ポップアップやチャットの先へ Sprocketが考えるWeb接客の未来

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新型コロナウイルス禍で加速したEC市場の成長やインターネット利用者のリテラシー層の拡大により、近年注目を集めている「Web接客」。EC運営には欠かせない消費者とのコミュニケーションツールとして認識されつつあるが、「Web接客=ポップアップやチャット」という間違った認識がEC事業者の中で広がっているという。自社開発のWeb接客プラットフォーム「Sprocket」の提供とその運用に関するコンサルティングを行う株式会社Sprocket(本社:東京都目黒区)の深田浩嗣社長に、Web接客の正しいあり方とこれからのWeb接客について話を聞いた。

「Web接客=ポップアップ」ではない

——最近のEC事業者の「Web接客」の活用状況について、どのように見ていますか。

深田浩嗣社長(以下、深田) 2年くらい前から「Web接客」という単語に対しての理解は深まっていると同時に、かなり広がっていると感じています。3〜4年前だと「Web接客ってなんですか?」と聞かれる方が多かったのですが、ここ最近は質問されることも減って、ECサイト運営では当たり前に行う施策になった気はします。ただ、「Web接客」体験の質はもっと上げていかないといけないと思います。

私たちも事業の最初の頃は営業に行った際に「ポップアップって邪魔だよね」とよく言われましたが、そう思われるようなことをいかに減らしていくかということを、もっと考えていかないといけません。例えば、ECサイトのトップページに行くとポップアップが出てくると思いますが、1回出ただけでは「接客」ではなくて、実店舗で例えると「看板」なんですよね。誰に何を出すべきか考えていない。

——「Web接客=ポップアップ」ではないということですね。

深田 トップページに来た人に、とりあえず「キャンペーンをやっているからそれを見せておこう」「全員ばら撒き型でクーポンを撒いておこう」という意図で見せるポップアップは「看板」であって「接客」ではないわけです。Web接客というと、クーポンや提示のイメージが強く、ポップアップやチャットを思い浮かべる方が多いと思いますが、それは手段の話でしかありません。つまり「Web接客=ポップアップやチャット」というのは間違った認識です。

実店舗でも「声かけ」や「店内アナウンス」は接客の手段ですが、大切なのはその内容です。Web接客では「その接客を受けたことで、ユーザーの体験を向上できているのか、助けになっているのか」という視点が最も重要です。

——Sprocketでは、本当の意味での「接客」を担っているということですね。

深田 Web接客には
①来訪者に広くお知らせする
②相手の様子を見て適切なタイミングで声かけする
③外部データと連携して1人ひとりにパーソナライズする
という3つの段階があると考えています。
先ほど話したポップアップやチャットというのは、実店舗で例えると、大きな貼り紙をしたり店内放送を流したりしているのと同じで「来訪者に広くお知らせする」第1の段階に過ぎないわけです。私たちとしては残りの2段階を担うことが本当の意味でのWeb接客と考えています。

プラットフォーム、リソース、メソッドの「三位一体」型のWeb接客

——御社が提供しているWeb接客サービスの特長はなんでしょうか?

深田 当社の特長は「三位一体」型のサービスだと思っております。Web接客の仕組み・施策をうまく活かすためにはツールが必要なので、さまざまなパーツのツールを提供しています。これがひとつめのサービスですが、当然これだけではうまくいきません。

特にEC事業者様は総じてご多忙なので、私たちが提供するようなツールや仕組みがあったとしても、十分に活かしきれていない現状もあり、ツールを十分に活用するためのリソースが必要になります。このあたりも私たちは併せて提供することができるということが2つめのサービスですね。

ツールがあって、人もついてくればそれで十分というわけではなく、Web接客体験というものを「邪魔な体験」にならないようにするための知恵とノウハウをお伝えすることが3つめのサービスで、当社ではこれをメソッドと呼んでいます。プラットフォーム、リソース、メソッドの3つをセットで事業者様に提供することができるのがSprocketということになります。

——リソース、メソッドの部分が他社のWeb接客とは大きく異なりますね。

深田 メソッドは特に、他社ではあまり見られない当社ならではのサービスですが、ツールの部分でも独自性があります。例えば、1回のポップアップだけで終わるのではなく、ポップアップをつなげて何回か会話を交わした上で、ユーザーのニーズに応えていく「マルチステップ型のWeb接客」も特長です。

