チャネルトークが注目されるワケ 本質的な接客を行う重要性を考える。

ECのミカタ編集部

株式会社Channel Corporation
(左)日本CEO 玉川 葉氏(Jay)
(右)CCO 坂本 彩氏(Aya)

昨年、日本での売上実績7倍という驚異の躍進を遂げたEC支援ツールがある。ECサイト上で実店舗さながらの接客ができるチャットサービスの「チャネルトーク」だ。その大躍進の秘密と今後の日本EC市場のトレンドについて、「チャネルトーク」を提供する株式会社Channel Corporation 日本CEO 玉川葉氏(Jay)とCCO 坂本 彩氏(Aya)に話を伺った。

自分たちが顧客の声を聞くために、チャネルトークは開発された

――まずは、チャネルトーク開発の経緯について教えてください。

Jay:弊社は、2014年韓国で創業しました。私は「日本で一緒にやりましょう」ということで、2015年にジョインしました。

創業当初、主に扱っていたのは、オフライン店舗を分析するビッグデータサービスでした。これは、店舗の前にセンサーを設置して、お客様が何人入ったかなどを分析するサービスです。主にエンタープライズの事業規模の企業で利用されていたのですが、本当は中小企業のためのソリューションを提供したいという想いを持っていました。 そこで、中小企業でも導入できるオンラインのサービスを立ち上げることになりました。

――それでチャットツールに目をつけたのですね。

Jay:提供するサービスとしてチャットツールに目をつけたというよりは、自分たちに必要なものがコミュニケーションツールだったという感じです。

新しいサービスを開発するにあたって、一つ大きな問題に気づきました。お客様のことを何も知らないままビジネスをやっていたのです。

私たちは、自分で店舗を運営した経験がありません。サービスを利用してくださるお客様がどのようなことに悩んでいるのか、どのようなサービスを求めているのか、分かっていなかった。 なので、まずは自分たちがお客様のことを知ることが先決。お客様ともっと話しやすくするために…と考えて開発したのが『チャネルトーク』です。 そして2017年に、チャネルトークを日本と韓国で同時リリースしました。 (2018年に有料版のリリース)

――さまざまなコミュニケーションツールがある中で、チャットサービスを選択したのはどのような理由からですか?

メールや電話より、リアルタイムでコミュニケーションが取れるチャットの方がいいという思いがありました。そこで、海外のサービスを導入してみたのです。でも、ローカライズされていなくて、使える言語は英語のみ。インターフェイスもシリコンバレー仕様で、正直、使いやすいとは感じませんでした。

もちろん、サービス自体はよくできていました。だけど、日本や韓国には向いていなかった。 「これなら自分たちで開発した方が良いものが作れそうだね」と。

――当時、日本や韓国にチャットサービスはあまりなかったのですか?

Jay:その頃は、チャット"ボット"サービスが主流でした。でも、チャットボットサービスの目的は、お客様とのコミュニケーションではありません。むしろ、どうすれば会話をしないでに済むかというところにあって、コンセプトが全く違います。当時は効率化が重視されていたので、ボットが一気に普及しました。

しかし、私たちの目指すサービスは、お客様とたくさん会話するためのものです。初期のチャネルトークには、ボット機能がなかったくらいですから。人と人が対話するためのツールに特化していました。

でも、ボットばかりが売れていく。あの時は本当に苦しかったですね。競争が激化した今になって、ようやく皆さん「お客さんとのコミュニケーション」の重要性に気づきはじめ、チャネルトークが注目されるようになりました。

――チャットと他のコミュニケーションツールとの違いはどんなところにありますか?

