アフターコロナで顧客が求めるものとは?ビジネス成長のカギは顧客を中心としたビジネスプロセス設計。

ECのミカタ編集部 [PR]

セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 笹俊文氏

新型コロナの影響により購買行動が大きく変容した昨今、各社がデジタル施策の取り組みを強化している。この中で特に重視されているのが、顧客体験の最適化による顧客満足度とLTV(顧客生涯価値)の向上だ。顧客管理プラットフォームで圧倒的なシェアを誇る株式会社セールスフォース・ドットコムが提供する「Salesforce Customer 360」はマーケティング、コマースからサービスまでのカスタマージャーニー全体を網羅する。Salesforce「Salesforce Customer 360」により実現される顧客体験とは何か。専務執行役員の笹俊文氏に話を聞いた。

グローバルで6000サイト以上が利用

──「Salesforce Customer 360」とはどのようなプラットフォームなのか、またその中での「Salesforce Commerce Cloud」の位置づけについて教えてください。

「Customer 360」とは、ECサイト、実店舗、モバイルアプリ、SNSなど、あらゆるチャネルで顧客とのつながりを創出し、顧客データを一元管理し活用することで、オンラインとオフラインの垣根を越えて1 to 1マーケティングを実現するプラットフォームです。またこの中でお客様が実際に商品を購入されるECサイトを構築する製品が「Commerce Cloud」です。

「Commerce Cloud」にはECに必要な様々な機能が標準搭載されており、基本テンプレートを使えば迅速に高機能なECサイトを立ち上げることができます。認定パートナーのアプリケーションを使ったり、API連携によって外部のシステムやソリューションと接続したりすれば、独自のUI/UXを備えたオリジナリティの高いECサイトを短期間で構築することも可能です。
 
現在は世界中の6,000以上のサイトで「Commerce Cloud」をご利用いただいており、このすべてのECサイトが単一のプラットフォーム上で稼働しています。SaaS型のソリューションなので、システムのメンテナンスやバージョンアップはSalesforceで一律に実施され、クライアント側でシステムを管理する必要がありません。サーバはスケーラビリティがあり、クライアントのトラフィックに応じて処理能力を割り当てますから、1日あたり数百万人が利用するような巨大なECサイトでも安定的に稼働することは「Commerce Cloud」の強みと言えるでしょう。

1to1の「おもてなし」で顧客体験が向上

1to1の「おもてなし」で顧客体験が向上

──「Commerce Cloud」は、顧客体験(CX)を高めることができるソリューションとして、世界的に高く評価されていますね。「Commerce Cloud」はなぜCX向上に役立つのでしょうか。

ポイントは2つあります。1つ目は、顧客1人1人を「個人」として識別し、行動データからニーズを推測した上で、その顧客にとって最適な商品を提案できること。いわゆる1 to 1 コマースの実現です。
 
1 to 1コマースの分かりやすい例は、商品レコメンドのパーソナライズ化です。まずは顧客の行動データをもとに、顧客のニーズや嗜好を把握します。さらに、ECサイトにおける過去の購入履歴や、実店舗のPOSデータなどを活用して、その顧客が「今、購入する可能性が高い商品」を推測して商品をレコメンドする。

実店舗では来店するすべてのお客様を対象として効率よく商品陳列がされるわけですが、ECサイトでは一人ひとりのお客様ごとに「並び順」まで最適化した状態でお客様をお迎えすることができるのです。レコメンドする商品は、弊社が開発した人工知能「Einstein」を利用することで自動的に選別されるため、EC担当者が手作業で運用を行う必要はありません。

そして2つ目のポイントは、「Commerce Cloud」がシームレスにマーケティングやサービスのソリューションに連携できるという点です。1 to 1マーケティングという言葉はよく耳にされるかと思いますが、せっかくマーケティングで一人ひとりのお客様に適切なメッセージを発信したとしても、お客様がECサイトを訪れた際にその情報が反映されていなければ意味がありません。サービスに関しても同様です。ご連絡をいただいだお客様との間に、過去どの様なやり取りがあったかを把握することで、きめ細かいサービスの提供が可能になるのです。

