をもっと詳しく

実店舗とECを使い分けて、ショッピング体験の向上へ

実店舗とECを使い分けて、ショッピング体験の向上へ『マールブランシュ ロマンの森』

EC事業が伸長しているロマンライフ社が次に目指すのは、さらなるユーザー体験の向上だ。

あべ松氏「今後はさらにオムニチャネルを推進していきたいと考えています。ライフスタイルに合わせて、実店舗とECを使い分けられるようなショップ作りを目指しています」

ただネットとリアルで同じ商品を提供するのではなく、それぞれの強みや特徴を活かした店舗運営を行っていくとのこと。

あべ松氏「“京都”というコンセプトはそのままに、地元のお客様に愛される洋菓子店という原点への回帰を図っています。実店舗では、ふだん使いできるお菓子を中心に、実際にお店に行かないと食べられない商品ラインナップを用意し、自家需要に応えていきます。一方でECはギフト色を強くして、京都の方が他県におすすめしたくなるような商品をそろえていく予定です」

それを象徴するのが、2020年10月2日にオープンする「マールブランシュ ロマンの森」だ。ショップやカフェ、工房、本社機能を備えた体験型の大型店舗では、パティシエの技を目の前で見られて、できたてのお菓子をその場で食べることができる。

日常的に立ち寄れる実店舗と、贈り物をしたい時に利用するEC。このスタンスが明確なメッセージとして発信されていくことになる。

あべ松氏「ECでも京都の実店舗と同じレベルのおもてなしを実現するために、サイトの改善は常に取り組んでいきます。『aishipGIFT』を提供するロックウェーブ様とタッグを組んで、コミュニケーションを取りながら進めていきます」

『aishipGIFT』の資料DLはこちら


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事