2年で1200%成長した韓国ECの事例から学ぶ。チャネルトークが目指す持続的な成長ができるビジネスとは。

ECのミカタ編集部

株式会社Channel Corporation
(右)日本CEO 玉川 葉氏(Jay)
(左)CCO 坂本 彩氏(Aya)

昨年、日本での売上実績7倍という驚異の躍進を遂げた熱狂的ファンを作る接客チャットの「チャネルトーク」。前半は開発背景や機能、そしてEC上で本質的な接客を行う重要性を解説いただいた。

前半の記事はこちら→https://ecnomikata.com/original_news/30535/

後半では、Jay氏とAya氏にチャネルトークの普及が日本の5倍以上ある韓国市場の解説と、導入事例として韓国のEC企業で、2年で1,200%成長・リピート率が驚異の83%を誇る「ペットフレンズ」にどのような接客を行っているか伺った。

日本のEC市場と韓国のEC市場

――チャネルトークを日本と韓国で同時にリリースしたのは、なぜでしょうか?

Aya:韓国の市場は動きが速く、テスト市場のような役割を果たしてくれます。ユニコーンと呼ばれるような著しいスピードで成長を遂げる企業も韓国には多い。これは、新しいものに対して「まず使ってみよう」というマインドを持っている国民性が大きく影響しています。

一方、日本市場はとても慎重です。新しいものを検討することなく使うことはあまりありません。その分、日本で伸びたら良いツールだという証明にもなります。

この韓国と日本、二つの市場でトライすることで、より良いサービスをグローバルに提供できるのではないか…そんな狙いもあって日韓同時リリースに踏み切りました。

Jay:今は順調に伸びてきたので笑って話せますが、当時は本当に大変でした。

Aya:「韓国で売れるのに、なんで日本では売れないの?」と、ずっと言われていましたから。

――日本のECと韓国のECの変遷では、どのような違いがありますか?

Jay:韓国では、10年ほど前から自社ECをオープンする企業が増えました。韓国には、大規模なオープンマーケットが6つほどあります。日本では楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングの3つが主流ですが、韓国ではその2倍。その分、競争も激しかったのです。

結果、次第に安売り競争になっていき、利益率が下がり、薄利多売でEC事業者は苦しくなっていきました。

そこで「自社サイトを作らないとダメだ」という意識にシフトしていったのです。それが約10年前のことです。

自社ECの数が増え始めた時は、デジタルマーケティングをする人があまりいなかったので、SEO対策やポータルサイトでの広告、インフルエンサーマーケティングを行うと、すぐに売上が伸びました。

すると次第に、大きく業績を伸ばす企業が次々と現れたのです。こうして、若い人たちが「これからはECで起業だ」と飛びつき、一気にECサイトが増えました。韓国では、女性アパレルの ECサイトだけでも4万サイト以上あります。 そうなると、もう広告だけでは差別化はできません。

――韓国のEC市場は日本の数年先をいっている印象を受けます。

Jay:そう思っていただいて間違いないと思います。日本で数年前から話題になっているインフルエンサーマーケティングは、韓国では6年前からすでに始まっていました。当時、まだInstagramはそこまでユーザーが多くありませんでしたが、ブロガーなどを使ったマーケティングが盛んに行われていました。

しかし結局、集客には限界がきてしまって。同じ卸業者から服を仕入れているようなケースも多かったので、差別化が難しかったのです。そこで、接客に重点が置かれるようになっていきました。

たとえば、デリバリーする際、赤ちゃんがいるお宅では呼び鈴を押さずに、SMSのメッセージで「今、家の前に箱を置きました」と連絡する。これがママ仲間に「寝ている子供を起こさずに宅配を受け取れるよ」と口コミで広がったケースもあります。

このような、ニッチな接客が韓国では重要になっているのです。

Aya:また、カスタマーサポートの概念も変わりました。以前のカスタマーサポートは、返品対応やクレーム対応など、不満を処理するような役割を担っていました。

それが今では、サイトにポップアップを出して積極的にお客様とコミュニケーションを取るようになっています。商品サイズの相談や在庫の確認、オススメ商品の問い合わせなど、買う前の問い合わせに対応するようになりました。つまり、受けの接客から攻めの接客に変わり始めているのです。

――その波は、日本のEC市場にもやってくると思いますか?

