「ネットショップ担当者フォーラム2014」リポート「EC業界の消費者動向調査」


株式会社インプレスはデジタルマーケティングとECの最新情報を50セッションの講演にまとめた「ネットショップ担当者フォーラム2014」「Web担当者Forumミーティング2014秋」を11月12日、13日の2日間行った。


業界人注目の基調講演がそれぞれ用意され、多くの講演で満席となるほど盛り上がりを見せていた。基調講演の一つである「セブン&アイHLDGS.のオムニチャネル戦略」では、満席に加え、急遽別室での中継講演が用意されるほどであった。

今回は12日の講演の中より本WEBページ「ECのミカタWEB」を運営する株式会社Ryo-MAの小林敬介専務取締役が行った「EC業界の消費者動向調査」の模様をレポートする。

EC業界の消費者動向調査

ECのミカタが提供する業界相関図


「EC業界の消費者動向調査」講演ではECのミカタというメディアを通じ、業界を見てきた小林専務による調査データを元にした現状解説と、実例を交えたショップ事業者へ向けた具体的施策の提案を行った。

まずは業界の現状、EC市場変化に関しての解説からスタート。
小売全体とECの比較による、伸び続けているEC業界の話から始まった。某コンビニチェーンの法人向けスーパーバイザーの経験を持つ同氏によれば、小売業界は不況の影響もありずっと横ばい状態にも関わらず、EC業界は伸び続けており市場規模として15.9兆円、消費市場全体の5.6%を占めている。
伸び続ける要因には色々ありつつも、店舗数の増加に伴う様々な商材への接触率、クレジットカード所有率の高さ、Amazon、楽天によるEC自体の認知度向上などを挙げた。特にスマートフォンの普及は利用者の「いつでもどこでも」と、簡単手軽に商品を購入できる環境を実現しているという。
まだ改善すべきこともありつつも、更に伸び続けていくポテンシャルがあるEC市場だとする同氏は、なぜECで購入するのかという消費者心理の解説へ講演は進む。

なぜECで商品を購入するのか?

株式会社Ryo-MA 小林敬介 専務取締役


それは「時間外でも購入できるから」「出かけなくてよい」というもの。ECのミカタによる調査で「雨の日にはECの売上が伸びる」といった結果を見て、当たり前すぎのことだが、改めてその利便性こそECの購入理由であることに納得したという。そして、百貨店、コンビニ、スーパーが本格的にEC参入し、オムニチャネル化を目指す現状を説明した。

業界の伸びに対し業界内部、EC店舗は毎年平均4,000事業者ずつ増加中。更に、ヤフーショッピングの無料化やSTORES.jpやBASEに代表されるインスタントカート、CMなどで認知度を上げるメルカリなどのフリマアプリの登場により、業界が伸びる以上に店舗も増えている。
結果、全体の1割に満たない年商10億円以上のEC事業者が、市場の8割の売上を作るという状況に。二八の法則を例に挙げつつ、EC業界は更に極端な格差が発生しているとしていた。

集客に関してはSEOから、今はリスティング広告が主流となり、WEB広告に限らずテレビCMやダイレクトメールなど色々模索している状態。リピート施策に関しても一斉送信のメルマガだったものが、ターゲットに対してのステップメールなどCRMの活用が主流になってきているという。その要因としてはGoogleのアルゴリズム変更により、小手先のテクニックでの集客が困難になったことが大きいと説明。そこで、比較的即効性のあるリスティング広告に移行するものの、オークション形式であるリスティング広告の単価は高騰。結果、コストと時間をかけられる企業が上位表示されるという状況を作り出しているというのだ。

結局リスティング広告は大手主導となっており、格差は広がり続けている。業界の成長以上に競合店が増加し、成功店舗は一握り。商品力があって、良いモノを安く売るところが勝つ。このような状況だが、これはEC業界に限った話ではなく、ある意味業界が正常化していることだと同氏は説明する。正常化した業界で、中小企業やこれからショップを始める事業者に勝ち目は無いのかというとそうではないと続ける。

大手との差別化に繋がる6つの提案


ここで、ものを売るだけという枠でECを捉えず、付加価値を加えたEC「ぷち◯◯ + EC」という差別化の提案を実例とともに挙げていった。

・ぷちメーカー + EC
 「ストラップヤ」の企画例を出しながら、メーカーによるオリジナル商品はそのものがメディアに取り上げられ、集客に繋がり、多店舗との差別化が可能だと解説。

・ぷちメディア + EC
 オウンドメディア化し、サイト内で独自情報を発信し、集客につなげるという流れ。「北欧、暮らしの道具店」を実例に挙げ、ライフスタイルの提案するコラムなどを紹介しつつ、メディア化がひとつのキーワードになると説明した。
 
・ぷち紙メディア + EC
 WEBではなく「紙メディア」である部分は改めて囲い込みができると「ゴルフダイジェスト」を実例に挙げポイントを解説する。紙メディアはネットに比べ掲載点数も限られるため、比較や価格勝負をされにくく商品の魅力が伝わりやすい魅力を持つことが調査データからも見て取れる。これは、自社メディア「ECのミカタ通信」がターゲットにリーチし、実績を挙げている経験に基づいた分析でもあるようだ。
 
・ぷちサービス + EC
 ネットでフレームを購入し、実店舗でレンズの微調整を行う「メガネスーパー」を例に挙げ、実店舗の+αサービスによる差別化を提案した。

・ぷち実店舗 + EC(イベント店)
 楽天の「うまいもの大会」を例にあげ、商品魅力を伝える方法は実店舗や店員に勝るものは無く、物産展のようなところで食品を扱う強みを示した。
 
・ぷちブランディング + EC
最後は切り口が少し異なり、ブランディングさえしてしまえば、ECでも実店舗でも集客ができると解説。百貨店の持つ「安心感」や「高級感」を例に、今以上にEC事業者にブランディングの重要性を意識するのはどうかと提案した。

紙メディア、実店舗、ブランディングなど、提案した内容全てを行うのは簡単なことではないしコストもかかる。しかし、行えることから始めてそれが成功した時、それは他が追随できない武器となり、大手との差別化にも繋がると小林専務は締めくくった。



−編集部−