「Yahoo!ショッピング エージェント」詳報 生成AIが“買い物全体”をサポート

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大矢根 翼

(写真左から)LINEヤフー株式会社 ショッピングSBU 統括本部長 杉本務氏、同社 コマースドメインショッピングSBU プロダクト開発本部長 市丸数明氏

AIの積極活用を全社的に進め、個人向けサービスを中心に立て続けに施策を打ち出すLINEヤフー株式会社。同社は運営するYahoo!ショッピングにおいても生成AIを用いたさまざまな機能をスタートさせている。

本稿では、2026年2月25日に開催され、同社 ショッピングSBU 統括本部長 杉本務氏・コマースドメインショッピングSBU プロダクト開発本部長 市丸数明氏が登壇した「生成AIを活用した新機能『Yahoo!ショッピング エージェント」説明会・体験会』」をレポート。同社がローンチまでこだわったUXの詳細や、実際のユースケースに即したデモの模様などをお伝えする。

●参考記事【Yahoo!ショッピング、一連の購買行動全体を生成AIがサポートする新機能を提供】
https://ecnomikata.com/ecnews/ec_site_operation/49709/

ネットショッピングの「探すストレス」をAIで解消

同会に登壇した杉本務氏は、現在のEC体験について「便利になった一方で、探すことに疲れる場面がある」と指摘する。ユーザーが商品を購入するまでには、「何を買うか決める」「商品を探す」「比較する」「購入タイミングを判断する」といった複数のプロセスが存在するが、それぞれに負担や迷いがあるという。

そこで導入されるのが、Yahoo!ショッピングにおける新機能、AIエージェントだ。AIは商品検索の仕組みや商品ページの情報を学習し、ユーザーの要望に応じて商品提案や比較表の作成、購入タイミングの提示などを行う。

ユーザーがその場で購入しなくても、AIが継続してリサーチを行う点も特徴的だ。たとえば通勤中に商品を探し始めた場合、仕事中もAIが調査を続け、昼休みにはユーザーの好みに合わせた商品候補を提示する、といった体験を目指す。

また、日常会話のようにAIに相談できる点も特徴だ。 「忙しくて料理する時間がない」と相談をすれば、過去の購買履歴をもとに時短料理関連の商品を提案するなど、パーソナライズされた提案が行われる。

AIエージェントが多様なUXニーズに対応

続いて登壇した市丸数明氏は新機能のコンセプトを「UIからUXへ」と表現する。これまでYahoo!ショッピングは、検索画面や商品一覧といったユーザーインターフェース(UI)を通じて買い物体験を提供してきた。しかし、ユーザーのニーズは十人十色であり、単一のUIでは全ての要望を満たすことが難しいという。

市丸氏はAIエージェントを通じて「インターフェイスにとらわれず、Yahooショッピングの最高のUXをすべての人に届けることを目指す」と語る。

Yahoo!ショッピングには多数のAPIが存在するが、従来は開発者がプログラムを書かなければ新しい機能を実現できなかった。一方、「Yahoo!ショッピング エージェント」はユーザーの意図を理解し、必要なAPIを自動的に使い分けることで柔軟なサービス提供を可能にする。その背景ではユーザーの購買データがパーソナライズを支援する。また、このAIエージェントは、商品検索だけでなく、問い合わせや注文確認などYahoo!ショッピング上のさまざまな操作に対応する設計となっている。

同会で市丸氏は、「Yahoo!ショッピング エージェント」のデモも披露。 「いつものコーヒー」という呼びかけに対して、AIエージェントは過去の購入履歴をもとに、普段購入している銘柄を特定して最安値の商品を提示した。

購入画面では「今日が最もポイントが付く日」といった情報を提示し、購入タイミングの判断もサポートする。複数商品の比較もAIが自動で行い、「お手入れの簡単さ」などの条件で比較表を作成することも可能だ。

気に入った商品の値下げを通知する機能も用意されており、市丸氏は「ユーザーが思いついたことを自由に話すだけで、AIが買い物をサポートする体験を実現したい」と説明した。

より高度なパーソナライズを目指す

「Yahoo!ショッピング エージェント」は段階的に機能を拡張する予定だ。今後、過去の注文履歴を理解しよりパーソナライズされた提案を実現したり、検索や閲覧履歴をリアルタイムに理解しインタラクティブな提案を強化したり、さらに、ユーザーが探す前に商品を提案する「自発的提案」の実装予定もあるという。

将来的にはYahoo!ショッピングだけでなく「LINEなどLINEヤフーの各サービスとの連携も視野に入れている」と杉本氏。「AIインテリジェンスは買い物体験を劇的に変える可能性を持っている。ユーザーが本当に買い物を楽しめる世界を実現したい」と語った。

「Yahoo!オークション」や「Yahoo!フリマ」といった、LINEヤフーが運営するリユースプラットフォームでの同機能実装は、個別のエージェントを開発しているが、それぞれが連携して商品を提案する方向で検討中とのことだ。

一方で杉本氏は「AIによって『体験』は変わるが、商品をしっかり提供し、お得に購入できる場であることは変わらない」とも。AIエージェントによって、これまで検索されにくかった商品が発見される“ディスカバリー”が進み、出店者にとっても新たな機会が生まれる可能性があるという。

まとめ

今回の発表で、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングという国内三大モールのエージェント(ショッピングアシスタント)機能が出揃った。この中でLINEヤフーのアプローチは、「千差万別なユーザーの好みにUIを合わせきることはできない」というリアリズムに立脚したサービスと言えるだろう。

プラットフォームの設計思想が違えば露出を増やす手法も異なる。AIに対するSEO(AIOなど)には未開拓な部分が多いが、いずれのAIに対しても徐々に対策とアルゴリズムの変更が続くことが予想される。AIにレコメンドされる必要がある領域は拡大し続けているため、事業者がプラットフォームと互恵的関係を築くためには、AIが見つけやすくするデータの構造化を前提とした試行錯誤が求められることになりそうだ。

※一部の商品は「Yahoo!ショッピング エージェント」機能の対象外


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記者プロフィール

大矢根 翼

大矢根 翼

2018年法政大学卒業後、自動車部品メーカーに就職。
ブログ趣味が高じてライターに転身し、モータースポーツメディア『&Race』を副編集長として運営。
オウンドメディアの運営、記事制作など、複数ジャンルで記事制作をメインに活動している。

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