決済サービス切り替え時のポイントは? DGフィナンシャルテクノロジーに聞く、選ぶべき決済代行サービスとは
キャッシュレス化が進展する中、消費者のニーズに対応するために決済手段を幅広く取り揃えたい、あるいは、現行の決済代行サービスに機能面やセキュリティ面での課題を感じているなどの理由で、決済代行サービスの切り替えを検討するEC事業者も多いだろう。しかし、どのような基準でリプレイスするべきか悩む事業者もいるのではないだろうか。そもそも決済代行を切り替える意義とは何か。自社に合った決済代行会社の選び方とは──。
決済代行のパイオニア的存在である株式会社DGフィナンシャルテクノロジー(旧ベリトランス)の猪嶋宏丞氏に、EC・通販事業者が決済代行を切り替えるべきタイミングやメリット、決済代行会社の選び方などについて話を聞いた。
決済手段の不足が機会損失を生む
――まずはEC事業者が決済代行サービスを使うメリットについて教えてください。
決済代行会社は、クレジットカード決済やコンビニ決済、またPayPayやAmazon PayといったID決済などさまざまな決済手段を導入したい事業者様と決済サービスを提供する決済機関を仲介し、決済システムを提供する会社です。
事業者様は個々の決済機関と直接契約することもできますが、決済代行会社を利用することで複数の決済手段を一括で導入でき、契約や審査、開発に係る手間と工数を削減できるメリットがあります。
――決済代行会社を切り替える最適なタイミングはあるのでしょうか。
正直なところ、「導入してから何年後が切り替えのタイミング」という明確な基準はありません。決済代行ビジネスは20数年の歴史がありますが、初期の段階で導入したサービスを継続利用されている事業者様もいらっしゃいます。ただ、売上げが伸びたり事業が拡大したりするフェーズで決済代行サービスに求める要件も変化し、切り替えを検討される事業者様が多いようです。
また、現在利用している決済代行サービスが求める決済手段に対応していないため、決済手段を豊富に取り揃えている決済代行サービスを探しているというお問い合わせもよくいただきます。
――ここ数年で決済手段は一気に増えましたよね。
そうですね。特に対面領域のキャッシュレス化が進んだ影響もあり、Apple PayやPayPay、ファミペイなど、決済手段は一気に多様化しました。QRコード決済など、対面で利用している決済手段をオンラインでも使いたい、希望する決済手段がなければ購入をあきらめるか別の店舗で購入するという消費者は少なくないでしょう。
つまり、多様な決済手段に対応していない店舗は、消費者から選ばれない可能性があるということです。これは大きな機会損失であると言えます。
セキュリティ・サポート体制も重要
――通販事業者はどのような目的で決済代行サービスを導入、または切り替えることが多いのでしょうか。
2019年に当社サービスを利用する顧客に対して実施したアンケートによると、決済代行サービスを切り替えた*1、または決済手段を追加・拡充した目的は「業務効率化」が60.7%と最も多く、次いで「セキュリティ強化」が45.9%、「コスト削減」が31.1%でした。
*1 ECサイト自体のリプレイスや、決済代行サービスのバージョンアップVerUp、条件変更なども含む。
また、最終的に決済代行サービスを決定した決め手は、7割近くが「コスト(初期費用や決済手数料)」と回答し、次いで「決済手段の豊富さ」が35.3%、「セキュアなシステム」が30.4%と続きました。本データからコスト削減が主な決め手であるほか、ユーザーのニーズに応えられるかという点やセキュリティ面を重視し決済代行サービスを決定していることが分かりました。
――事業者が決済代行会社を選ぶ際のポイントはありますか。
まずは、決済代行会社のシステムのセキュリティの強度と、自社のニーズに応えるセキュリティサービスを提供しているかをチェックするとよいでしょう。
強固なセキュリティであるかどうかは各種認証を取得しているかを確認します。カードの国際的なセキュリティ基準である「PCI DSS」に加え、組織における情報資産のセキュリティを管理する枠組みである「ISMS」や、個人情報の取り扱いに関する基準である「プライバシーマーク」などの各種認証を積極的に取得しているかどうかで決済代行会社のセキュリティに対する取り組みが分かります。
また、不正検知サービスなどの不正利用対策や、カード情報非保持化サービスといった情報漏えい対策に関するサービスが充実しており、事業者様の業種やビジネスの運用に合わせて最適なサービスを選べることも重要です。
さらに、導入から運用まで事業者様のご利用段階に応じて発生する不明点を解決するサポート体制の充実度も選定の指標になるでしょう。加えて、事業者様のビジネスモデルや業種・業態に合った決済手段を取り揃えているか、必要な機能を備えているかも大切なポイントですね。
――先ほど決済代行サービス切り替えに適した明確なタイミングはないとおっしゃいましたが、事業者がもっとも負担なく導入できるタイミングはいつでしょう。
個人的な見解ですが、ECサイトリニューアルのタイミングで決済代行サービスも一緒に見直し検討されることが多いと思われます。切り替えにおける負担はシステム改修など少なからず出てきますが、見直しに適したタイミングなのかもしれません。
ECサイトのリニューアルは、事業拡大に向けてテコ入れを図るということですから、決済システムは現在のままでいいのか、それとも最新の決済手段を取り入れるべきか。消費者がスムーズにお支払いいただくにはどのような決済サービスを選択すればよいのか考えることが大切です。
