2025年をリードする!EC決済の動向と消費者ニーズを解説【SBペイメントサービス セミナーレポート】

ECのミカタ編集部

ECサイトや実店舗向けの決済サービスを展開するSBペイメントサービス株式会社。2024年12月に開催されたミカタカンファレンスでは、営業推進本部 営業戦略部 部長の坂西啓介氏が登壇し、決済に関する最新の消費者ニーズや決済のトピックス、2025年に向けた各種動向の予測について語った。

※サービス名、所属部門、役職名などは2024年12月時点の情報です。

キャッシュレス決済の比率は約40%に

坂西氏は導入として、国内EC市場の発展やキャッシュレス決済比率の躍進について紹介した。EC化率は現状約10%という数値だが、多くの消費者にとってECサイト経由の購入が当たり前の世の中になっている。また、オンライン・オフライン含めたキャッシュレス決済比率としては、直近で約40%まで伸びている。世の中においても、キャッシュレス決済が浸透してきていることが分かる。

画像提供:SBペイメントサービス株式会社(カンファレンス登壇資料より)

カゴ落ちを防ぐためにどんな決済手段を選ぶのがいい?

キャッシュレス決済が当たり前の世の中にはなっているものの、SBペイメントサービスが行ったアンケートによると、ECサイトで商品購入時に、よく利用する決済手段がない場合、62.8%の方がサイトを途中離脱、いわゆるカゴ落ちすることが明らかになっているという。

そこでセミナーでは、ネットショップでよく利用される決済手段に関するアンケート結果の推移が示された。

画像提供:SBペイメントサービス株式会社(カンファレンス登壇資料より)

2018年から2024年までの推移を見ると、クレジットカード決済が2018年の83.9%から2024年には66.1%まで減少している。一方でPayPayは近年出たサービスながら、2024年に29.1%まで上昇しているなど、大きく利用が拡大している。

坂西氏は、属性別にどのような決済手段の導入がおすすめかをいくつか例示した。20代から40代の男性向けの商材(ビジネスグッズやアウトドアグッズ)を扱っている事業者では、PayPayや楽天ペイなどのQRコード(※1)決済のニーズが非常に高いという。10代、20代の女性向けの化粧品やアパレルを扱う事業者では、クレジットカード決済以外に、やはりPayPayが人気とのこと。「また、カード払いができない層の比率が高まるため、コンビニ決済や後払い決済の導入も効果的」とも語った。

後払い決済については、若年層のみならず30代以降でも一定の需要があるという。「『手持ちのお金が不足している』という理由だけでなく『購入時の決済手続きが面倒』というニーズにも応える後払い決済は、カゴ落ち防止に有効な手段と言えるでしょう」と坂西氏は分析した。
※1:QRコード は、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

画像提供:SBペイメントサービス株式会社(カンファレンス登壇資料より)

2024年のトピックスから決済トレンドを読み解く

続いて坂西氏は、決済に関するトピックスとして「セキュリティ対策」「越境EC・インバウンド」「アプリ外課金」の3点を掲げ、分析と解説に移った。

セキュリティ対策
まずはセキュリティ対策。クレジットカードの不正利用被害額は増加の一途を辿っており、EC事業者にとってセキュリティ対策は最重要課題の一つだ。2025年3月末にはEMV 3-Dセキュアの導入が義務化され、4月以降も新たなセキュリティガイドラインに基づいた追加対策が求められる。サイトの脆弱性や不正ログイン対策の強化が推奨されることになるのだ。

これらを踏まえ、坂西氏はSBペイメントサービスが提供するAI不正検知を紹介。AIによるリアルタイムのリスク検知や、事前の設定条件によって決済をストップさせるといった柔軟なルール設定により、不正被害を未然に防ぐとした。無料プランもあり、手軽に導入が可能だ。

越境EC・インバウンド
「越境EC・インバウンド」については、コロナ禍を経てインバウンド需要が急速に増加していることを指摘。特にアジア市場は大きな可能性を秘めており、アニメやホビーなど日本ならではの商材が人気であると、各種データから分析した。アジア圏向けの決済手段には「WeChat Pay」、「Alipay+」などがあるという。

ただ、越境ECは一朝一夕で始められるものではない。SBペイメントサービスでは、決済だけでなく、配送や集客支援を含む「越境パック」を提供し、事業者の海外展開を包括的にサポートしている。

「越境パック」の決済手段として使う「WeChat Pay」は、中国のLINEのような通話やチャットが可能なアプリ「WeChat」の決済機能であるとのことだ。坂西氏は「訪日客は年々増加しており、リピート購入においても越境ECの市場は今後も拡大すると予想されます。ぜひ販路拡大に向けてご検討いただければ」と強調した。

アプリ外課金

画像提供:SBペイメントサービス株式会社(カンファレンス登壇資料より)

アプリ外課金とは、ゲームアプリやリーダーアプリ内での決済ではなく、アプリにリンクを設置してユーザーを外部のウェブサイトへ誘導し、課金を行う方式だ。これまでこの方式によって、アプリ内課金で30%ほどかかっていた決済手数料が、決済代行会社経由で 数パーセントまで削減できるようになっており、サイト集客が別途必要になることを考えても非常にメリットがあるという。

アプリ外課金が普及したきっかけは、2024年6月に施行された「スマホソフトウェア競争促進法」だ。国内の大手ゲーム会社などでもすでにアプリ外課金が導入されているという。ユーザー目線でも、キャンペーンなどの恩恵を受けやすくなるメリットがある。

ニーズに合わせた決済手段で売上アップを

坂西氏のセミナーからは、決済手段に関する消費者のニーズは多様化しており、海外からのニーズにも対応しなければならない状況にあることが分かった。EC事業者は最新の動向を的確に捉え、最適な決済手段を導入することで、競争優位性を確立することができるだろう。

SBペイメントサービスでは40ブランド以上の豊富な決済サービスを提供しており、決済だけでなくサイト構築や運用の相談も可能だ。気になる方は、ぜひ情報をチェックしてみてほしい。

坂西 啓介
SBペイメントサービス株式会社 営業推進本部 営業戦略部 部長
データを活用した分析をもとに、決済市場の動向や顧客ニーズに即した営業戦略の立案と、売上拡大に向けた施策の推進を担当。前職のカード会社では、加盟店向けプログラムの策定や提携契約、運用ルールの整備などを制度設計に従事。その後、コンサルティング会社での経験を経て、現職では営業戦略に加えてマーケティング戦略や、アカウント営業との連携を通じた事業推進に取り組んでいます。