UGC活用を成功に導くには、良きパートナーの存在が欠かせない

ECのミカタ編集部

株式会社ZENB JAPAN(ミツカングループ)
新規事業開発ダイレクト戦略グループ
松永友貴氏

最近では、UGCに興味・関心をもつEC事業者が増えている。実際に取り組み始めて、着実に成果を上げているEC事業者の事例も頻繁に見聞きするようになってきた。

本稿で取り上げるミツカングループの「ZENB」も、UGCの本格活用で着実にCVRのリフトに成功した好事例だ。

UGCを本格活用するに至った経緯や、実際の運用を円滑に進め、かつ成果を出すことができた取組みのポイントなどについて、株式会社ZENB JAPAN(ミツカングループ)の新規事業開発ダイレクト戦略グループ松永友貴氏にお話を伺った。

植物をまるごと全部、おいしく食べることをコンセプトに生まれたサステナブルな商品ブランド「ZENB」

植物をまるごと全部、おいしく食べることをコンセプトに生まれたサステナブルな商品ブランド「ZENB」黄えんどう100%の「ゼンブヌードル」

——「ZENB」のコンセプトや商品ラインナップなどについてお教えください。

松永 私たちは普段、野菜などの植物を食べる際には、皮をむいたり、種を取ったりして調理したりします。しかし、ご存知の方も多いと思いますが、植物の栄養って、捨てている皮や種に豊富に含まれていたりするものです。

私たちは、その点に着目して、植物を「まるごと、全部食べる」ということをコンセプトとして、「ZENB」を立ち上げました。サステナブルな食糧生産に貢献し、同時に消費者の方々の健康にも貢献しようという意図があります。

商品としては、パンにぬったり、料理に加えたりできるペースト商品や、おやつ感覚で食べられるスティック商品、スープやごはんメニューで楽しんでいただけるゼンブミールなどを取りそろえています。そして、2020年10月に「ゼンブヌードル」をリリースしまして、今では「ゼンブヌードル」が人気商品になっています。ゼンブヌードルは黄えんどうまめを薄皮部分まで使っていて、文字通り黄えんどう100%の食品で、つなぎもつかっていません。

事業成長に向けては、UGC活用によるLPのコンバージョンアップを目標に設定

——御社が、「ZENB」のEC展開においてUGCを活用し始めたのはいつ頃からですか? 

松永 実は、当社ではUGCについてはかなり以前から着目していて、数年前から一定の取組みはしていました。

先ほどお話した「ゼンブヌードル」をリリースした2020年の秋頃には、UGC運用ツールである、『Letro(レトロ)』を導入しており、やろうと思えば、かなりしっかりとした取組みが可能な状況にはあったのです。

しかし実際には、収集したUGCをサイト上に貼り付けただけで、効果検証や内容の見直しといった、本来やるべきところまでは手が回っておらず、“出しっぱなし”のような感じでした。

しばらくは、そうした状況が続いたのですが、当社としても、もっと本格的にUGCを活用すべきという機運が高まり、かつそうした状況の中で、運用型UGCということについて、Letroの担当者様から積極的な提案をいただいたこともあって、2022年1月から本格的に取り組むことになったのです。

——UGCに本格的に取り組もうとなった背景、要因は何だったのですか? 

松永 ひとつには、それまで都度売りだった販売スタイルを、サブスク型に、ビジネスモデルそのものを変革したことが契機でした。さらなる事業成長を目指すことになり、そのために多様な戦術を展開することになりました。戦略目標のひとつには「LPからのCVRアップ」も掲げられ、そのための施策としてUGC活用の重要性が見直されたのです。現在の市場環境では、メーカーサイドの言葉で商品の良さを伝えたとしても、なかなか、それだけでは信用してもらえないということもあり、第三者の評価で表現することは、これまで以上に重要になっていると考えました。

方策としては、有名人や、関連業界の権威のような方の発言に頼るということも考えました。しかし、それ以上に、消費者と同じ目線の高さでの情報発信が必要だということで、実際の購入者の言葉を有効活用しようということになりました。それなら、すでに導入している『Letro』が使えるだろうということもありました。

——実際のUGC運用は、社内のリソースで展開されたのですか? 

