配送スピードが約1.5倍UPで顧客体験が向上 冷凍幼児食D2Cブランド「homeal」の成長を支えるオープンロジとの強力シナジー
創業3年にも満たないスタートアップながらも、急成長を遂げている冷凍幼児食D2Cブランド「homeal(ホーミール)」。
社会課題の解決に向けた強い想いをもって、国内で唯一無二といえるサービスを展開している、注目のD2Cブランドだ。
今回はそんなhomealの事業立ち上げまでのストーリーや、その躍進を支える物流サービス「オープンロジ」についてご紹介。homeal株式会社 代表取締役 鬼海翔氏に話を伺った。
自身の体験から生まれた、幼児食“特化型”サービス
――homealの会社概要やサービスについて教えてください。
鬼海氏: homeal株式会社は2019年に創業しました。「幼児食の悩みをゼロに」をミッションとして掲げ、幼児食の宅配サービスを中心に、幼児食のことを学べるマガジンや、お子さんに適した幼児食を提案する診断サービス、チャットで専門家に相談できるサービスなどをWEBサイト・アプリにて提供しています。2021年12月時点での累計で会員数は3.5万人、オリジナルの幼児食は25万食を販売しています。
「幼児食」という言葉を聞き慣れない方もいるかもしれませんが、1歳過ぎくらいまでを対象とした離乳食よりも、1歳半前後から6歳くらいまでが対象の幼児食の方が、長期に渡り必要なものになります。子どもの年齢によって移行期・前期・後期に分けられ、具材のやわらかさや大きさ、量など細かなルールがあります。
幼児食を製造・販売する事業者は少なくないですが、当社のように幼児食だけに特化して、インタラクティブなコミュニケーション機能を備えているサービスは他にないでしょう。ニッチかもしれませんが、この領域においての、あらゆるお悩みを解決できるサービスだという自負があります。
――幼児食の事業を立ち上げたきっかけを教えてください。
鬼海氏: サービスを立ち上げたのは、私自身の体験がきっかけです。私の子どもが1歳の頃に、乳児湿疹、アトピー、アレルギーなどを併発したことがありました。私の妻と義母が看護師と保育士という専門家だったおかげで、今では元気になりましたが、その時に私は一人の親として、何もできない無力感を味わいました。
“戦力外”の自分でも何かできることはないか? と考えたところ、「食事をベースに、子どもの健康を突き詰めたい」と思い立ち、まったくのゼロベースから幼児食を研究し始めました。6歳までに子どもの脳は90%が完成するといわれています。きちんと噛むこと、おいしいと思うこと、喜怒哀楽すべての要素が詰まっている「食」のシーンの影響は大きいと考えています。
ですが、ワンオペ育児が社会課題になるなど、この大事な時期に手をかけられない親も多いのが現実です。料理が苦手だったり、忙しくて時間がない親にとって、安心安全な素材でプロが作ってくれたおいしい食事が、自宅に届いてくれたらどんなに便利だろうと。何よりも自分が「こういうサービスが欲しい」と思って作りました。
Shopify+多彩な機能で、お客様の悩みに応える
――ゼロからのスタートということで、事業を軌道に乗せるまでは大変だったのではないですか?
鬼海氏: そうですね。私自身はもともと畑違いの会社員だったので、専門家の力をお借りしました。その過程で「冷凍王子」としておなじみの西川剛史さんと出会い、ニーズを満たす工場や管理栄養士、品質管理の専門家をご紹介いただき、チームができあがっていきました。
最初の1年間は、クラウドファンディングや無料ASPカートでテストマーケティング的に展開していました。2020年9月にWEBサイトをShopifyにリプレイスして、本格的にサービスをローンチしました。
――プラットフォームはなぜShopifyを選んだのですか?
