「Bカート」の導入で対応コストが1/3に! 課題だった業務効率化と属人化の解消に成功
BtoB取引においては、顧客ごとに販売価格や利用可能な支払方法が異なるなど取引条件が複雑で、IT化が進んだ現在でも電話やFAXで受発注を行う企業が少なくない。各種測定機器を取り扱う株式会社全晴もその一社だったが、BtoB ECプラットフォーム「Bカート」を導入して業務効率化と属人化の解消に成功。受注業務にかかる対応コストを1/3まで削減した。全晴でシステム導入を主導した熊谷諒氏と、Bカート導入やIT導入補助金の申請で同社を支援した株式会社日専連ライフサービスの山本剛伸氏に、Bカート導入の経緯や成果・効果、今後の展望などについて話を聞いた。
複雑で手間と時間がかかっていたBtoB受注業務
――まずは両社の事業内容について教えてください。
株式会社全晴 管理部 海外課 課長 熊谷諒氏(以下、全晴・熊谷) 全晴は自動車関連の精密金型部品や治具工具、作業現場で使用する各種測定機器を製造・販売する会社です。宮城県仙台市に本社を構え、愛知県豊田市や北海道苫小牧市などに拠点があります。BtoBのお取引が9割以上を占めており、最近ではお客様のご要望に合わせて測定機器を開発することも増えてきました。
株式会社日専連ライフサービス 法人営業部 ITソリューショングループ 山本剛伸氏(以下、日専連・山本) 当社は、仙台市とその周辺エリアでクレジットカード事業やBPO事業、カーリース、通信事業などを行っています。全晴様とは5年ほど前から通信事業でお取引があり、今回のBカート導入にあたってはIT導入補助金の導入や申請などでサポートさせていただきました。
全晴オンラインショップのトップページ
――全晴様はBカート導入前、受注から出荷までの業務にどのような課題をお持ちでしたか。
全晴・熊谷 当時はFAXかメールで注文を受け付け、社内の基幹システムにその情報を手入力してから発送手続きを行うなど、すべて人の手を介してアナログな作業を行っていました。そのため、それらに伴う作業時間のロスや、人為的ミスも生じていました。また、担当者が不在の際は作業がストップして出荷日が遅れることもあったので、業務効率の改善が大きな課題であり、早急にWeb受発注システムの導入が必要でした。
――サイトを構築するにあたりいくつかのツールを比較されたと思いますが、最終的にBカートを選んだのはなぜですか。
全晴・熊谷 BtoB取引では、顧客ごとに販売価格が異なるなど諸条件が複雑です。Bカートは顧客ごとに価格を細かく設定したり、購入可能な商品を制限したりできるので、それらの点が大きな魅力に感じました。それに加え、APIが無料公開されているため、既存の基幹システムとスムーズにデータ連携できる点も当社にとっては大きなメリットでした。また、BtoB EC専用のSaaSで基本機能が充実しており追加開発が不要であること、月額9800円という低価格で始められることも、導入を後押ししたポイントです。
――日専連様はどのような理由でBカートを推薦されたのですか。
日専連・山本 大前提として、コストと機能のバランスが素晴らしいことです。先ほど熊谷様が顧客ごとに価格を設定できるのがBカートの魅力だとお話しになりましたが、同じことを他のカートでやろうとすると5~6倍の費用がかかってしまいます。ご相談をいただいた受発注システムの導入に対してIT導入補助金が利用できたので、自信を持ってBカートをおすすめしました。
顧客の可視化でマーケティング施策にプラスの影響
――Bカートを導入して4カ月が経過しましたが、課題は解決されましたか。
全晴・熊谷 そうですね。まず基幹システムに受注内容を手入力しなければならなかった手間と時間を大幅に削減することができました。それまで担当者が個別に対応していたお見積書の提出や在庫確認もお客様自身でできるようになったので、受注関連業務の工数もグッと減りましたね。業務の属人化も解消されたため、全体での対応コストは1/3ほどに減ったイメージです。
