フォロワー数100万人以上の人気ブランド“Little Rooms”を物流で支えるオープンロジ
ECにおいて、ブランドのイメージを左右するのは商品やサービスだけではない。物流のクオリティも、自社ブランドを印象付ける大きな要素のひとつである。
そこで今回紹介するのは、株式会社andが展開するライフスタイルブランド “Little Rooms”の事例。Instagramの総フォロワー数は100万人を超え、多くのファンを抱える同社が採用した物流サービスが、オープンロジだ。ブランドとして大切にしている価値観は何か。なぜオープンロジを選んだのか。COO佐藤真緒氏に話を伺った。
“小さな幸せ”のムーブメント発信源“Little Rooms”
――株式会社andの事業内容について教えてください。
佐藤: 株式会社andは、 インターン時代の同期である代表の平と二人で2018年に創業した会社です。当時自分たち自身が暮らしに課題を持っていたこともあり、みなさんの暮らしを豊かにするための提案をしたいという 想いから立ち上げたライフスタイルブランド“Little Rooms”を立ち上げ、その運営を行っています。
――“Little Rooms”とは、どのようなブランドですか?
佐藤: “小さな幸せ、愛おしい暮らし”というコンセプトのもと、インテリアや雑貨をメインに扱っているブランドです。ECでの商品販売とメディアを展開していて、Instagramを中心にTwitter、TikTok、YouTubeなどを通じてさまざまな情報を発信しています。
Instagramは“Little Rooms”公式アカウントのほか、コーディネート紹介などの部屋づくりに特化した“make my room by Little Rooms”、料理や趣味の時間といったお部屋での過ごし方を紹介する“in my room by Little Rooms”の計3アカウントを運用していて、その総フォロワー数は100万人以上になります。
――フォロワー100万人はすごいですね! なぜそこまで伸ばすことができたのですか?
佐藤: 当社が事業を始めた当時は、「暮らし」のメディアといえば、ファミリー層向けの部屋数の多い戸建てやマンション、TVで見るような手の届かない憧れの家が主に紹介されていました。
そんな中で、あえて「ワンルームの狭いお部屋だけど、自分の好きなものに囲まれた幸せな暮らし」という世界観で情報発信してみたところ大きな反響があり、フォロワーがどんどん増えていきました。今でこそ「ひとり暮らし」のお部屋をインスタに載せる人が増えましたが、その文化をつくる側になれたのは大きかったと思います。
Shopifyで自社ECを垂直立ち上げ
――SNSのメディアとしてスタートした“Little Rooms”が、ECを始めたきっかけを教えてください。
佐藤: 女性の社会進出が進んでいること、未婚率が上昇していることなどの社会的な背景もあり、これまで以上にひとりで暮らす時間は長くなっています。Instagramのフォロワー数の伸びを見ても「ひとりで過ごす空間や時間を整えたい」というニーズは高まっていて、そのお手伝いをしたいと考えたのがきっかけです。
――ブランドを展開するうえで、どのような価値観や想いを大切にしていますか?
佐藤: ブランドコンセプトにもなっている「小さな幸せ、愛おしい暮らし」というのを常に意識しています。私たちが考える「小さな幸せ」というのは、「自分の意識が自分に向いている状態」を指しています。他人に良く思われたいから暮らしを整えるではなく、「本当に自分が好きなモノだから」「心が満たされるから」と、自分のために暮らしをつくることを意識しています。当社の定義する「ひとり」とは、ひとり暮らしには限りません。家族と過ごす中での自分ひとりの時間なども含んだ、より広義なものだと考えています。
ライフスタイルに興味・関心のある方は、あまり年代は関係ないと思っているので、ターゲットもそんなに絞り込んでいません。実際にご利用いただいているお客様の層としては、20代〜30代後半の女性が多いですね。
――商品のセレクトはどのようにしていますか?
佐藤: これまで商品は全て買い付けていましたが、最近はオリジナル商品の開発にも力を入れています。商品企画チームを立ち上げて、お客様の声を反映させたアイテムづくりを目指しています。人気商品は造花やキャンドルなどの小物系です。最近では、季節に合わせて交換できる布団カバーやカーテンなどのファブリック系が売れ筋になっています。
――ECのプラットフォームはShopifyを採用したとのことですが、その理由を教えてください。
佐藤: 多くの知り合いの企業様がShopifyを利用していて、その推薦があったのが大きいですね。エンジニアが社内にいないので、デザインのカスタマイズが容易で、アプリを入れて機能追加ができるのが魅力です。
――集客はどのようにしているのですか?
佐藤: SNS、特にInstagramでの集客がメインです。広告を出してフォロワーをどんどん増やすというよりは、今いるフォロワーの皆様に商品の魅力を届けて、深い関係性を築くことを意識しています。コメントやDMをいただくことも多く、商品づくりのヒントになっています。
――EC立ち上げ前からファンがいたということは、サイトオープン直後から注文件数は多かったですか?