鬼海氏: 2020年2月にコロナ禍で学校が一斉休校になった際、300世帯にhomealを無償提供したことがありました。経済的な合理性は二の次で、「この状況で何か動かないと」という思いからのアクションでした。
このことがきっかけで、当時homealの知名度は皆無だったにも関わらず、「ご飯を食べてくれない」「料理を作れない」といったご相談が一気に増えました。しかし人的リソースが十分でない中で、一人ひとりへのメールベースでの対応はすぐに限界を迎えました。
そこで、不安に応える診断や相談の機能を導入しようと考えたのですが、無料ASPカートではカスタマイズができないし、スクラッチしたらコストも期間もかかる。それらの要件を満たしてくれたのがShopifyでした。
WEBサイト構築はStoreHero様にお願いしました。UI・UXのためにさまざまなご提案をいただいて仕様を固めていき、3ヵ月という短期間でリリース。費用も想定以下に抑えられました。当社サイトのCRM機能は、Shopifyだから実装できたと思います。自社開発しなくても多彩なアプリケーションと連携できるのはShopifyの大きなメリットですね。
――デザイン面も機能面も、3ヵ月で作ったとは思えないクオリティです。どのようなことを意識してサイトを構築されたのですか?
鬼海氏: 例えば、ブラウザ上の無料診断の結果に応じてパーソナライズされたコンテンツをお届けしたり、メニューの選び方についてLINEで気軽に相談できるUIを実装したり。CRMの機能を充実させることで、お客様がお悩みの答えに最短でたどり着けるように意識しました。
最も肝心なのは「子どもがパクパク食べてくれる」こと。この一点に尽きます。好き嫌いや偏食の激しい幼児期に、全てのニーズに応える「完璧な幼児食」という食品は存在しません。ただ「おいしさ」を突き詰めるだけでは不十分で、子どもの食事に悩んでいるお客様にしっかり寄り添うために、きめ細かなコミュニケーションが必要でした。そのためのテクノロジーへの投資は惜しみません。
顧客体験を高めるオープンロジの物流
――homealは短期間で大きく成長しているように見えますが、物流については、どのようにされていますか?
鬼海氏: 最初のうちは件数が多くなかったので自分たちで発送していましたが、次第にリソースが足りなくなってきました。そこで物流業務をアウトソースすることにしました。当時はまだ創業期でオペレーションも固まっていなかったので、いろいろご相談しながら進めていける3PLの企業様にお願いしました。
しばらくはそれで運用していたのですが、その企業様の提携物流倉庫が事業撤退することになり、新たにお声がけしたのがオープンロジ様です。Shopifyとの連携はもちろんですが、この時にはすでにデイリー100件以上のご注文があったので、事業に合わせて柔軟に倉庫を拡張させることができ、運用の安定性に優れている点が決め手になりました。
――オープンロジを利用してみて、優れていると思う点を教えてください。
鬼海氏: いくつかありますが、まず挙げたいのは、しっかりとした商品管理の体制です。例えば、冷凍食品に一定の確率で発生してしまうピンホール(摩擦でパッケージに小さな穴が開いてしまう現象)を、ピッキングの段階で見つけてくれるなど、検品の質はとても高いと思います。
不具合のある商品をお客様に届けてしまうと、カスタマーエクスペリエンス(CX)の観点からもコストの観点からも大きくマイナスになってしまうので、これは重要です。食品を扱う事業者にとって絶対に避けて通れない賞味期限も、厳格に管理してもらえています。
あと土曜日の出荷に対応しているのもありがたいです。金曜日にキャンペーンの告知をして、土曜日の午前中に注文が入ったら当日に発送。このスケジュールだと翌週の献立の一品として間に合います。これが週明けの発送となると、お客様の満足度は大きく違うでしょう。
――システム面ではいかがですか?
