多数のブランドと商品数でもお客様の回遊性を高めた4℃のEC戦略とは 【エフ・ディ・シィ・プロダクツ セミナーレポート】
2024年12月10日~13日の4日間、awoo株式会社主催の「ファッションECカンファレンス2024」が開催された。その2日目最初のセッションに、1972年に「4℃」ブランドの展開を始めて、全ての人に「美しさ」と「ときめき」をお届けするというブランドコンセプトのもと、幅広いアイテムを取り揃えている株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツが登壇。同社はAIを活用し、購買意欲を高めるハッシュタグや特集ページを生成している。
ここでは、株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツの第一事業部 EC営業部 EC営業課 マネージャー 伊藤直輝氏と同課 課長 西川逸人氏、awoo株式会社のContent Manager 坂居広行氏とSenior Client Success Manager ヤンヨシエ氏によるパネルディスカッションの模様をお届けする。
「4℃」をはじめ、7ブランドをECで展開
awoo株式会社 Content Manager 坂居広行氏(以下、awoo 坂居) エフ・ディ・シィ・プロダクツ様はECで7つのブランドを展開されています。代表的なブランドの特徴をお聞かせください。
株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツ 第一事業部 EC営業部 EC営業課 マネージャー 伊藤直輝氏(以下、エフ・ディ・シィ・プロダクツ 伊藤) 「4℃」は今年(2024年)でブランド誕生から52年となり、非常にシンプルで洗練されたデザインのため、オンでもオフでも使えるジュエリーであるのが特徴です。
「4℃ HOMME+」は、ジェンダーレスラインとして2021年に誕生しました。ブランド名に「HOMME」と付けられていますが、「+」が時代やジェンダーを超えて着用する全ての人に寄り添いたいという思いを込めています。
「cofl by 4℃」も2021年に誕生したブランドで、リサイクルメタルやラボグロウンダイヤモンドなどの使用やアップサイクルコレクションの展開など、地球環境に負担をかけないことにこだわり抜いたサステナブルブランドです。“cofl”というブランド名は「circle of life」が由来となっています。
ECでのマイナス体験をなくすために「FAQの設置」と「サイトスピード向上」を実施
awoo 坂居 店舗やSNS、ECなど顧客との接点が多い中、エフ・ディ・シィ・プロダクツ様ではECサイトをどのように捉えているのでしょうか。
株式会社エフ・ディ・シィ・プロダクツ 第一事業部 EC営業部 EC営業課 課長 西川逸人氏(以下、エフ・ディ・シィ・プロダクツ 西川) ECサイトも店舗と同様にブランドの世界観を感じる顧客体験ができる重要な場として捉えています。しかし、ECサイトでは店舗のように直接の接客ができません。「お客様に快適にECサイトをご利用いただくためには何をすべきか」という課題がありました。
awoo 坂居 顧客満足度を高めるために注力している機能についてお聞かせください。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 西川 現在はお客様にとってマイナスの体験をなくす機能として「FAQの設置」と「サイトスピードの向上」に取り組んでいます。店舗では毎日の掃除のようにお客様が快適に過ごせるようにする業務がありますが、ECサイトでは「サイトスピードが遅い」「疑問が解消されない」といった課題は見落としがちです。
私たちが扱うジュエリーは男性がギフトとして購入するケースもあります。ジュエリーに詳しくない男性がECでギフト選びをする際にも疑問が解消できるように、FAQを設置しています。これは、夜間や深夜帯のようにチャットで対応できない時間帯を補完する効果もありますね。
awoo 坂居 サイトスピードの向上を意識した背景もお聞かせください。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 西川 ジュエリーブランドとして画質が高い商品画像を使用していたこともあり、サイトが重くなっていました。SEOのコアウェブバイタル(ページの読み込みパフォーマンスなど、ユーザーエクスペリエンスを測定する一連の指標)を考慮してJavaScriptの圧縮や画像のフォーマット変更を試してみましたがうまくいかず、最終的にRepro株式会社の「Repro Booster」というツールを導入して解決しました。
「awoo AI」で顧客の回遊性とブランドを横断した検索体験が向上
awoo 坂居 エフ・ディ・シィ・プロダクツ様は弊社が提供する「awoo AI」を導入いただいています。導入の背景をお聞かせください。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 伊藤 展開しているブランド数や商品数が多く、カテゴリー分けも難しい中、毎週のように新商品が出てくるとお客様が欲しい商品を検索でなかなか見つけられないといった課題がありました。商品部としても、推したい商品をトップページのバナーや特集ページに掲載しています。その結果、推している商品以外の商品がお客様の目に触れにくい状態となってしまいました。
幅広いブランドと商品を訴求し、各商品の特徴とブランドの想いを伝えるために「awoo AI」を導入しました。
awoo株式会社 Senior Client Success Manager ヤンヨシエ氏(以下、awoo ヤン) エフ・ディ・シィ・プロダクツ様は「回遊性」と「ブランド横断」という課題を解決するために、ハッシュタグ機能をご活用いただきました。AIが自動的にハッシュタグを生成するだけでなく、エフ・ディ・シィ・プロダクツ様からデータフィードという形で商品情報をいただき、「3万円以下」「5万円以下」のような価格帯のタグも手動で付けています。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 西川 価格帯のタグは、予算がつきものであるギフトニーズに対応しています。まずは素材やカテゴリーなどで検索していただき、予算内に収めたいと思ったときに「ブルートパーズ 3万円以下」のようなタグを見てもらう流れが実現できています。
awoo ヤン また、エフ・ディ・シィ・プロダクツ様には「awoo AI」のタグフィルター機能もご活用いただいております。特定のタグで検索した際、検索結果の数が多いとお客様が探す負担が大きくなってしまうため、特徴軸やカテゴリー軸でも商品を絞り込めるのがタグフィルター機能です。
awoo 坂居 実際にタグフィルターを使っているユーザーは、使っていないユーザーよりも欲しい商品にたどり着けており、CVRが20%高い傾向にあります。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 伊藤 私たちは特集ページの生成機能も活用しています。これまで「お客様のタイプに合わせた商品紹介」や「ブランドを横断したクリスマスギフト紹介」の特集ページを作成しました。
awoo ヤン 特集ページは、ほぼノーコード・ローコードで簡単に作成できるのが特徴です。掲載する商品はタグで抽出でき、並び順も「価格の安い順」「売上順」など、さまざまな方法で並べられるので運用工数を削減できます。
awoo 坂居 特集ページを経由したお客様と経由していないお客様では、経由した方がエンゲージメント130%アップ、カート投入率200%アップ、CVR130%アップの効果が表れています。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 伊藤 実際にページ作成のスピード感も増しました。CMSを触ったことのない担当者でも少し説明すればページを作れるようになりますし、これまで2週間ほどかかっていた特集ページの作成が数時間でできてしまいます。
お客様との大切な接点としてECを充実させていきたい
awoo 坂居 最後に、エフ・ディ・シィ・プロダクツ様が今後挑戦したいことは何でしょう。
エフ・ディ・シィ・プロダクツ 西川 ECサイトはブランド全体の価値向上に関わる大切なお客様との接点です。ECで売上を作っていくことはもちろんですが、お客様との大切な接点として、機能の拡張や社内メンバーの育成を進めていきたいと考えています。社内のEコマース部門だけでなく、ブランド担当やデザイナーなどにもデジタルマーケティングスキルを習得してもらい、共通言語で会話できる風土を目指しています。