Jay:そう考えています。

競合は今後激しくなっていきます。コロナの状況下で、これまでネット通販と無縁だった多くの人達が、ネットで買う経験をしました。そして、「意外とネットで買っても大丈夫なんだね」という認識を持つようになりました。コロナが収束しても、この認識は変わらないでしょう。

そして市場が大きくなり、競争が激化してくると、接客でブランディングをしない会社は、どんどん競争力を失ってしまいます。チャネルトークの日本市場は昨年の売上実績が7倍、導入実績が2倍の急成長を遂げました。やはり、導入が進んでいるのは、競合の激しいカテゴリーです。だからこそ、顧客と向き合うことが重要視されているのだと思います。

チャネルトークユーザーの「ペットフレンズ」さんに聞きました

ペットフレンズ 運営チーム長 Park氏

Jay:実際にチャネルトークを導入している韓国のEC企業のペットフレンズさんは非常にユニークな接客を行っています。どのようなサービスなのか教えてください。

Park:犬と猫をメインとしたペット用品の食べ物を配送するサービスです。

一般のショッピングモールでは、購入したら配送業者を使いますが、ペットフレンズでは当日配送の場合は、社員が直接配送しています。ソウルに物流センターが7箇所あり、そこから配送しています。全社員数は100人くらいで、そのうち約40人が配送スタッフです。

Jay:ペットフレンズさんは急成長していますよね。どのようにしてそこまでの成長を成し遂げたのですか?

Park:ペット用品というのは、どこでもだいたい同じものを売っているので、商品での差別化が非常に難しいんです。

我々の規模では、大手のような価格競争はできません。しかし、逆に大手の場合は一人一人のお客さんに構っていられない。そこがスタートアップが作れる差別化ポイントだと考えました。「一人一人のお客さんをロイヤルカスタマーにする」をモットーに、顧客中心文化という点で差別化を図っています。

さらには、顧客中心文化にプラスして、感情的な感性、お客さんと親密感を出せるような接客を心がけています。

具体的には接客する際に、スタッフの顔写真やプロフィール(飼っているペット情報も記載されたもの)を最初に送ったり、注文を受けたら、まず手書きで感謝の手紙を出したりしています。また、ペットの誕生日には「○○ちゃんおめでとう」と、ペットの名前付きの動画を作ってプレゼントしています。

チャネルトーク導入前は、販売時の接客として日本のLINEのようなカカオトークというサービスを使っていました。でも、それだとシェアリングデータがなくて誰だか分からないんです。IDしか取得できないので、なかなか思うような接客ができませんでした。なので、カカオトークは普通のカスタマーサポートとして使っていました。

チャネルトークを導入してからは、誰がサイトに来たのかが分かるので、積極的に色々な話をするようになりました。お客さんとお話しできると、こちらのモチベーションも上がります。

Jay:チャネルトークを随分使いこなしていただいてるんですね。

Park:チャネルトークはとても便利なツールだと実感しています。接客した内容のカテゴライズもできるので、今まではただ処理して終わっていたところが、今では「こんな問い合わせが多いんだ」とか、「こんな課題があるんだ」ということを、チームで共有し、改善につなげることができるようになりました。

チーム名が「カスタマーサポート」から「CX(カスタマーエクスペリエンス)」に変わったくらい、社内の意識も変わりました。

Jay:組織まで変わったのですね。それはすごい!

Park:ペットフレンズでは、 経営陣もチャネルトークのアカウントに一緒に入っていて、お客さんとのやり取りを見ています。

チャットを見て「在庫がない」という問い合わせが多いことを知った経営陣が、「うちのサービスで在庫がないという経験を与えたらダメだ」と、仕入れができなかったら他社から買って同じ値段でもいいから売ることになりました。

また、「在庫がありません」というメッセージではなく、「取引先から『2日後に出荷します』という連絡が入りました」と、状況がわかるような言葉で伝えるようになりました。

Jay:ユーザーとのやり取りで、印象に残っていることはありますか?

Park:お客様が配送スタッフへのプレゼントを玄関ドアに掛けてくれることがあります。おやつやお手紙などをいただくと、配送スタッフにとってもとても励みになります。

また、お願いしているわけではないのに、SNSなどで「ペットフレンズはこんなことやってますよ」と口コミしてくださったり、チャネルトークのチャットでも、問い合わせではなくて「この間はありがとうございました」という感謝のメッセージが届いたり。このようなことがあると、さらにお客さんのために頑張ろう!という気持ちになります。

Jay:ECを展開するうえで、重要なことは何だと思いますか?

Park:何よりも、顧客中心で考えることです。つい事業者側が楽になる道を考えてしまいがちですが、私たちが便利になってお客さんが不便になるのでは、ビジネスとして立ち行かなくなっていきます。自分の楽を求めるのではなく、お客さんがどうすれば楽になるかを考えるべきです。

Jay:顧客中心を実現するためにチャネルトークをどう活用いただいていますか?

