中古品ECの「マップカメラ」商品への愛着がつなぐ輪【店長のホンネ】

福島 れい

”不変の価値”をもつ商品を扱う「シュッピン」

 店舗とお客様が対面しないというEC事業の特性上、高価な商品や中古品は購入における心理的ハードルが上がりがちだ。それにも関わらず、1点数十万円以上もする中古品を多数取り扱い業績を伸ばしているEC企業がある。それは、シュッピン株式会社(以下、シュッピン)。

 シュッピンはカメラ専門店「Map Camera」、時計専門店「GMT」、筆記具専門店「KINGDOM NOTE」、ロードバイク専門店「CROWN GEARS」の4つの専門店において新品・中古品を販売している。これらの商材に共通するのは”時代を越えて不変的な価値を持つ”こと。今回は、Map Camera(マップカメラ)営業部 部長 齋藤 仁志さんに商品にかける強いこだわりを伺った。

商品は撮影の道具ではなく、”想いのこもったカメラ”

 カメラという商品の最大の特徴は、高価でありながら比較的買い替えの頻度が高いものであるということだろう。撮りたいもの、撮影者の技術によってカメラは替えていくものなのだ。そんな風にカメラを楽しむ愛好家は全国に大勢おり、大切なカメラを丁寧に使い管理している。

 「私たちが扱っているのは、写真を撮影するただの道具ではなく、想いが詰まった大切なカメラです。」これは、今回の取材で最も印象に残った齋藤さんの言葉だ。Map Cameraで取り扱う商品は、作った人、使った人、これから買う人をはじめ商品に携わる全ての人の想いが込められた貴重なもの、ここに新しい価値を添え、次の持ち主に繋いでいくのがMap Cameraの役割だというのだ。

 Map Cameraが添える新しい価値、それは「安心と安全」だ。まずこだわるのは3度に渡り行われる商品点検。商品はメンテナンスを行った上でコンディションごとにランク分けし、ECサイトに掲載する流れになっている。商品の掲載にあたっては、商品の状態を正確に伝えられるよう、商品1点につきなんと”最大30枚”の写真を掲載 、また、購入時には中古であるにも関わらず新品と同等の最長1年間の保証を提供している。これらは、Map Cameraが取り組む中古品販売は”リサイクル”ではなく”リバリュー”であるというこだわりを象徴するサービスのように思う。

 Map Cameraならではのサービスは他にもある。例えば「見積りSNS」。これは、カメラやレンズ、小物などのセットをユーザーから募るプラットフォームだ。「初心者用セット」や「登山用セット」など様々な組み合わせが提案されることで、他のユーザーが購入のヒントにすることが出来る仕組みだ。また、カメラの実写レポートを配信し使用感を伝える「Kasyapa」をはじめ商品のこだわりを伝えるメディアも多数運営している。

 これらの取り組みの根底にあるのは、何より、Map Cameraの社員、ユーザーがもつ”カメラへの愛着”だ。カメラのことを伝えたい、もっと知りたいという想いがこれらのサービスを作っている。

カメラへの”こだわり”はユーザーも店舗も同じ

カメラへの”こだわり”はユーザーも店舗も同じ

 ユーザーからカメラを買い取るシーンでも安心して取引が出来るよう配慮がされている。Map Cameraは製品ごとに買い取り価格を固定するワンプライス買取を実施している。「あくまで中古品、事前に買い取り価格を決めてしまって大丈夫なんですか?」という記者の不安に、「お客様もカメラが大好きなんです。丁寧に丁寧に手入れされてきたことが感じられる商品がほとんどで、中には新品のようなものもありますよ。」と齋藤さん。

 さらには、下取り交換をするユーザーを対象にまずMap Cameraから購入商品を発送、ユーザーが受け取り満足した上で、下取りに出す商品を送り返し、決済を行うという「先取交換」という独自のサービスも行っている。なんと、商品を先に送ってしまうのだ。こうすることで、ユーザーは大切にしてきたカメラを安心して売ることが出来るし、今まで使ってきたカメラと、新しく購入したカメラの違いも手元で試してみることができる。

 これらのサービスは、中古の商品をECで買う時の不安を安心へと導く役割を果たしているように思う。その背景にあるのは、"カメラが好き”という熱い気持ちつながるMap Cameraとユーザーの信頼関係だ。Map Cameraが提供しているのは、カメラというただの道具ではないのだ。という齋藤さんの言葉は、取材を終えた今、心から納得できる。

 写真文化を愛する人のつながりがインターネットを通じて全国に広がり、カメラ愛好家の楽しみの輪を繋いでいる。その架け橋となっているのがMap Cameraであり、Map Cameraもまたカメラを愛する一員だ。それが人気の理由なのだろう。

 商品にかける想い、これはどの店舗においても強いものがあることと思う。今回は、商品への熱い想いを感じたと共に、ユーザーを巻き込んで商品を大切にし楽しむことが結果としてユーザーの喜びになり、そして事業の成功に結びつくのだと実感する取材だった。



記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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