ビジネスに貢献するFacebook -アドテック関西2014 レポート-
Facebook岩下氏による基調講演
ディーエムジー・イベンツ・ジャパン株式会社は、11月26、27日、ad:tech(アドテック)関西を開催した。世界最大級のデジタルマーケティングカンファレンスであるad:techが関西で開催されるのは今回が初。2つの基調講演と24のカンファレンスセッション、出展企業は34、来場者数は3,470名を記録した。
初日の基調講演では、フェイスブックジャパン株式会社 代表取締役 岩下充志氏による「ソーシャルメディア最新潮流」が行われ、同社の近況とビジネスに貢献するFacebookの強みが語られた。
オープニングではFacebookの日本初としても話題となっていたTV CMを放送、CMを通じたキャンペーンのメインテーマである「友だちの大切さ」、Facebookはリアルの人と人とを繋げる実名制のネットワークであることを強調した。
Facebookの最新の月間アクティブユーザー数は2,300万人、読売、朝日、毎日、日経の朝刊部数の合計よりも多いとアピール。日本のユーザー95%はスマートフォンでFacebookを利用していること、日本への投資はこれからも続けていくことを、関西弁バージョンを例に挙げ続けた。特に一つの言語に対し、方言のバージョンを用意するというのは非常に珍しい例であり日本市場を重要視している表れだとしていた。
4つの強みを持つ広告事業
Facebookの主な収入源である広告事業。このメイン事業を拡大できている理由として岩下氏は「スマホとの抜群の相性」「デバイスをまたいだターゲティング」「パーソナルなクリエイティブ」「ROIの計測」という4つの強みを挙げた。
「スマホとの抜群の相性」
国内消費者の年代別メディア接触時間の資料を参考に、TVだけでは現代の若者に広告が十分リーチできない時代であることを解説。若年層で進むPCやモバイルの接触時間拡大、スマホはユーザーが一日中肌身離さず持っている強み、国内ユーザーの95%がスマートフォンの利用であることを再び挙げて「Facebookはスマホのメディア」とし、時と場所を選ばないスマホと良い相性であるとした。
「デバイスをまたいだターゲティング」
調査によると、約7割のユーザーはスマホ&PCを併用、約2割のユーザーはスマホ、PC、タブレットを併用し、人々は様々なデバイスを使い分けていることがわかる。スマホで目にした広告を気に入ったが実際購入するのはPC、などデバイスをまたいだ消費者行動というのは頻繁に起こっているということだ。そこでIDベースのFacebookでは、こうしたクロスデバイスに対しても正確な計測も可能なため、デバイスをまたいだターゲティングという強みに繋がっている。また、実名制であるため名前、住所、年齢、趣味などの情報が、広告のターゲティングに非常に効果がある。通常のオンライン広告が指定したターゲットにリーチできる割合が約4割であることに対し、Facebookでは約9割にリーチできるという。
「パーソナルなクリエイティブ」
Facebookのニュースフィードは一人一人にカスタマイズされており、人々のやりとりの間に企業メッセージを自然な形で入れることができる。更にターゲティングの精度が高いため、ターゲットに応じたクリエイティブを用意することでその効果を高めることができるとした。
「ROIの計測」
元々マーケターにとって、Facebookは「いいね!」やファンの数を増やすソーシャルメディアという認識をされていた。しかし最近では、ブランドの認知、商品の購入やアプリのダウンロードを増やしたいなど、ビジネス課題を解決するメディアとして直接的に利用している。
こうした4つの強みを利用したキャンペーンを成功例では、花王エッセンシャルがニュースフィード広告を展開。キャンペーン前と比較すると1.5倍のシェア拡大という成功を収めた。花王だけでなく、リクルート、日産、キリンビールなどもFacebookをマスメディアとしてキャンペーンの中核に位置づけており、ブランド広告に効くということを証明しているとした。
世界動画視聴回数は1日10億回突破
世界中で話題となった「アイスバケツチャレンジ」などの影響もあり、5月からのビデオの視聴回数は1.5倍の成長率で、1日のビデオ視聴回数は10億回を超えたFacebook(日本では130万回)。本国アメリカでは8月に動画視聴回数において初めてYouTubeを抜くという快挙も達成した。Facebookの動画広告の特徴は、精度の高いターゲティングが可能な「Reach」、ターゲットに合わせたクリエイティブ配信が可能な「Relevance」、動画視聴をした人をリターゲティングする「Remarketing」という3つのRで構成され、ブランドの世界観を伝えるときに効果が高いビデオ広告という面でもFacebookは優れているという。
その後、ダイレクトレスポンス広告の事例として、ピーチジョンやメルカリの成功例を挙げ、
最後、今後のビッグピクチャーとして未だネットに繋がっていない50億人にネットがつながることのできる環境を作るという、世界的なパートナーシップを含めた取り組み「internet.org」を紹介。そして、これからも日本への投資を続け成長し続けるとまとめた。
セレージャテクノロジーの調査によればTV CMの影響か、日本のFacebookユーザーは200万人の増加を見せた。今回挙げられた成功例などでも、広告媒体として優れている点が浸透しつつあるFacebook。特にブランド広告や動画広告は他媒体を覆すような、2,300万人のアクティブユーザーに響かせる最新の手法が登場するのではないだろうか。