この様にチャネルやデバイスの垣根を越えてマーケティングから販売、アフターサービスまで、カスタマージャーニーの全体を通してお客様のデータを連携し、一貫性のあるサービスを提供することでOMO(On-line merges with Off-line)を実現します。

具体的な例でいうと、アパレルブランドの店舗スタッフがタブレット端末を携帯し、会員のサイズデータやECサイトでの購買履歴などを参照しながら、店頭で商品を提案するといった施策も既に行われています。

──オンラインとオフラインで一貫性のある接客を行うことは、現在のEC業界・小売業界において非常に重要なテーマですね。

おっしゃる通りです。オンラインとオフラインのデータがシームレスに連携することで、初めて訪れる店舗であったとしても、店員はお客様目線での接客をおこなうことができます。近年はスマートフォンの普及によって、企業と消費者のタッチポイントが増えました。アプリやSNSを駆使し、オンラインとオフラインを自由自在に行き来する消費者に対して、テレビCMなどのマスマーケティングは以前と比べて効果を発揮しにくい。顧客とのコミュニケーションチャネルが多様化する中で、OMOの重要性はますます高まっていくでしょう。

あらゆるチャネルのデータを一元管理し、CRMに活用

OMOを実現するには、さまざまな販売チャネルや顧客接点から得られるデータを一元化することが必要です。弊社はデータ管理プラットフォーム「Salesforce CDP」を提供しており、あらゆるチャネルから得られる顧客の行動データを自動的に取り込み、一元管理することを可能にしています。これにより、お客様に関わるすべての部門が共通認識をもってお客様と関わることができる様になります。

「Salesforce CDP」はデータをインプットするだけではありません。蓄積されたデータを分析して、「Salesforce Marketing Cloud」でシナリオメールを配信したり、LINEアカウントと連携してクーポンを配信するなど、マーケティング施策として活用することができます。

アプリやSNS、Eメール、コールセンターなど、あらゆるチャネルからインプットされた情報を一元化し、そのデータを分析して次のコミュニケーションへと結び付けていく。言い換えると「企業と顧客のコミュニケーションのプロセスを管理する」ことで、高度に最適化されたカスタマージャーニーを提供することができます。

──それでは、ここからはEコマースのトレンドについてお伺いしたいと思います。

ヘッドレスコマースにも対応

──消費者がさまざまなチャネルで買い物をする現在、フロント側の複数のチャネルをバックヤード側のECシステムとつないで運用することが求められるようになりました。いわゆる「ヘッドレスコマース」と呼ばれる概念です。こうした新しい買い物のトレンドに「Commerce Cloud」は対応できるのでしょうか。

もちろんです。すでに米国など海外では、実店舗やSNS、アプリ、音声認識デバイスなど、さまざまなチャネルと「Commerce Cloud」がAPI連携し、お客様の心地よい場所でお買い物ができる様な環境構築を可能にしています。

──具体的に、どのような事例があるのでしょうか。

あるスポーツメーカーは、GPSを活用して走行距離などを記録するランニングアプリにEC機能を実装しています。そのスポーツメーカーは、顧客の購買履歴とアプリの利用データを商品レコメンドに活用しています。例えば、スニーカーを購入した顧客が一定の距離以上走ったら、新しいスニーカーをランニングアプリでレコメンドするといった施策です。

その他の企業の事例では、電子カタログをタップすると自動的にECサイトのカートに商品が投入されるサービスや、ライブ配信で1対1の接客を行いながら、商品情報をリアルタイムで画面に表示し、顧客がワンタップで商品をカートに投入できるサービスも実用化されています。

──アプリやライブ配信など、ECサイト以外のチャネルからでもその場で商品をカートに投入することができると、消費者はスムーズに買い物ができますね。

まさにその点が、顧客体験を向上させるポイントです。従来はライブ配信で気に入った商品を見つけても、ECサイトに遷移し商品を検索するなどして購入していました。商品を買うまでに画面遷移が何度もあると、ユーザー体験は低下し、商品購入にいたる割合も低下します。消費者が商品を欲しいと思った瞬間に、その場所から購入完了までのUXは非常に重要です。

