楽天市場で月商1000万円の壁を突破するポイントとは?【ベルヴィ株式会社 セミナーレポート】

ECのミカタ編集部

2024年7月9日、ECのミカタでは「楽天市場カンファレンス」を開催。楽天市場のスペシャリストが登壇し、「楽天市場で成功するためにEC事業者は何をするべきか」についてお話しいただいた。

同カンファレンスに登壇した、ベルヴィ株式会社が運営するセレクトギフトショップ「ソムリエ@ギフト」。今でこそ楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーのジャンル大賞をはじめ、各種賞の常連になっているが、同社のEC事業はたった2人からスタートしたという。同社代表取締役の宮﨑義則氏は、成功の秘訣について「ちょっとの差を積み重ねたことで、差別化につながった」と語る。パネルディスカッション形式で、出店の経緯や業績を伸ばす上でのこだわりを伺った。

楽天市場出店後、一番の壁は月商1000万円

──ネット通販を始めたきっかけをお聞かせください。

2005年、楽天市場に出店したのが当社のEC事業の始まりです。当時、父の代から続く実店舗のギフトショップを6店舗展開していました。店舗で働いたり、個人のお客様へ営業したりする中で、ギフト需要が年々減少傾向にあることや「このままでは自分が引退するまで飯が食えない」と危機感を覚えるように。そこで注目したのがネット販売でした。

とはいえ、「今さらネットショップを始めても……」という思いはありました。しかし、ネット通販の知人から、今始めても売れることや楽天市場での出品が1番売れると当時、話を聞いたこともあり思い切って出品することにしたのがきっかけです。

――2005年に楽天市場へ出店し、ネット通販事業が軌道に乗るまでの経緯を教えてください。

出店から2年経った時点で、楽天市場での最高月商は100万円。赤字状態ではありましたが、商品写真やページを工夫するなどの施策、「ギフトショップで売り上げている企業がある」というメーカーから聞いた言葉を信じて地道に事業へ取り組んでいました。その結果、出店から5年後の2010年に月商1000万円を突破。ようやく軌道に乗った感じがしましたね。その1年後、2011年に月商3000万円、また1年半後に月商1億円を達成。振り返ってみれば、1番の壁は月商1000万円だったと思います。

──月商1000万の壁を突破したポイントは何だったと思いますか?

商品写真やページを作るにあたり、私自身がデザインの勉強に取り組んだこと、他社よりちょっとの差を積み重ねたことです。

当初は、商品写真やページを作成するためのWebデザイナーやフォトグラファーを採用する予算がありませんでした。そのため、自らデザインとカメラの勉強を始めました。売れている商品のページがなぜこんなにきれいなのか、どんなセットで撮影すればプロみたいに撮影できるかを知りたかったからです。

その結果、商品写真やページを他社より「ちょっと」きれいにしたり、おしゃれにしたりする際の解像度が上がり、他社との差もちょっとずつ積み重ねられたと思います。

検索ワードから逆算してサムネイルを制作

──現在はどのような体制でクリエイティブを制作されているのでしょうか。

プロのフォトグラファーを採用して、自社のスタジオで撮影を行っています。4名のフォトグラファーそれぞれにスタイリストが付いて、料理をしたりスタイリングをしたりして、シーンを作っています。他社と同じような写真ならわざわざ内製化する意味がないので、ユーザーがサムネイルを見ただけで「これはソムリエ@ギフトだ」とわかるくらいのクオリティを求めて、妥協せずにやっているつもりです。

ただ、プロのフォトグラファーを採用すれば誰もが同じようにできるかと言えばそうではありません。自分自身がデザインや写真の勉強をして、求めるクリエイティブの解像度が上がったことが今にもつながっています。

──クリエイティブを制作する上で特にこだわっているポイントはありますか?

特にサムネイルを重視しています。楽天市場は検索から購入されるユーザーが多いので、狙っているキーワードで検索されたときに、競合他社と比べて際立って見える写真であること、サムネイルと商品ページのトンマナが合っていることを強く意識しています。制作にあたっては、漠然といいものを作るというのではありません。狙った検索キーワードから逆算して、最適なテイストのサムネイルやページを作るようにしています。

※画像提供:ベルヴィ株式会社/「ECのミカタ カンファレンス」楽天市場編より

お中元などの特集広告に出稿するときは、その商品の中でクリック数1位が取れるまで、何度でもサムネイルを変更します。コンバージョン率も重要ですが、まずアクセスが集まらないと売れないからです。シーンやシーズンによってクリックされやすいクリエイティブは変わってくるので、サムネイルを最適化してアクセス数の最大化を図ることを意識しています。

毎日の検索習慣とRPP広告活用で業績向上

──クリエイティブ以外で、業績を伸ばしていくために意識して取り組んでいることはありますか?

まずは、毎日同じ検索キーワードで検索する習慣をつけることが非常に大事です。いくつかの決まったキーワードで検索して、その結果を見続けていると、モール側のアルゴリズムの変化を目に見て感じられます。

あわせて、楽天市場ではRPP広告の活用もマストです。検索上位を獲得するには、キーワードで検索されて、購入されることが欠かせません。RPP広告を活用すると、検索から購入されるという実績を積み重ねることができるので、一商品ずつ取り組んでいくと、だんだん売上が増えていきます。

──クリエイティブや見せ方も大事ですが、商品やサービス自体も大切だと思います。貴社独自で取り組んでいる施策はありますか?

2024年6月に「ギフトウィズストーリー」という新しいサービスを開始しました。ディズニーデザインの包装紙とメッセージカードが選べるほか、ギフトを贈られた方がカードの二次元バーコードを読むと、ディズニーデザインのフォトフレームで写真を撮ることができるというサービスです。

※画像提供:ベルヴィ株式会社/「ECのミカタ カンファレンス」楽天市場編より

売れると他社から真似される業界なので、他社に真似できない商品やサービスで「ちょっとの差」を作って売上を大きくしていく。それによって、さらに真似のできないサービスを作っていくことが重要だと思っています。2023年には「プラスチーズ」というオリジナルスイーツも発売し、大変好評です。

──最後に、今後楽天市場で取り組んでいきたいことをお聞かせください。

我々にしかできないサービスや商品を通して、私たちのモットーである「GIVE A SURPRISE MAKE AN ENTERTAINMENT(届けるサプライズ、受け取るエンターテインメント)」の実現を目指して引き続き頑張っていきます。そのためにも、ショナルブランド商品よりいい商品を作ってユーザーに届けることを目指して、オリジナルの商品やサービスを増やしていきたいですね。

宮﨑義則(みやざき よしのり)
ベルヴィ株式会社 代表取締役
兵庫県立姫路西高等学校卒業後、アメリカへ留学。その後1年間のギフト商社での勤務を経て、父親の経営するベルヴィ株式会社に入社。実店舗の営業職を8年間経験するも自分の商才のなさを痛感する。2005年、取引先の勧めでインターネットショップをグルメ商材でスタートするも、納得のいく成果を得られずにギフト商材へと転換。2007年、同社代表取締役に就任。

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