多彩な決済手段と機能を併せ持つ総合決済サービスをワンストップで
――ここからは御社についてお聞かせください。さまざまなタイプの決済代行会社がありますが、御社の特長や強みは何でしょうか。
当社はEC黎明期の1997年に設立して以来、事業者様、お客様にとって安心・安全な決済サービスの提供に取り組んでおり、決済取扱高(流通額)は3.3兆円、決済取扱件数では6.9億件*2 の実績があります。
当社の強みは、業界最多レベルの多彩な決済手段と豊富な機能、国内最高水準のセキュアなシステムを備えた総合決済サービスをご提供できる点です。
当社決済サービスはクレジットカード、コンビニ、銀行決済など基本的な決済手段をはじめ、Apple PayやGoogle Pay、Amazon Pay、PayPayなど30種類を超える多彩な決済手段をご提供でき、事業者様は自社のターゲット層に合った決済手段を導入することが可能です。
継続課金の運用を円滑にするさまざまなオプション機能や、ECサイトがなくてもメールやSNSでお客様にお支払い案内ができる機能などを提供しています。決済システムの柔軟性が高く、EC、実店舗などをはじめとし、さまざまなチャネルやシーンで利用できることも特長のひとつと言えますね。
また、当社はセキュリティ面も万全です。クレジットカード業界の国際セキュリティ規格であるPCIDSSに日本で初めて準拠したのが当社で、金融機関に求められる高度なセキュリティ環境や運営体制を構築しお客様のカード情報や決済情報を取り扱っています。
さらに、現在、クレジットカード業界全体で本人認証サービス「3Dセキュア」の新バージョンである「3Dセキュア 2.0(EMV3Dセキュア)」への移行が進んでいますが、当社サイト内では3Dセキュア2.0の接続仕様を公開しており、サービスは順次提供を開始しています。
*2 2020年10月〜2021年9月末デジタルガレージグループの決済/FinTech事業の集合体であるフィナンシャルテクノロジーセグメント全体での実績です。
――通販の定期購入や月額費などの継続課金、OMOにも対応できるのですか。
継続課金に関しては、共通ID機能「ワンクリック継続課金(PayNowID)」がご活用いただけます。これは会員IDにカード情報を紐づけて管理する機能で、初回購入時にカード情報を登録すれば、次回以降はカード番号を入力せずにログインのみで簡単に支払いができます。
また、継続課金のタイミングやサービスごとに複数の課金グループを設定し課金スケジュールを登録することで課金を自動化できる、事業者様の運用工数を軽減する機能もあるので、定期購入や月会費などの継続課金に適したサービスです。
また、OMO戦略に最適な「オムニPAY」というサービスもご用意しています。本サービスはEC/店舗といった各チャネルの在庫・販売・顧客データに加え決済情報も統合することでチャネルの垣根なく決済が可能となるものです。
――サポート体制についてはいかがでしょうか。
事業者様ごとに営業担当者がつき、決済代行サービスを導入するECやサービスについて、ビジネスモデルや売上目標、課題など詳細にお伺いしたうえでさまざまなご提案やコンサルティングを行います。契約や審査など導入手続きに関する専用窓口を設置しているほか、稼働後も運用全般をサポートするカスタマーサポート窓口をご用意しています。
また、ECサイトとの接続に関するシステム開発や決済サービスの仕様については、テクニカルサポートチームが対応しており、導入前から稼働後の運用までワンストップでサポートしています。
蓄積されたノウハウで決済課題を解決
──決済代行のリプレイスで、事業者が注意すべき点や切り替えに必要な準備などはありますか。
意外と現在の決済サービスの契約内容や条件をご存じない事業者様もいらっしゃるので、現行の決済代行会社との契約内容はご確認された方が良いと思います。月額基本料や決済手数料、トランザクション処理料などがわかると、我々もご提案しやすくなります。
──御社はデジタルガレージグループの一員ですが、グループ内でのシナジーはあるのでしょうか。
当社は「インターネットの『コンテクスト』を創っていく会社」として、フィンテック、マーケティング、投資の3領域をコア事業として展開するデジタルガレージグループの一員です。グループには検索サービスやレコメンドサービスなど各種マーケティングツールを提供するナビプラス、インフルエンサーによるソーシャルメディアマーケティング事業を展開するサイバーバズや、WEB戦略や新規事業開発、総合的なWEBマーケティングを行うデジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーなどがあり、事業者様の幅広いマーケティング支援を行っています。
事業者様のニーズや課題感をお伺いし、決済サービスはもちろん、グループサービスを組み合わせ、サービスの立ち上げから戦略策定、運用まで総合的なご支援が可能であることは、デジタルガレージグループならではだと思います。
──決済代行サービスの選定に悩んでいる事業者に何かアドバイスはありますか。
事業者様の業種・業態や事業規模、成長フェーズ、取扱商品などによってマッチする決済サービスは異なります。決済代行サービスの切替えや、決済手段の追加・拡充の目的も企業によってさまざまです。
20年以上にわたりノウハウを積み重ねてきた当社では、事業者様に最適なソリューションの提供やコスト提示が可能です。DGフィナンシャルテクノロジーが目指すのは『事業者様のビジネスの成功・成長』です。どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。