nanapi直撃!アンサーストアOpenの真相、教えます!
「アンサー」は、アプリ上で、何気ない事を投げかけると、即レスがくるアプリ
独特でシュールな商品の選定が「アンサー」らしい
ECが「アンサー」というコンテンツを面白くするという逆転の発想
nanapi アンサーが仕掛ける、新感覚なECとは?
記者の目線で、気になるEC店舗をブラ歩きする「石郷“145”が行く~店長のホンネ」の第4回は、先日、5月に「アンサーストア」を立ち上げた、株式会社nanapi (代表取締役 古川健介 以下、nanapi)にやってきた。出迎えてくれたのは、起案者、久間美咲さん、プロデューサー岡山智氏だ。
「アンサーストア」は、nanapiが運営する「アンサー」というコミュニケーションアプリが、礎にある。「アンサー」は、アプリ上で、何気ないことを投げかけると、瞬く間に返事が返ってくる、というもの。 コミュニケーションの要件は様々。注目すべきなのは、スマホにより、このコミュニケーションが誰でも簡単に目にすることができ、即レスが可能になった事で、会話に近いやりとりが生まれた、ということ。「アンサー」はコミュニケーションツールとして、特に10~20代に強く受け入れられているのだ。
ECがあるおかげで、一層、アンサーが好きになる
通常の発想から言えば、そのアプリから誘導して、ECで収益を上げる、となるのだろうが、さすが、「アンサー」は違う。語弊がある事を恐れずに言えば、「アンサー」らしく肩の力を抜いた感じであって、“ECで遊ぶ”という発想なのだ。久間さんは「何気なくアンサーストアを見つけて、商品を買ったら、その事自体を、アンサーで話したくなった、というような流れが理想なんです。」と話す。
商品の切り口が、他とは違ってくるのは言うまでもない。サイトを見ると、アンサーおしゃべりTシャツ、アンサーくん大集合トートバッグ、アンサーロゴTシャツ……あとは…んん?おにぎり??以上終了。え???商品数は4点で、そのうち一点は、おにぎりを売っているが、SOLD OUT。思わずモニターに突っ込んだ。
「買った人がネタを作り、その人が「アンサー」の良さを広めて欲しいと思っています。また、アンサーにもっと愛着を感じてもらえたらと思います。私たちは、ユーザーのやりとりの媒体だったところから、一歩踏み込んで、ECでリアルな面白い体験そのものも、ネタとして提供する。全力で面白さの種を、仕込んでいきます」と続けた。
アプリの新たな楽しさに気付かせたのは、ECの自由度だった
そして、岡山氏と話して、考えさせられたのは、「stores.jpや、BASEが登場してきた事で、誰でも手軽に、ECを作る事ができ、結果、ECの自由度が上がった」という事。それが、ECの新たな可能性をも引き出したのだ。「以前で言えば、ECをやろうと思ったら、店舗の立ち上げも決済も、大々的だったけど、今は違うから、頭を柔軟に、従来の型にとらわれる事なく、今までにないECの使い方を積極的にできる。これまでも、単純に自社のサービスとしてやるところはあったけど、 ECを利用して、コンテンツを面白くしようという発想は、なかった。それを弊社がやっただけのことなんです」と岡山氏。いずれは、アンサーストアで買ったものが、アンサーで話題になり、それによりその商品が、nanapi社員の考える以上の新しい付加価値を持って、ユーザーに購入される。それを夢見ている。
二人は「悪ふざけのように取られる事もあるけど、むしろ、本気で、ユーザーの裏をかいたり、どうやったら楽しめるだろうか、を考えていて、ECもその大事な要因」と締めくくった。コンテンツを生み出すプロとして、他の人には考え及ばない、奇想天外な発想が、ECを巻き込んで、ユーザーの日常を湧かせてくれそうだ。
ECの固定概念の殻を打ち破ろう
最後に、実は、この取材をしようと思った背景には、一つのブログがある。古いのだが、nanapi古川健介社長(けんすう)が書いたブログ「実はECというものは、これからじゃないかと思ってきた」(http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/54649328.html)だ。
この中で、「ECはむしろこれから」という話に触れ、ネット通販と実店舗は、対立するものではなく、共存することで面白くなりそうだという話、それとあわせて、大量に売れるはずのない商品でも、100個なら売れるかもしれない、という話をあげて、ネット通販が、今までならば、実現できない商売の在り方で、商品やコンテンツに光を与えてくれそうだ、というようなくだりがある。感覚的な話で恐縮だが、「アンサーストア」もそうではないかと思った。ECを今までのイメージで、ガチガチにECと考えるのは、古いのかもしれない。
ネット通販の持つ可能性を、「アンサー」なりにarrangeして、世の中に、提示するところに、ECの未来の一端を見た。アンサーのような、新感覚なECは、僕らにどんな未来を見せてくれるのだろうか。
企画構成 石郷“145”マナブ