スタートアップまで幅広く対応。大企業ならではのEC物流サービスの魅力
BtoBの物流において日本屈指の企業である、SBSロジコム株式会社。コロナ禍によるEC需要の高まりのなかで、近年ECの物流・配送にも力を入れている。同社によるEC物流サービスは、実績ある大企業ならではのリソースを活かした柔軟な対応を強みとしており、さらに中小企業やスタートアップにも対応している点が特徴として挙げられる。EC物流への具体的な取り組みや独自性、今後めざしていく未来について、同社の取締役 常務執行役員 靏岡征人氏にお話を伺った。
歴史ある物流会社が、EC物流に参入した理由
——まずはEC物流サービス立ち上げの背景を教えてください。
靏岡氏:SBSホールディングス傘下のSBSロジコム株式会社は、創立1940年。現在に至るまで80年以上の歴史を持つ総合物流企業で、これまで世界に名だたる企業とのお取引をして参りました。
当社はもともとBtoBに特化した会社でしたが、AmazonなどのEC関連企業が台頭するなかで、今後BtoCの時代が来ることは予見していました。その後コロナ禍が発生し、EC需要への高まりは予想以上のスピードで進みました。
まさにECの時代とも言える現状において、「通販もできないか」とお問い合わせをいただく機会も増え、実際に参入される既存のお客様も増えています。こうした商流の変化に迅速に対応すべく、2030年に通販物流ビジネスだけで売上高1000億円という目標を設定しました。
——貴社のEC物流サービスは、どのような事業者を対象としていますか?
靏岡氏:大手企業はもちろんのこと、当社の物流サービスは中小企業やこれからEC事業を開始するスタートアップも対象としています。極端な例を出すと、今まで当社が運んできた商品はシャーペンの芯から新幹線(!)まで多岐に渡ります。事業規模が小さなお客様でも、信頼関係を構築し、お互いが成長していけるようなサービスを提供していくことをめざしています。
既存顧客からのニーズも高まっており、例えば大手のECモールを利用しながら手数料の高さに悩むケースも少なくないでしょう。ダイレクトに消費者に商品を提供するD2Cの仕組みづくりに苦戦しているお客様も支援できればと考えています。
膨大なリソースを活かし、幅広い事業者に対応
——SBSロジコムの通販物流は、どのような課題解決に貢献するサービスなのでしょうか?
靏岡氏:ECでは、事業の成長に伴って在庫管理や作業人員が間に合わなくなることも多々あります。小規模の物流会社だと、それ以上のキャパシティを提供することができず、途中で壁に当たることになりかねません。その点、当社では全国に700点以上のセンターと90万坪を保持しており、毎年1〜2万坪の規模で拡大も続けていますので、お客様のご要望に添った場所の拠点を提供することが可能です。
今後はBtoC専用の物流センターをつくることも計画しています。また波動対応にも強く、各拠点で勤務する従業員の数も非常に多いので、移動により拠点を飛び越えたサポートが可能です。
さらに、当社が注力しているサービスのひとつに「FBS」があります。これは、“Fulfillment by SBS”の略で、物流や倉庫だけのご提案に留まらず、ECで重要となる「ささげ」(=撮影・採寸・原稿)に関することや受注処理、カスタマーサポートまでを支援し、あらゆるお客様のニーズに応えていきたいと考えています。
現在の物流サービスに困りごとがある場合はもちろん、現状のサービスに不満はないものの、これ以上の展開は望めないと感じていらっしゃる方にも、ぜひ当社のご利用を検討いただければと思います。
——貴社のEC物流サービスの強みや独自性について教えてください。
靏岡氏:当社は大企業ではありますが、大手によくありがちな「小回りが利かない」ことは全くありません。スピード感を大切にしており、例えば通常の大企業では数ヶ月から半年かかるような決裁も、1~2週間で承認が下ります。良い提案はすぐに上層部まで話が通りますので、迅速で柔軟なチャレンジができる環境が整っています。
またリリースまでの期間が短いことも特徴のひとつです。これは、いままで数多くの立ち上げを経験してきたからこそだと自負しています。優良なシステムベンダーともお付き合いがあるので、協力関係のもと迅速に対応することが可能です。
さらに特筆すべき点は、質の高さに対するコストの安さです。背景にあるのは、長年の実績により実現する、安価な自社開発倉庫の建設です。冒頭で新幹線のお話をしましたが、インテリアなどの大型なものから化粧品まで、さまざま商材を取り扱える点も強みです。
認知度を向上させ、唯一無二のEC物流を実現したい
——倉庫管理システムやロジスティックにかかわる研究部署もあると伺っています。
靏岡氏:WMS(倉庫管理システム)の開発にも力を入れており、システムベンダーと協力しながらBtoCに対応できるようにカスタマイズしています。また、LTロジスティックテクノロジーに関する研究部署もあり、商材に合うロボットを導入し、どんなお客様から依頼があっても対応できるようにすべく、準備を進めています。
またグループ会社のSBS即配サポート株式会社が展開する、東京23区から1都3県に当日配達するBtoB向けの「SBS即配便」も、BtoCに利用を広げています。
——越境ECにも強いサービスなのでしょうか?
靏岡氏:グループ会社のSBSグローバルネットワーク株式会社が通関を専門にしていますので、輸出時のインボイスや海外保管の対応もグループの力を駆使して対応できるのが強みです。
——最後に、EC事業者にお伝えしたい考えや実現したい未来について教えてください。
靏岡氏:SBSグループができてから30年が経過し、いまでは売上高4000億円の大台に乗る規模になりました。SBSロジコムの年商は約680億円で、通販関連は約70億円です。その通販関連の売上を300億円まで伸ばしていくことが、まずは直近の目標です。
明確に意識している競合サービスは、FBA(Amazonのフルフィルメント代行サービス)です。スピード感にこだわりながらも、Amazonが得意としない危険物や冷凍・冷蔵商品、ラッピングなどの領域に力を入れていきたいと考えています。
長年BtoBに特化した物流サービスを展開してきたこともあって、EC通販業界での認知度向上はまだまだこれから。大企業だからこその資金力や長年のノウハウ、専門部署・グループ会社との連携を活かしながら、それらに奢ることなく挑戦を続けたいと思います。お客様により大きな信頼を与えられる企業へと成長し、他社にはないサービスを提供するために、これからも走り続けます。