商品画像も、メタバース撮影の時代。「COSICフォトスタジオ」で、コスト減・コンテンツの充実を両立

ECのミカタ編集部

ECサイトに欠かせない、商品画像。家具などの大型商品は、ハウススタジオを貸し切っての撮影や搬送に手間とコストがかかるため、これらを取り扱う事業者を悩ませている。こうした課題解決に、「メタバース空間での撮影」というユニークなサービスで応えるのが、株式会社コシックだ。実物商品と瓜二つの3DCG画像を制作し、メタバース上に自由に設置した部屋や空間で撮影できる「COSICフォトスタジオ」。その画期的サービス内容と今後への展望について、同社の代表取締役CEO 武藤諒俊 氏にお話を伺った。

メタバース空間での撮影が、商品画像の未来を変える

——まずは、貴社の概要と会社設立の背景について教えてください。

当社は、ECを中心としたメーカー・小売事業者向けに、メタバース空間で写真のようなリアルな画像を撮影できるクラウドサービス、「COSICフォトスタジオ」を提供しています。
創業当時は、3DCGを用いたインテリアコーディネートサービスを展開していました。このとき内部のオペレーション用として3DCGツールの開発に取り組むなかで、インテリア業界のメーカーが抱えるさまざまな課題に気づきました。そのひとつが、商品画像の撮影です。家具類は基本的にサイズが大きく、重量があるため、何十種類のもの商品をハウススタジオに入れて撮影するのにはコストと時間、手間がかかります。
そこでこれまで積み上げてきた3DCGに関するナレッジを活かし、非常にリアルな画像を簡単に制作できるサービス、「COSICフォトスタジオ」をスタートしました。

——「COSICフォトスタジオ」利用の流れについて教えてください。

まず、家具などの実物商品を、3DCGツールを使って当社の3Dモデラーが3DCG化していきます。必要な情報は、WEBサイト等に掲載されている画像や寸法・素材情報などになります。新たに商品画像を多角度から撮影していただく必要は基本的にはありません。
制作する3DCGのクオリティはこの工程に依存するため、当社では現物のような再現ができるようにと、この作業に非常にこだわっています。

その後、3DCG化した画像を当社のツールに登録したあとは、画像を使って自由に操作していただけるようになります。
3DCG化にかかる時間は、商品の数によるところもありますが、最短で約2週間です。月額費用3万円のほか、3DCG化の費用をいただいておりますが、年間の撮影コストと比較すると手間もコストも下げられるサービスとなっています。

誰でも使える操作性と、写真のような画像が魅力

——「COSICフォトスタジオ」の特徴はどのような点にありますか?

なんといっても、その簡単な操作性が魅力です。ドラッグ・アンド・ドロップが基本操作で、3DCGに関する専門性や、高価な専用ワークステーションPCは一切必要ありません。誰でもブラウザ上で簡単に空間プランニング機能を使えて、メタバース上に自由に部屋や空間を構築することができます。
こうした操作性とクオリティを両立する3DCGツールは、実はなかなかありません。
プロユースの写真ツールは操作が非常に難しく、逆に手軽に使えるツールは品質が低い傾向にあるからです。3DCGのクオリティが低いものは、宣伝に全く使えないどころか、クライアントの商品の魅力を半減させかねません。当社では、クライアントに感動してもらえるように、魅力的なビジュアルを制作することを徹底しています。

——これまでにどのようなEC事業者が利用されていますか?

メーカーを中心に、ECに注力されている事業者にご利用いただいております。
現在は「モノ商品よりコト商品」ともよく言われるように、商品だけを提示しても売れない時代になっています。家具であれば、部屋などの空間にコーディネートされていることが重要になりますが、実際にスタジオを貸し切り、さらに小物をはじめとするさまざまな準備をして撮影を行えばコストも膨大になり、量産も難しい現実に当たります。こうした課題解決に、「COSICフォトスタジオ」のサービスが貢献すると考えます。家具等の小売事業者はもちろん、モデルルームを運営する不動産事業者にもご利用いただいています。

——EC事業者はどのような点に魅力を感じているのでしょうか?

やはり写真が量産できる点、撮影コストや手間を大幅に省き、スピードアップできる点だと思います。またEC事業者にとっては、リッチコンテンツが非常に大切です。「COSICフォトスタジオ」は、商品の再現度の高い3DCG画像をメタバース空間に置くことで没入感・臨場感を演出できるという強みがあります。
3DCG画像はひとつの方法であり、パノラマ画像の利用も標準プランに含まれており、今後はAR・VRへの対応も拡大していく予定です。

バーチャル空間で購買する「メタバース・コマース」に向けて

——3DCGツールの開発において苦労されたことはありましたか?

非常にたくさんあります(笑)。3DCGツールの開発にはハードルが多くあり、まず使いこなせる人の母数自体が少ないので、ユーザーテストをすることが難しく、どうしたらお客様にとって使い勝手が良いかを想像しながら改良していくことに苦労しました。
また、高品質なツールをブラウザで使えるようにするのも大変でした。3DCGツールの開発に関するナレッジはまだ世の中に出てきていない部分なので、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返しながら、2年をかけてついに完成させました。

——今後、どのようなサービス展開を考えていますか?

直近では、株式会社リコーと業務提携を締結しました。株式会社リコーでは、360℃カメラ「RICHO THETA(リコー・シータ)」で撮影した画像を使って、コンテンツを制作・公開できるクラウドサービス、「THETA 360.biz」を展開しています。このサービスとAPI連携して、「COSICフォトスタジオ」で制作した画像をこのクラウド上にアップできるように、現在準備に取り組んでいます。
また、今後のビジョンとしては、「メタバース・コマース」に関する計画を進めています。
これは、バーチャル空間のなかで実物商品に近い3DCGを見て購入するコマースです。住宅の領域では、わざわざ現場に行って現物を見に行くコストが高く、時間もかかります。家具類のEC化率が高いのは、率直に買いに行くのが大変だからだと思います。こうした状況を踏まえ、物理的な制約を取り払ったメタバース・コマースには大きな価値があると考えています。
今後も商品の「バーチャル・ツイン」をさまざまな情報フォーマットで伝える支援を拡大してまいりますので、「COSICフォトスタジオ」にご興味を持っていただいた事業者の方、またメタバースに興味をお持ちの事業者の方は、ぜひ一度当社にお問い合わせください。


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