日専連・山本 全晴様はBカート導入の目的が明確だったので、効果が出やすかったのだと思います。受注業務全体を通してどのような作業が行われているのか、それらのフローにおいてどの部分が課題であるのかなど、導入前に整理が必要な「業務の棚卸し」もきちんとされていて、補助金申請もスムーズに行うことができました。
――業務の効率化以外の面では、どのようなメリットがありましたか。
全晴・熊谷 さまざまな数字の情報を導入前よりさらに活かせるようになりました。これまでも受注数や売上データをとってはいましたが、それらをうまく分析に活用するのが困難な状況にありました。その点、BカートはGoogleアナリティクスとの自動連携が可能です。サイト来訪者の属性や興味・関心、注文に至るまでの行動などが可視化できるので、「誰がどの商品に興味があるのか」「クリック数が多いのにコンバージョンに至らなかった原因は何か」など、マーケティング施策を深化させるための数字が拾えるようになったのは大きな成果です。
株式会社全晴 管理部 海外課 課長 熊谷諒氏
――サイト内での顧客の行動を把握できるようになったのは大きなポイントですね。使い勝手についてはいかがでしょうか。
全晴・熊谷 Bカートは機能も豊富ですし、管理画面もシンプルで非常に使いやすいと思っています。しかし、実際に運用をしていく上で標準機能だけではカバーしきれない業務などが出てくることも否定はできません。当社の場合、FAXやメールなどBカート経由ではない注文情報を元に見積書を作るケースも未だ多いので、その業務の効率化を目指し、独自にGoogle Workspaceでアプリを作って見積書に記載する商品の登録業務も簡略化しました。
日専連・山本 当社はさまざまな企業のDX支援をしていますが、ツールやシステムを導入しただけで満足してしまい、上手に運用できていない企業が少なくありません。全晴様はBカート導入後もオリジナルでアプリを作成して改善を続けていらっしゃるので、その姿勢は我々も見習いたいと思います。
すべての受注関連業務をBカートに紐付け
――ユーザー(取引先)からは、どのような声が届いていますか。
全晴・熊谷 24時間いつでも在庫の有無が確認できることや、見積もりが取れることはとても喜ばれています。ただ、やはりどうしても従来のFAXやメールによる注文を希望されるお客様もいらっしゃるので、そういった既存顧客のフォローをしながら、EC経由の注文に切り替えていただけるようにご提案を進めているところです。
――今後の事業展開や、中長期的な目標・計画などがあれば教えてください。
全晴・熊谷 今後は検品と梱包を除くすべての受注関連業務をBカートに紐付け、さらなる業務効率化を進めます。自動化できるところは可能な限り自動化し、営業や開発、マーケティングなどにリソースを充てたいですね。また、将来的にはメールやFAXで届く注文のBカートへの受注登録をより簡便化していきたいと考えており、AI OCRの活用を検討しています。
株式会社日専連ライフサービス 法人営業部 ITソリューショングループ 山本剛伸氏
日専連・山本 当社は宮城県を中心に東北エリアで多くの企業様と接点があるので、BtoB ECの導入やIT導入補助金の申請についての相談窓口として存在感を高められればと思います。また、現在は自治体や金融機関との連携を強化しており、今後も引き続き地域の企業をつなぐ“ハブ”として事業連携をサポートしていきたいと考えております。
――最後に、BtoB ECの導入を検討している事業者に向けてメッセージをお願いします。
全晴・熊谷 もし迷っていらっしゃるのであれば、間違いなくチャレンジした方がいいと思います。個別にカスタマイズ開発するのではなく、BカートのようなSaaSであればスモールスタートできるので、「電話やFAXによる受注処理が面倒」「取引先ごとに価格や取引条件が異なるので管理が大変」「人手が足りず手が回らない」などの課題やお悩みを抱えていらっしゃるのであれば、勇気を持ってまずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。