佐藤: おかげさまでリリースしてすぐに、たくさんのご注文がありました。「こんなに売れるんだ!」とびっくりしたのを覚えています。
顧客との関係性を深めるために、オープンロジを採用
――最初から注文件数が多かったということは、物流の業務をどうするかは重要な課題ですね。
佐藤: 当時は代表の平と私の2人でショップに関わる全ての業務を回していたので、物流にリソースを割く余裕がありませんでした。そのため、サイトを立ち上げた当初から自分たちでは出荷業務は行わず、オープンロジ様を利用しています。
――オープンロジを採用した理由を教えてください。
佐藤: 大きかったのはShopifyとシステム連携していて、オペレーションを自動化できる点です。選定時には複数の物流会社からご提案がありましたが、その中でも、ショップが大きくなった時に大量の入荷があっても対応してもらえることや、ボリュームが増えてもユーザーを待たせることなく、漏れなくスピーディーに対応してもらえることが決め手でした。
――実際にオープンロジを利用してみて、満足している点はありますか?
佐藤: まず挙げたいのが、検品体制がしっかりしている点です。当社はSKUも一度の入庫数も多いのですが、海外から買いつけている商品では検品が甘くなってしまっていることがたまにあります。商品ごとにチェックしてほしいポイントが異なるのですが、オープンロジ様では入庫時に丁寧に確認してくれます。
あとオープンロジ様は全国のさまざまな倉庫と提携しているので、自社の商品やサービスにマッチした倉庫をアレンジしてくれます。その倉庫ネットワークのおかげで、急に爆発的な注文が入ったり、大量の入荷があったりした際にも、柔軟に対応してくれます。
――SKUや在庫数が多いと、配送費だけでなく保管料などのコストも気になるところですね。
佐藤: 仕入れや販売の関係で、どうしても在庫数には波ができてしまいます。オープンロジ様は固定費がかからず従量課金なのもメリットだと思います。
――日々の運用面ではいかがですか?
佐藤: 物流倉庫 側とのやりとりは間にオープンロジ様が入ってくれるので、物流に詳しくない担当者でもスムーズにコミュニケーションがとれます。オープンロジ様の担当の方とは、Slackでやりとりできるのでそれもありがたいです。
管理画面の操作性も優れていて、注文ごとのステータスも把握しやすいですね。お届け先の住所修正や急な注文キャンセルが入っても、画面上で操作できるのでコミュニケーションの工数がかかりません。Shopifyの注文情報は自動で取り込まれて、出荷完了のメール配信まで自動で処理してくれるので、社内での受注処理業務はほぼ発生していません。
――ユーザー視点から見ても、オープンロジは有用ですか?
佐藤: 発送が遅かったり、不良品が届いたりなど、たった1件のミスでお客様との信頼関係は崩れてしまいます。ミスなく・スピード感ある出荷体制が実現できたことは、顧客満足度を高める要因になっていると思います。実際にお客様から「すぐ届いた」というお声はよくいただきます。
荷姿について相談できるのもメリットで、以前、福袋企画としてオリジナルの包装をお願いした際はUGC(※)が増えました。同梱物や包装については、今後さらに力を入れていきたい領域です。
※UGC(User Generated Contents)とは一般ユーザーによって生成されたコンテンツ。 ECサイトの口コミなど。
――オープンロジはどのようなEC事業者と親和性が高いと思いますか?
佐藤: 私たちはブランドを作ることや世界観を確立していくことは得意ですが、物流はまったくの初心者でした。同じようにアイデアを形にすることができるけれど 、 物流業務のノウハウが無い事業者におすすめしたいです。
お客様との関係性を大事にしている当社としては、その構築に多くのリソースを割きたいと考えています。私たちは商品企画やお客様とのコミュニケーションに注力して、物流業務はオープンロジ様にお任せしておけば、素晴らしいクオリティで運用できます。
商品を拡充して、さらなるブランドの成長へ
――2021年3月に資金調達をされたとお聞きしました。どの領域を強化していきたいと考えていますか?
佐藤: まずはオリジナル商品の企画や製造に注力していく予定です 。他に オペレーションの改善や、マーケティングなど、できることは山積みなので、一緒にブランドの成長を担ってくれる人材の採用も進めています。
――“Little Rooms”の今後の展望について教えてください。
佐藤: ミレニアル世代向けのライフスタイルブランドとしては、ある程度の地位を築けたと思っています。今後はさらに“提供できる価値”の範囲を広げていきたいです。
これまでは小物の取り扱いが多かったのですが、“Little Rooms”でお部屋をトータルコーディネートできるように、家具類のラインナップを拡充する予定です。引越しやひとり暮らしを始める時に 、まずIKEAやニトリを見に行く方は多いでしょう。その次に“Little Rooms”をチェックしよう、と考えてくれる方が増えたらうれしいですね。