越境ECの「確実に届くという安心と信頼」は、セラーの作業効率も意識も変える

ECのミカタ編集部 [PR]

中:株式会社エニグモ カスタマーマーケティング事業本部 部長 今寺優介氏
左:株式会社エニグモ カスタマーマーケティング事業本部 パーソナルショッパーグループ 稲妻志皓氏
右:DHLジャパン株式会社 ナショナルセールス・営業企画&マーケティング本部 首都圏統轄営業部長 神崎裕美子氏

コロナ禍でECビジネス、デジタライゼーションが加速化したことは皆が知るところだが、その裏には企業戦略とそれを展開する努力がある。世界164カ国に850万人以上の会員を擁するソーシャルショッピングサイト「BUYMA(バイマ)」を運営している株式会社エニグモとDHLジャパン株式会社が、コロナ禍で滞った国際輸送において、どのようにサービス維持を目指して取り組んだのか。両社に話を伺った。

国際輸送がストップするという非常事態

――まずはエニグモが運営する「BUYMA」について教えてください。

今寺 世界164カ国に拠点を置くセラーを通じて、世界中のファッションアイテムを購入できるショッピングサイトです。私たちはセラーのことをパーソナルショッパーと呼んでいますが、個人のセラーが中心です。アイテムはファッションが中心で、日本では販売されていないブランドや、日本では扱いがない商品や、日本ではすでに完売した商品などを購入できるだけでなく、現地価格で安く購入できることもあります。

――具体的に新型コロナウイルスの影響はどのようなものだったのでしょうか。

今寺 私と稲妻が所属するカスタマーマーケティング事業本部は、セラーとユーザーをサポートするチームですが、2020年3月頃から通常の数倍のお問い合わせが入るようになりました。

「BUYMA」では、セラーが数ある配送サービスの中から、ご自身にあった配送サービスをご利用されています。提携配送サービスとしては、アメリカ在住のセラーを対象に、USPS(アメリカ合衆国郵便公社)と提携しておりました。
セラー毎に利用している配送サービスが幅広くありますので、コロナ禍の初期段階では、どの国からのどの配送方法で問題が発生しているのか、影響の把握には苦労しました。

神崎 郵便事業者の国際輸送サービスは基本的には民間の旅客便の貨物スペースを利用しています。コロナ禍で国と国とをまたぐ移動が大幅に制限され、旅客便の8割以上が運行停止になりました。それに伴って国際輸送が遅延または受託停止になったため、私どもDHLにもお問い合わせが殺到しました。

その一方で、非接触で購入できるECが急成長した時期でもあったというのは、みなさんご存じだと思います。受注しても送る手段がないため、ご相談はとても切実な内容ばかりでした。

パンデミック宣言から1カ月で始動

――国際輸送が滞ったことに対して、どう対応されましたか。

今寺 初期段階では、各国の配送サービスに関連する情報収集と共有を心掛けました。セラーに配送遅延状況を共有するだけでなく、配送遅延の可能性がある配送サービスを利用しているセラーには、購入者に対して商品が届くまで通常より時間がかかる旨をしっかりご説明いただくようお願いしました。

一部地域からの配送に大幅な遅延が見られるなかで、「BUYMA」をどのように運営していくべきかという議論は社内でも散々しましたが、結論として私たちが最優先しなければいけないことは二つあると考え、できることから行動していきました。

その二つとは、まずユーザーにご迷惑をかけないこと。そのうえで、サービスを止めないことです。配送が不安定な状態での売買は極力避けるべきですが、「BUYMA」の売上で生活していらっしゃるセラーの方も大勢いらっしゃいます。販売活動の停止は死活問題につながるので、サービスを止めずに、配送不安を解消する方法としてDHLに相談しました。

――配送サービスを提供する企業は多いですが、なぜDHLだったのでしょうか。

今寺 別のプロジェクトで2019年10月からお付き合いがあったことがきっかけにはなりましたが、DHLは国際輸送に強く、コロナ禍においてもサービスを力強く継続されていると聞き、それならお任せできると思いました。

稲妻 世界中にセラーがいらっしゃるので、世界中で対応できなければ意味がないとお伝えすると、担当営業の方から、「世界中どこでも対応できる」と言っていただき安心しました。パンデミック宣言がされた翌月の4月には「BUYMA」ユーザー限定の配送サービスがアナウンスできたのは、DHLの対応がスピーディーだったからに尽きます。