ライブコマースやARなど280種類以上の機能を組み合わせて利用

ライブコマースやARなど280種類以上の機能を組み合わせて利用

──ライブコマースは日本でも注目が集まっていますが、カートと連携するには大規模なシステム改修が必要になることが多く、断念する企業もあります。「Commerce Cloud」はこの様な課題を、どのように解決していますか?

「Commerce Cloud」は、ライブコマースに限らず、決済や商品の配送状況管理など、280種類以上のツールと連携しており、クライアント側はシステム改修を行うことなく必要な機能を組み合わせて利用することができます。

モジュール化された機能を、必要に応じて組み合わせて使う仕組みのことを、弊社では「カートリッジ化」と呼んでおり、機能を簡単に追加することができます。ECやデジタルマーケティングに関わる新しい技術が次々と登場する現在、ECサイトに新機能を追加するために数カ月をかけてシステム改修を行っていては、トレンドの変化についていけません。必要な機能を迅速に実装するカートリッジ化は、今後ますます重要になると考えています。

顧客ニーズに合わせて機能を組み替え、スピーディーに顧客体験を変えていく

──必要な機能を組み合わせてECサイトを構築する仕組みは、顧客のニーズが多様化し、ECに必要なソリューションが刻々と変化している現在の市場環境に合っていますね。

機能をモジュール化し、必要な機能を組み合わせてECサイトを構築することはグローバルのトレンドであり、これからのECプラットフォームの設計思想として非常に重要なテーマになるでしょう。

消費者のニーズに合わせてコンポーネント(部品)を組み合わせて、ECプラットフォームの機能を柔軟に拡張することで、顧客体験をスピーディーに変えていく。こうした設計思想にもとづいて「Commerce Cloud」のモジュールを順次リリースしています。

例えば、店頭在庫をリアルタイムでECサイトに表示し、店頭受取を行えるモジュールの提供を2021年2月に開始しました。これからもさまざまなモジュールを開発し、買い物のプロセスを隅々まで管理できるプラットフォームへと進化させていきます。

小売企業やブランドはさらなるデジタル化が必須に

──新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年はEC市場が大きく伸びました。オンラインで買い物をする消費者が増えた一方、ECに参入するプレイヤーも増え、競争は激化しています。アフターコロナのEC市場において、小売企業やブランドはどのような立ち回りが求められるでしょうか。

小売企業やブランドは今後、OMOやヘッドレスコマースなど、さらなるデジタル化が必須になると思います。

ご存知の通り、世界のEC市場は2020年に爆発的に伸びました。本来であれば数年かけて拡大するはずだったEC市場が、わずか1年で伸びたとも言われています。これまでオンラインで商品を買う習慣がなかった消費者も、ECサイトやオンライン宅配などを使い、利便性の高さを実感したケースも多いのではないでしょうか。

一度でもオンラインショッピングの利便性を理解した消費者は、オフラインだけの買い物に満足できなくなるでしょう。おそらく、オンラインとオフラインが融合した、より便利な買い物体験を企業やブランドに求めるはずです。

Salesforce Researchが実施した市場調査では「2020年に商品の入手方法やサービスの利用方法が変わった」と回答した顧客の割合は63%でした。また、「新型コロナ危機を受け、企業にデジタル変革の加速を期待している」という顧客の割合は88%に達しています。

こうした調査結果を踏まえると、デジタルを活用して顧客体験を高めることが一層重要になるでしょう。

弊社はECプラットフォームである「Commerce Cloud」をはじめとし、カスタマージャーニー全体を最適化する様々なソリューションを提供しております。小売企業やブランドの皆さまが、一人ひとりのお客様に最高のおもてなしを提供できるビジネスプロセスを作り上げるお手伝いをさせていただければと思います。

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