Park:声掛けのパーソナライズに使っています。問い合わせが来た時に、すぐにお客さん情報が見えるところがとても便利です。顧客IDがすぐ出てくるし、名前が分かるので、名前で呼びかけることができる。また、注文内容がすぐ見られるので、問い合わせの際に、注文番号を聞いてそれを検索して…という手間がかかりません。

カテゴリもよく使っている機能です。問い合わせが来た際、どんな問い合わせだったのかをカテゴライズする機能があるのですが、以前だったらエンジニアやマーケターがデータを抽出していたところを、今ではチャネルトークの機能で統計が表示されるので、すぐ確認して改善につなげることができます。

Jay:これからEC事業に参入する企業に、何かメッセージはありますか?

Park:スタートアップ企業の場合は、リソースが足りないので選択と集中をする必要があるとは思います。しかし、売上にばかり集中してしまったのでは、他のケアが行き届かなくなります。

お客さんの声を聞いたり、お客さんの情報を把握することが大切です。 ペットフレンズの場合、チャネルトークを使ってそこをクリアしました。そこまでリソースをかけることなくお客さんと会話ができるからです。売上を達成しながらもお客さんの声を聞くことができました。

最初の段階では集客に集中することも大事ですが、その後はコンバージョン率やリピート率をきちんとケアできていれば、事業はうまく回るようになります。

Jay:貴重なお話ありがとうございました。

日本のEC 今後のトレンド

――日本のEC業界は、今後どのようになると思いますか?

Jay:今後は、オフラインからオンラインに進出する企業が強くなっていくでしょう。

最初からオンラインで始めた企業は、数字で考える習慣がついており、接客というマインドがあまりありません。 一方、オフラインからオンラインに進出した企業の場合、基本的な接客がすでにできています。

弊社のお客様でもオフラインとオンラインの両方に取り組んでいる企業が増えていますが、弊社としても非常に勉強になります。

オンラインだけで展開している企業は、オフラインからオンラインに進出してきた会社にシェアを奪われてしまう危険があります。そこを回避するためには、データだけではなく、定性的な部分も見ていく必要があるでしょう。

――オンラインでしか展開していないショップがやりがちな間違いというのは、何かありますか?

Aya:購買率やリピート率などのKPIを上げたいとき、安易にクーポン施策に走ってしまうことですね。クーポン施策は実の方が難しくて、あまり出しすぎてしまうとブランディング毀損になり得ます。クーポンを送るのではなく、お問い合わせに誘導するなどの工夫をするべきです。

クーポンでリピーターは作れるかもしれませんが、ファンは作れません。クーポンを使ったお客様は、割引された価格で買うのが当たり前になってしまうからです。

多くのECショップがクーポンに走ってしまうのは、自分たちで大きく転換できるポイントとしてそれしかないからです。しかし、チャネルトークでは、「有人のチャットでやり取りできれば、その約7割が購入に至る」というデータがあります。個別のコミュニケーションを取ることで転換率が上がる。クーポンしかなかったところに、プラスアルファで接客が候補に上がってきているのです。

持続性のあるビジネスを目指して

――チャネルトークが最も大切にしていることは何ですか?

Jay:持続できるビジネスであることです。

チャネルトークを使って事業者が持続的な成長を遂げることで、私たちも持続的な成長が可能になると思っています。そのために何が必要なのか。そこを常に考えています。

Aya:持続的な成長をする企業を増やすこと。これがまず、私たちのミッションです。そのためには何と言っても顧客中心でなければいけない。そのためのツールとしては、カスタマーサポート・サクセスツールが必要で、その中でもまずはお客様と最も話しやすい「チャット」だよね…というロジック。チャットありきで始まったサービスではなく、企業の持続的成長をサポートするためのサービスなのです。

Jay:ペットフレンドさんもおっしゃっていましたが、販売者が楽になる仕組みだけを入れても仕方がない。

チャネルトークは、あくまでも一つのツールに過ぎません。これを導入したら成長するのかと言えば、それは違います。なかには、チャネルトークを導入しても、お客様からのメッセージに返信しないショップもあります。それでは意味がありません。

今後、確実に日本でも競争は激しくなります。そんななかで、お客様中心の考え方をしない企業は存続できなくなっていくでしょう。

日本の商店には、素敵な文化があります。何百年も続いている飲食店がある。

日本の実店舗でのおもてなしは、世界に誇れる文化です。それをオンラインで実現できていないのは、本当にもったいない。持っているポテンシャルを活かして、実店舗でやっていたことをオンラインに移行することができれば、大きく伸びるのではないでしょうか。老舗の商店がどのようにして生き残ってきたのかが、大きなヒントになると思います。

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