コンサルテーションにおけるカスタマーサクセスのスタンスについても他社様とは差があると思います。私たちはツールベンダーですが、お客様にツールを活用していただけるようになるのがカスタマーサクセスではなく、ツールを使って成果を出す支援するのが役割だと考えています。ですので、必要に応じてディレクションもしますし、ツールの設定も変えてみるなど、踏み込んで何でもやれる体制を作っています。お客様との関係性を構築した後、きっちりやりきらせていただくところも他社様とは大きく異なるところだと思っております。

「卒業」という概念がない「伴走型のWeb接客」

——まさに「伴走型のWeb接客」ということですよね。

深田 当社がお客様から評価をいただいているところは「丁寧なレクチャー」や「(ツールの)設定を手伝う」などではなく、「施策の提案をしてくれる」という声が多いですね。ツール提供のあとの分析・レポート・アドバイスにも力を入れているので、「卒業」という概念がないのは素晴らしいと評価してくれるお客様もいらっしゃいます。

——ベテランのコンサルタントを多く揃えているからこその評価ですよね。

深田 それも当社の強みです。お客様の理想を形作る支援をするカスタマーサクセスというよりも、お客様のサイトに成果を出すカスタマーサクセスというのが私たちのスタイルだと思いますね。

立ち位置としては、基本的にサイトやアプリの中のコミュニケーション領域を担っており、MA(マーケティングオートメーション)やCDP(カスタマーデータプラットフォーム)では実現できない顧客コミュニケーションとデータ活用を可能にしています。MAはサイト外でのコミュニケーションで、結果的に過去の行動の情報がユーザーに対して一方通行に流れるだけですが、当社ではサイト内の人を相手にしていて、リアルタイムでお客様の行動データを使い、双方向性のあるコミュニケーションを行うことでコンバージョン改善をしていきます。

消費者側に変化も これからのWeb接客は

——300社以上のコンバージョン改善実績がある御社ですが、取り組みの中で新しい「Web接客」を感じたと聞きました。

深田 最近、EC事業者の「世界観」を見せることがコンバージョンアップにつながったという事例がありました。フェアトレード系のお客様ですが、「生産者が搾取されていないこと」を写真でアピールし、倫理的に正しい姿勢の会社の商品ということを打ち出しました。その施策が結果的に、一番効果があったんです。

通常のECサイトでは、カートでの離脱防止には不安を払拭してあげるようなコミュニケーションがCVR改善に有効ということが分かっています。送料や支払方法をカート内にしっかり明記して購入までつなげるのがセオリーなのです。ただ、このフェアトレード系のお客様の場合はある種のセオリー破りになっていて、「生産者のことも考えて商いをしています」という世界観の訴求をしてあげたほうが、効果が高かったんですね。「何を考えて商売をしているか」という思想への共感が購買につながった結果だと思いますね。D2Cが受けているのもこういう理由ではないでしょうか。おそらく消費者側に変化が起きたのでしょうね。

当社も世界観が伝わることが大事なことだと思ってはいました。ただ、ある程度ECサイトになじんできたユーザーに対して、理解を深めていくような接触を増やすと、ファンになるというイメージでしたが、最初にドーンと打ち出すと意外にいい結果につながることが、データを見て分かりましたね。

——事業者として世界観を持つことがより重要になってきたということでしょうか。

深田 これから生き残っていくのは、おそらく世界観をしっかりと持っている事業者様だと思います。世界観の有無でユーザーも判断しているので、業績も分かれてくると思います。私たちもそういった事業者を長く支援したいし、考え方としても相性が合うと思っています。

——最後に、Web接客の分野で今後はこれをやりたいということはありますか。

深田 セオリー、メソッドが貯まってきたので、短期的なコンバージョン改善はできるようになりました。ですので、今後はもう少し時間軸の長い行動促進の部分に注力していきたいと思っています。ファンになっていただくためには、どういう順番で何をしていけばいいのか、リピート化していくためにはどうしたらいいのか、そういった点の機能を拡充して、「Sprocket」をプラットフォームとして進化させていく予定です。

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