Aya:ツールごとに良さがあり、チャットが完璧とは考えていませんが、チャット機能から開発した理由として、最もお客様の声を聞きやすいという点があります。電話やメールに比べて、チャットのほうが顧客満足度が高いという海外のデータもあります。

利点としては、何といっても情報共有がしやすいことです。テキストなので電話に比べて格段に管理がしやすくなっています。データとして分析することも容易です。

また、従業員側の満足度が高いのも、チャットの大きな利点の一つです。メールの場合、問題が解決した段階でやり取りが止まってしまうものですが、チャットだと、お客様の「ありがとう」までコミュニケーションのラリーが続きます。

お客様の課題を解決するというゴールは同じですが、「ありがとう」の言葉をいただけることで、従業員は自分が役に立ったと知ることができます。そして、チャット後に購入したというデータを見ることで、自分の貢献を実感します。このことは、働いている従業員の満足度も大きく向上させるのです。

答えは顧客にある

Aya:お客様と話さなければ、ビジネスはうまくいきません。

お陰様で、多くのお問い合わせをいただくようになりましたが、効率化最優先であるとか、お客様対応のためにリソースを割くことができない企業様には、「お客様と話すこと」でのビジネス的なメリットや、お客様へのメリットをお伝えしています。

「お客様の声を聞きたい」そう思うか思わないかが、チャネルトークを活かせるかどうかの基準です。

ーーあくまでお客様が主体なのですね。

Aya:お客様がコアで、効率化はその後に解決する課題だと考えています。

どの企業も、事業が成長するまでは、一人一人のお客様を大切にしていたはず。だからこそ、大きくなれたのだと思います。しかし、会社が大きくなると、そのことを忘れ、効率化に走ってしまう。
企業規模が大きくても小さくても、コアは変わらずずっとお客様。お客様との対話は不可欠です。

数年前までは効率化を期待してチャットツールを検討する事業者も多かったのですが、最近ではコロナの影響もあって、「実店舗のおもてなしをオンラインでも」という流れができつつあります。それもあって、お客様との対話の重要性をすんなり受け入れていただけるようになりました。

チャネルトークの機能

ーーチャネルトークを使うとどのようなことができるのですか?

Aya:チャネルトークには、大きく分けると「お客様と会話する機能」と、「社内での会話機能」があります。 お客様と会話する機能というのは、ECサイトによくあるチャット機能です。ボット機能もついていますが、実際に人が対応することをメインとした機能になっています。

また、社内用に、SlackやChatWorkのようなビジネスチャット(社内チャット)の機能もついています。これは、お客様の声は社員みんなが聞くべきだという視点から作られた機能です。

私たちは「コーヒーテーブル」と呼んでいるのですが、社員のメンバーがいる中にお客様にも加わっていただき、友人のようにみんなで会話をする。これが、チャネルトークというチャットツールのコンセプトです。

――お客様はチャットの画面でやり取りしている時に、複数スタッフが対応してくれていることに気付くのですか?

Aya:はい。分かるようになっています。複数人のスタッフが一人のお客様に対して対応することは、「また新しい人が入って対応してくれた」「担当の人を呼んできてくれた」「丁寧に大切に対応してくれた」といった形で、結構お客様に喜ばれているようです。ECショップではまだ機械的な対応をされることも多いですから、丁寧な接客をしていることが伝わることは大きなアドバンテージになります。

チャネルトークとチャットボットの違い

――日本で今までチャットボットが普及してきたのは、なぜでしょうか?

Jay:ボットのほうが、導入ハードルが低いからだと思います。人的リソースはほとんどかかりません。 それに比べて、人が対応するチャットツールでは、どうしてもリソースが必要になります。また、チャットが届いたらどのように返信すればいいのかといったノウハウも必要です。

ECの業界では、マーケティングオートメーションサービスが広く普及しています。AIが導入されているサービスもある。これさえ導入すれば、あとは何とかなるだろうという期待を持っている人も多いでしょう。

しかし、そのようなサービスは、各社が上手に活用できない場合、多くの会社が導入すればするほど、サービスが画一化してしまいます。差別化することができず、競争が激しくなるにつれ、厳しい状況に立たされることになるでしょう。泥臭くても、リソースを割いてきちんとブランディングしていく企業が、長い目で見れば成功するのだと思います。

――チャネルトーク以外で、有人のチャットサービスはないのでしょうか?