松永 実際に本格的導入・運用ということになれば、かなりの工数が必要になることはわかっていました。ひとつひとつのUGCをチェックして、これは使う、あれは使わない、ということをジャッジしなければなりませんし、どこで使うかを設計することも重要な工程のひとつとなります。

それらの作業をすべて社内のリソースだけで賄うのは、正直難しいと思っていました。ただ、すでにお話した通り、運用に関する積極的なご提案があったので、「それなら、Letroに支援をお願いしよう」ということになり、2022年1月から本格運用するに至ったのです。

着実に成果を上げられる運用型UGC、ただし、成功のためには、最適なツールとパートナーが不可欠

着実に成果を上げられる運用型UGC、ただし、成功のためには、最適なツールとパートナーが不可欠

——具体的にはどのような取り組みを? 

松永 そもそも、UGCによって本当に効果が上がるのか、ということをテスト的に検証することからスタートしました。LPなどにUGCを掲載すれば、情報量が増えるので、むしろマイナスに働くことがあるのではないかという懸念があったのです。また、ひとくちにUGCといっても、それを見るターゲットユーザーが、どこからの流入なのかによって、求められる情報内容は異なります。なので、リスティング広告経由のユーザーに対してはこういうUGC、ディスプレイ広告経由のユーザーにはこういうUGCという選定なども、ABテストを繰り返しながら、より確度の高いものに収れんしていきました。

——本格運用をはじめて、成果はどうだったのでしょうか? 

松永 ZENBヌードルの新規獲得向けのLPでは2022年1月から本格運用をはじめて、全体としてCVRが大きく向上したのは、3カ月ほど経過した頃でした。該当のLPでは1月の成果とUGCの有り無しで比較してCVRは1.82倍、月間のコンバージョン数は35倍にもなりました。

最初の2カ月ほどは実験的な検証の期間だったと思っていますので、3カ月目でCVRが大きく向上したのは、比較的早いタイミングでの成果だといえると思っています。

もちろん、実験的な検証の期間中、いわゆるスモールサクセスのようなものはいくつもあって、その時点から、きちんとやり続ければ、確実に成果に結びつくだろうという確信は持っていました。

——成功のキー・ファクターはどこにあるとお考えですか? 

松永 端的にいえば、『Letro』というツールがあったことと、継続的なUGC運用にあたって、Letroという強いパートナーがいてくださったことが、大きな成功要因ではないかと思っています。

私たちマーケッターとしては、常にインパクトのある活動に注力したいと考えます。1カ月活動に費やして、その成果が50の施策よりも、成果が100になる施策に注力したいわけです。そういう意味でいうと、十分な成果に至っていない1カ月目、2カ月目の段階でUGC運用をあきらめる、という選択もなかったわけではありません。3カ月もの間、成果が出るのを待つというのは、ある状況下では辛いことかもしれません。しかし私の場合、要所要所でスモールサクセスが見えていたこと、そしてLetroの担当者様が伴走してくれたことが大きかったと思っています。


——これからも、UGC活用は継続していきますか? 

松永 はい。これまでのところ、新規獲得の施策としてUGC活用をしてきていますが、サブスクモデルで事業展開している当社としては、既存のお客様に継続利用してもらうことも、事業成長のためには必要なことで、今後はUGCをそうした顧客コミュニケーションにも活用していきたいと思っています。

CRMという側面で、ひとりでも多くの優良顧客を育成するということについてもUGCが使えるということですね。

Letroの方でも、CRM的なコミュニケーション改善につなげて、解約抑止に有効なUGC活用について、すでに始動していると聞いていますので、その点でもますます支援してもらいたいと思っています。

UGCで効果を上げるためには、運用型UGCというフレームワークが不可欠の要素であるとこは間違いないと思っています。そうしたフレームワークが、たとえば『Letro』というツールを導入することで使えるようになります。しかし、最低限必要なフレームワークがあっても、それだけで効果が出るとは限りません。着実に成果を上げるためには、フレームワーク自体を有効に活用するノウハウも必要です。今回、当社ではそのノウハウをLetroの担当者様にご支援いただけたことで、目指す成果を達成し得たのだと思っています。


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