鬼海氏: 管理ツールは直感的に操作できて使いやすいです。住所不備などのエラーも的確に拾えて効率的です。
スマホのUIも優れているため、外出先でもよくスマホからデータを操作しています。時間・場所を問わずアクセスできるのは便利ですね。
システムの改修も迅速に実施してくれるので、助かっています。昨年11月には温度帯管理と賞味期限管理がシステム上でできるようになりましたし、直近ではギフト用途の配送伝票の記載方式についてリクエストを出したら、スピーディーに対応いただきました。
――サービス面やサポートの体制についてはいかがですか?
鬼海氏: オープンロジのご担当者様とはチャットツールを使ってやり取りしています。何か分からないことやトラブルがあっても、ユーザーファーストでレスが素早く、疑問をすぐに解消できます。最初は不明点も多かったですが、おかげで正しく理解できました。
また、こちらから出したリクエストについても、どうやったら実現できるかの提案もして頂けるので、今後、システム処理上の受注取り込みタイミングや、出荷後の注文キャンセルのフローなど、課題と感じている点を一緒に連携して改善していきたいと考えています。
――オープンロジはビジネスの成長にも貢献していますか?
鬼海氏: スタートアップが安心して成長できる土台を構築して、事業に集中できる環境をご用意いただいたと思います。2022年の夏には、これまでの3倍の物量になる計画を立てています。冷凍だと特にそうですが、急な拡大に耐えられる物流倉庫やシステムはそう多くはありません。
また、オープンロジ様はCXの向上にも関わっています。以前と比べて配送スピードが体感で1.5倍くらいにアップしました。「午前中までの注文で当日発送」、これはhomealの大きな武器になっています。当社ではお客様に定期的にアンケートを実施していますが、配送・受け取りの項目のスコアは非常に高いです。
幼児食というサービスの性質上、緊急のニーズが生じるケースが多いです。実際にあった事例ですと、妊娠中のお母さまが急遽出産準備で入院となり、上のお子さまのために一週間分の食事を用意しなければならないという状況で「今注文したら、homealはどのくらいで届きますか?」と問い合わせてくださいました。
それに対してすぐに、「明日届きます」と答えることができ、「そんなに早く届けてくれるのですね!」と感謝の言葉をいただきながらの注文となりました。
冷凍の商品を早く・正確に届けられるのは大きなメリットですし、その体制を冷凍EC物流で実現できるのは、簡単なことではないと思います。
幼児食を日本の文化にするために
――今後homealが取り組んでいきたいこと、目指していることを教えてください。
鬼海氏: いろいろな仕掛けをしていきますが、直近では幼児食のレシピ本を出版予定です。料理の作り方が載っているだけでなく、子どもの成長に合わせた幼児食に関する正しい知識などを含めて、1冊にまとめた決定版です。
本の出版は、サービスの拡充というよりは、幼児食を当たり前の文化にすることを目的としています。それが子どもの健やかな成長にも繋がるうえ、ワンオペ育児などの社会課題の解決にもつながると思っています。
離乳食についての情報は多く出回っていますが、幼児食はまだ世の中に浸透していません。「幼児食の悩みをゼロに」というブランドミッションの実現を目指して、これからもブレずに、さまざまな施策を展開していきたいと考えています。
――最後にhomealのような食品D2C事業者に向けてメッセージをお願いします。
鬼海氏: 食品D2Cは原価の壁が大きい業界です。冷凍だと配送コストも高いので、特に顕著でしょう。IT系のサービスなどと比べてしまうと、それはもう信じられないほど原価率が高いと思います。
ですがその一方で、何かを社会実装していくという点においては、有形のモノがあること、ブレないテーマがあることは有利なのも事実です。
原材料が高騰している中で苦しいかもしれないですが、D2C事業者の皆様には、原価やコストという視点だけで商品やサービスの質を落としてほしくないと、一人の消費者として思います。
それは配送についても同様です。単純な送料だけで比較せずに、オープンロジ様のような高品質で頼れるサービスを選んで、優れたプロダクトを社会にしっかりと届けてほしいです。