Jay:チャットボットから始まったサービスで、有人チャットができる機能を追加したものは出てきています。 しかし、トーク機能のついているチャットボットと、チャットボット機能もついているトークツールでは、全く構造が違います。

サービスというのは、どのような考えで作ったかによって、構造が大きく異なります。チャットボットに後からトーク機能をつける場合、リアルタイムで相互にやり取りのできる機能が追加されただけ...というサービスがほとんどです。

しかし、トーク機能から始まったサービスは、バックエンドが充実しています。ですから、後でビデオ会話機能をつけることもできるし、顧客データを活用することも可能です。

Aya:チャネルトークは接客のためのチャットサービスなので、スタッフの業務フローまでしっかり考えて作り込んでいます。

一人のスタッフでは対応できない相談は多いと思います。そのような場合、チャネルトークなら、他のスタッフをチャットに招待して、対応することが可能です。担当者をチェンジすることもできます。

こうしたお客様とのやり取りのデータは履歴として残るので、そのお客様が再び訪問してきた時に、「再度ご来店ありがとうございます」という声掛けから接客ができるようにもなります。

チャネルトークを使うことで起こる変化

――チャネルトークを導入されたショップさんには、どのような変化が起こりますか?

Jay:購買後の問い合わせは減ります。チャットボットの機能も使うことで、それまであまり読まれなかったFAQが読まれるようになりますので。

逆に、購買前の問い合わせは増えます。これは、お客様が気軽に店舗に質問することができるためです。

チャネルトーク内のデータを見てみると、全ての問い合わせのうち6~7割が購買前のものになります。そして、購買前に問い合わせした人の約7割が購買に至ります。

――購買前の問い合わせが増えるというのは意外です。

Jay:データを見る前は皆さん、「チャットを導入すると、返品の問い合わせが増えるのではないか」と不安になる方が多くいらっしゃいます。しかし、実は逆なのです。実際には、購入を考えている商品に対する質問が増えます。

Aya:購買後の問い合わせも、一部の内容については増える傾向があります。「買ってはみたものの使い方がよく分からない」といった質問は特に増えますね。

このようなアフターケアの問い合わせは、丁寧に対応することで、正しく商品を使って価値を最大限感じていただき、さらにファンになっていただけるポイントなので、新たな付加価値を提供できるチャンスです。

お客様のデータは蓄積されるので、次のご訪問からは前回どんな問い合わせしたかをわかった上で対応できます。たくさん買ってくれる方だとか問い合わせしてくれた方だとか、お客様の情報を知っていれば、話しかけ方も自然と変わってきます。

まさに実店舗と同じように「また来てくださってありがとうございます」という挨拶から接客ができるわけです。

そして、よく買ってくださる方には特別なキャンペーンをお知らせするといったVIP扱いのコミュニケーションもできます。実店舗の場合、ショップ店員の記憶力に頼らなければいけない部分がありますが、チャネルトークはそこをシステムで補っているため、店員個人の能力に頼らずに済みます。

Jay:実店舗の場合、売上以外のデータはあまり見ることがありません。大手なら何人訪問したかをセンサーなどで計測していることもありますが、ほとんどの店舗では来客数のカウントができません。それでも、お店は回っている。それは、お客様の動きを見ているから、そして、お客様と実際にコミュニケーションをとっているからです。

「それをECショップでもやりましょう」というのがチャネルトークからのメッセージです。

ECになると途端に数字しか見なくなるショップさんがあります。定量的な部分はもちろん見なければなりません。しかし、定量的な部分と定性的な部分を一緒に見ることが重要です。データからショップのアクセス数と購入数はわかると思います。しかし、「なぜ?」という部分は分かりません。

お客様と対話することによって、「だから買うんだ」とか「だから買わないんだ」と分かる。これで初めて改善が可能になります。
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前半はここまで。後半にはチャネルトークの普及が進んでいる韓国と日本のEC市場の違い、そしてチャネルトークを導入している韓国のEC企業の事例を伺います。

後半を読む→https://ecnomikata.com/original_news/30555/


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