神崎 今寺さんたちから安全かつ満足度の高い購入体験を維持したいと相談があった当時の物流業界は、世界規模で多くの荷物が滞留していて、大問題になっていました。私たちも自社機の運航はもちろん、パートナーエアラインの貨物スペース確保に力を入れてサービス継続に努めてはいましたが、混乱は相当なものでしたね。

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コロナ禍で気付かされたこと

――「BUYMA」ユーザー限定のサービスで工夫した点は何でしょう。

稲妻 システムの開発には時間がかかるので、まずはDHLの既存ツールである「MyDHL+」をベースにパッケージ化したものを使用することをご提案いただきました。

現在セラーは約17万人いますが、これまでは配送料が安い各国の郵便を利用しているセラーが大半でした。配送サービスの選択はセラーそれぞれに理由があるとは思いますが、配送料の設定においてもDHLに配慮いただき、利用しやすいサービスになったと思います。

神崎 「MyDHL+」は、送り先の情報や貨物情報を入力することで、インボイスを含めた必要書類を直感的な操作で完成させることができるツールですが、セラーのほとんどがDHLの利用経験がありませんでした。そこで「BUYMA」のサービスに合わせた説明書を作成してサイト上で公開し、作業がスムーズに完結するよう配慮しました。

また私たちが、オンデマンドデリバリーと呼んでいるサービスを活用し、購入者がお受け取り方法を選択できる環境を用意しました。これにより、購入者は商品の輸送状況を把握できるので、セラーへの配送におけるお問い合わせを減らすことで業務効率改善に寄与できたと思います。

今寺 配送が途中で止まってセラーのところに商品が戻ってきてしまうと、その商品はキャンセル扱いになります。「BUYMA」は注文が入ってから商品を購入するので在庫リスクをとらずにセラー活動ができるというのが大きな特徴になっていますが、商品買付後のキャンセルが多発してしまうとセラーには大きな負担になってしまいます。当然、購入者はせっかく購入した商品が手に入らず、大変残念な購入体験となってしまいます。しかしDHLのオンデマンドデリバリーを活用することで、そうした誰も得をしない取引を減らすことができ、配送スピードも向上しました。

世界のEC化は加速し、ECで注文すれば次の日には手元に商品が届くことを期待するユーザーも多くいます。そんななかで配送スピードの向上を課題の一つだと捉えていましたが、コロナ禍で安定して使える配送サービスの選択肢が減ったことがDHLを利用するきっかけになって初めて、セラーはDHLの配送サービスを使うメリットを実感できたと思います。

稲妻 当然のことですが、商品が早く届くと、キャッシュフローも早くなります。セラーへの振り込みは月6回ありますが、平均して2回分くらいは前倒しになります。1週間でも早く振り込みがあれば、またすぐに次の商品を購入でき、ビジネスが加速します。価格だけみればもっと安いサービスもありますが、手間や配送クオリティーの高さを考えると、DHLにはそれ以上のメリットがあります。

重要なのは越境ECに対する深い理解

――DHLとの連携が成功した秘訣とは何でしょう。

今寺 現在システムを構築中で、重量帯別の価格設定などこれまでも要望の強かったメニューを増やすために、いろいろと注文を出していますが、私たちがやりたいことや越境ECにおける国際輸送について理解されているので、コミュニケーションの面で難しいと思ったことは一度もありません。

世界各地でセラーが活動しているため、生じる課題は画一的ではありません。アナログ的にこまやかな対応が求められるところも多いはずですが、とても細やかな対応があったので大きなトラブルなく連携を進められたのだと思います。

神崎 例えば日本ではロッカーでの商品の受け取りが可能ですが、ロッカーが使えない国もたくさんあります。越境ECではそうした細やかなサービスの強化が重要です。また、目まぐるしく変化し続ける環境への敏感な対応が求められる越境ECに対する深い理解があってはじめて適切なソリューションをご提供することができます。

当社は世界各地に拠点があるので、今後も情報収集に努めますし、さらに理解を深めるためのトレーニングを継続的に行っています。そうした小さな積み重ねが大事なのではないかと思いますね。

――今後の展開を教えてください。

今寺 現在、「BUYMA」の軸はファッションですが、ライフスタイルやインテリアのカテゴリーに力を入れていきたいと考えています。ただそれらのカテゴリーの商品を配送するには、洋服とはまた違う配慮が必要になるでしょう。特に通関や輸送のところがキモになると思うので、DHLにぜひアドバイスいただきたいです。

神崎 もちろんです。他にも私たちは、お客様の課題に応じて、ウェブマーケティングコンサルティング企業や決済サービス提供企業などとパートナーシップを築きながら、物流に限定しない幅広い範囲での支援を行っています。より深い連携を今後も模索させてください。

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