【まとめてみた】独占取材!DeNAのキュレーション比較と未来。ECに与える影響は?
DeNAは、「MERY」「iemo」「CAFY」「JOOY(ジョーイ)」「cuta(キュータ)」等を展開、キュレーションに関して意欲的。
DeNA paletteという構想は、「バーティカル・キュレーション」を、信頼のおけるメディアにするための土台作り。
「MERY」では、広告における成功事例が出ており、今後、EC業界にも目が離せない存在になりそう。
キュレーションの可能性を引き出す、「DeNA palette」構想
株式会社ディー・エヌ・エー(代表取締役社長兼CEO:守安 功 以下、DeNA)は、このほどキュレーションプラットフォームを集めた「DeNA palette」というプロジェクトを立ち上げた。キュレーションとは、一つのジャンルについて様々な人達(キュレーター)が各々自分で探してきた記事ネタを元に記事を形成し、それがまとまったプラットフォームサイトのことを言う。
もとより、DeNAは、昨年10月1日、株式会社ペロリ(代表取締役 中川綾太郎)が運営する、女性向けファッションに特化した「MERY」(http://mery.jp/)と、iemo株式会社(代表取締役CEO 村田マリ)が運営する、インテリアに特化した「iemo」(http://iemo.jp/)を買収子会社化しており、両社のノウハウを元に、DeNAがレシピ・食卓に特化した「CAFY」(https://cafy.jp/)を立ち上げた。
最近は、旅行情報に特化した「Find Travel」を運営していた株式会社Find Travel(代表取締役:井出 一誠)も、買収子会社化したほか、男性ファッションに特化した「JOOY(ジョーイ)」の提供を開始。妊娠出産子育てに特化した「cuta(キュータ)」も6月開始予定で、キュレーションに関して、同社の意欲的な動きが目立つ。こうした現状を受け、ECのミカタは、キュレーションの可能性に関して、DeNA牛尾氏に話をうかがった。キュレーションのもたらす未来について、考えてみたいと思う。
環境の整備が進み、一方で、広告における成功事例も。
そして、今回、発表されたDeNA paletteという構想について、牛尾氏は、ユーザーへのアピールが主目的ではなく、社内外でも関心の高い人が集まるためのプロジェクトという位置づけと、強調した。同社はDeNA paletteと一括りにする事で、バランスよくキュレーションサービスを提案でき、一方で、例えば、キュレーターがものを書く際に、外部の画像素材を問題なく利用できることを一体的に対処する、など管理の徹底にも繋がる。現に、同社は4月2日、株式会社オンワード樫山や、株式会社フォリフォリジャパンなど、有力ファションブランドを持つ数社と連携して、ユーザーが、ブランドの写真に関して、使用して、記事を書きやすい環境を整えている。信頼のおけるメディアになるための土台作りなのである。結果、安心できるメディアとして、コミュニティとしての価値は高くなり、その質の高さが明確なターゲットに対して、的確な訴求ができるようになる。
女性向けキュレーションプラットフォーム「MERY」にも話を聞いたところ、My Little Box株式会社の事例があるという。My Little Box株式会社は、コスメやアクセサリーなどが入ったサプライズBOXを家に届ける、という月額3,200円のサブスクリプションサービスを展開している(https://www.mylittlebox.jp/home)。本施策では、MERYのターゲット層に合わせてサービス内容を紹介した記事(http://mery.jp/84039)を、広告枠に7日間掲載し、さらに、記事内にてMERY読者への限定プレゼントを提供、MERY読者への認知向上を狙った。
「MERY」の成功事例に見る、EC業界への影響は。
結果、広告枠に掲載した7日間で、記事は5万Viewを突破、リンクへのクリック率は実に約11%にも上った。さらに、同記事経由のMy Little Box購入者が、112件にも上ったのだ。つまり、同サービスが継続的に利用されるサービスである事を考えれば、仮に半年間、サービスを受け続けたとして、1記事で、約200万円以上の売上げ(3200円×112件×6ヶ月)を記録した事になる。日本での認知がまだ高いとは言えない中、MERYを通じて、読者との接点を創り出すことで、サービスの魅力を十分に伝え、さらに、購入にまで至った好事例である。
牛尾氏は、こう話す。「既に、まとめサイトなどはあるが、読者にとってはまとめ記事が集まっている場であり、あくまで「便利なサービス」になっている。一方で、ブログも、個人にスポットが当てられたもので、個人に力があってこそ、成立するもの。しかし、この「バーティカル・キュレーション」は、一つのジャンルがベースになっていて、ここに来るユーザーは、そのジャンルに関して、本当に好きな人たちの集まりであり、また、その内容も身近なものだから、本当のファンになっていく。そのジャンルのキュレーターにとっても新しい「自己実現」の場になり得るものであり、ユーザーが愛着を持ちやすいサービス。」と。だから、成果が出るのである。
このコミュニティとしての強さが、メディアとしての強さであり、ECへ波及する力強いパワーとなる。先ほどの広告事例は、それを垣間見せてくれた。今後、更にサービスが増え、ECとの連携の土台が整ってくれば、大きなメディアとして、EC業界にも、目が離せない存在になると言えよう。
企画・構成 石郷“145”マナブ