マルイの出店サービス「OMEMIE」 ECとリアル店舗の併用で成長が加速した成功事例
コロナ禍が明けてきたことで、よりリアル店舗の価値が上がってきている。また、オンラインストアが急増するなか、効果的に新規顧客の獲得やファンとのエンゲージメントを高めるリアル店舗の活用が注目されている。「OMEMIE(おめみえ)」はマルイ店舗への出店の検討から問い合わせ、契約までの手続きがオンラインで行える丸井独自のサービスだ。「OMEMIE」の活用事例や、リアル店舗出店の魅力について、株式会社丸井 テナントサクセス推進室 土本容子氏、見崎知華氏に聞いた。
CASE1:「香り」の体験をリアル店舗で。香水販売の成功事例
──「OMEMIE」の利用事業者が増えているとお伺いしました。
株式会社丸井 テナントサクセス推進室 土本容子氏(以下、土本) おかげさまで、「OMEMIE」を通じたポップアップイベントの開催は1500回を超えるまでになりました。そのなかで、普段はリアル店舗を持たずEC販売のみを行う事業者様の割合が出店事業者様の4割を占めています。「OMEMIE」では様々な用途で活用できるスペース をご用意しています。また、リアル店舗への出店経験がない場合でもチャレンジしやすいサービス設計となっております。
株式会社丸井 テナントサクセス推進室 見崎知華氏(以下、見崎) リアル店舗とオンラインを併用したほうが、継続利用率や購入率が上がるというデータもあります。リアルだからこそ実現する新規顧客獲得やファンづくりを通じ、ECの成長を後押しすることが可能です。
──マルイ店舗のイベント出店を活用し、売上がアップした事例を教えてください。
見崎 ある香水を取り扱うある事業者様は、オンラインのみで商品を販売していましたが、ファンの方より「実際に香りを試してみたい」との声が多く寄せられていたため、お客様のニーズに応えるべくマルイ店舗にイベント出店されました。また、イベントでは、人気映画とコラボレーションした香水を、映画の公開時期に合わせて出店・販売したところ、ファンの方が多く集まり、大盛況となりました。リアル店舗ならではの、「香り」体験や、期間限定商品の販売により、更なるファンのエンゲージメントを高められた事例かと思います。
土本 マルイの出店サービス「OMEMIE」の特徴の一つに、出店までのサポートがあります。先ほどの香水を扱う事業者様のケースでは、マルイ側で売り場づくりから販売サポートまで行いながら、売り場にEC用のQRコードを設置し、店舗での販売に加え、ECに送客できるようにするなどのアドバイスをさせていただきました。
見崎 ブランド単体でのリアル店舗出店は初めてでしたが、マルイでのイベント開催に大変ご満足いただき、ファンの方からもSNSを通じて好評のコメントをいただけたとのことです。次回開催も前向きに検討いただいております。
CASE2:売上だけが、必ずしもイベント出店の目的ではない。体験提供によるファンのエンゲージメント拡大の成功事例
──マルイへのイベント出店の中で、ユニークな事例はありましたか。
土本 特徴的な事例として、ダークモードな世界観をテーマにしたアパレル販売をD2Cで展開している事業者様を挙げさせていただきます。こちらの事業者様は、ネットショップのCVR(コンバージョンレート)低迷に課題を抱えていました。リアル店舗出店では、顧客との接点を増やすことを目的に、サンプル商品のみを展示し、ECで商品を購入してもらう体験を提供したところ、結果としてCVRが上がったという事例がありました。マルイには、イベント出店時の売上ノルマなどはありませんので、売ることだけが目的ではなく、試着などの体験を目的とした出店も可能です。この事業者様はサンプル展示のスペース利用に加え、お客様からのご要望を受けて、最近では店頭での販売会もプラスして実施しました。
──個人事業主の活用事例もあるのでしょうか。
土本 メルカドバッグ(メキシコに昔から伝わる技法で再生プラスチック素材の紐を編んだ籠バッグ)を中心に、メキシコ雑貨をECで販売する事業者様の事例があります。ファンの方から実物の手触りや色合いを確認したいとのリクエストを受けて、実際に商品を手に取れる場やファンとの接点づくり、ファン同士の交流を目的に、1週間限定でイベント出店いただきしました。この事業者様も売上だけを目的とはせず、出店料を「マーケティング費用」と位置づけての出店でした。イベント開催中は、SNSのフォロワー同士の交流が生まれるなど、ファンとのエンゲージメントを高め、事業者様の更なるモチベーション向上にもつながりました。現在までにマルイ店舗に複数回出店されており、初回の出店では販売員・什器付きのスペースをご利用いただきましたが、直近の出店では事業者様ご本人自らが店頭に立ち、ファンとの交流を楽しんでいらっしゃいました。
──マルイのイベント出店を最大限に活かすコツはありますか。
土本 イベント出店時に「KPI」を設定することが重要です。ポップアップイベントの目的は販売だけではなく、「ブランドの認知」「新規の顧客獲得」「チャネル拡大」「エンゲージメント向上」まで多岐にわたります。KPIの設定をしたうえで、出店中の進捗や出店後の振り返りを行うのがポイントかと思います。
見崎 具体的な目的が設定されていなくても、事業を行ううえでの漠然とした課題感はどの事業者様もお持ちだと思います。その課題の言語化を当社スタッフが丁寧にサポートします。マルイにはイベントの開発、運営を行う部署があり、多数のイベントをサポートしてきた実績があります。蓄積されたノウハウや、過去の事例をご紹介しながら事業者様に合ったアドバイスやサポートをさせていただいております。
誰もがリアル店舗にチャレンジできる環境をめざして
──「OMEMIE」のサービス展開への手応えはいかがでしょうか。
土本 これまでさまざまな事業者様が「OMEMIE」を通じて、イベントのご出店をいただきました。リピート出店をされる事業者様も増加しており、「OMEMIE」の利用者はどんどん増えています。今後もサイト上で情報を検索しやすいようUI/UXを改善したり、出店時のサポートメニューを拡充したりするなど、誰もが出店にチャレンジしやすいサービスを目指していきます。
──最後に、今後の展望や未来像について教えてください。
見崎 私たちマルイは、「小売の民主化」というビジョンを掲げ、誰もがリアル店舗にチャレンジできる環境を目標としています。マルイの出店サービス「OMEMIE」を、理想とする未来への入口として世の中に広めていきたいと思っております。今までリアル店舗にチャレンジしたいと思っていたけど、あきらめてしまっていた事業者様も、お気軽にお問合せいただけたらと思います。