工場に潜入し見たものは?人気店「フェーヴ」の舞台裏

石郷“145”マナブ

 今回は、動画生放送「Rakuten SUPER LIVE TV」で説明をした、豆のお菓子の店舗「フェーブ」について、「ECのミカタWEB」でも記事にしてみた。

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スイーツで既成概念打破、豆に光を!

 知らなかった。今日は、僕にとっても学生時代を過ごした地元、川崎市を走る南武線、久地駅からほど近いこの場所。見渡す限り長閑な光景からは想像がつかないこの場所に、想いの詰まったパティシエによる工場がある事を、知る人は少ない。

 テレビなどで著名な人気パティシエ辻口博啓氏の「フェーヴ」というお店の工場がここにある。辻口氏は、お菓子を嗜好品の範疇を超えて、自ら考えるスイーツを用いて、楽しい場面を次々と生み出しているが、このフェーヴでもまた、楽しいお菓子を提案してくれた。

 フェーヴは「豆」の意であり、ここのお菓子はすべて豆で作られているのである。彼が着目した理由は、豆が天然素材で栄養があり、人間の体にとって優しいものであるから。同店の商品は、ヘルシーでありながらも、一見すると華やかさに欠ける豆という素材に光を当てて、キュートなスイーツとして素敵な変貌を遂げた。生まれ変わった豆たちは、女性の好奇心を引き、かつ優しく体にそっと寄り添ってくれるのだ。

工場で垣間見る職人魂

 フェーヴとしては、メイン商品は勿論、その名前の通り、豆菓子という部分になるのだが、ちょっと面白いのが、「 Fondant Fromage(フォンダンフロマージュ)」のようなティラミスもある。その商品の幅の広さには驚くところだ。
  
 実は、今回、工場に伺わせてもらった際に、遭遇したのが、まさにこのフォンダンフロマージュだった。まず、北海道の生クリームとマスカルポーネチーズを合わせたムース、そして、フランス産のショコラとマスカルポーネチーズを合わせたクレームショコラ、さらに、ほろ苦い珈琲をたっぷり染み込ませたアーモンドビスキュイの部分からなり、最後の仕上げに、オーガニックココアとキリマンジャロ珈琲をブレンドしたパウダーをまぶした、ファンならずとも垂涎の逸品。

 フォンダンフロマージュの制作現場に足を踏み入れると、スタッフたちは、皆一様に、白いマスクに白いキャップに身を包み、職人さながら、黙々と作っていて、その熱心な姿に圧倒される。きっちり一つ一つの作業工程を丁寧に、順序正しく乱れる事なく行っているのだ。思わず声を潜める。

 現場に来て初めて気がついた事、それは、お菓子とはすごく繊細なものなのだという事。女性パティシエが、ムースの部分を作るべく、軽快にマスカルポーネチーズをぐるぐるとかき回し、泡立てるのだが、そこに、生クリームを入れるのは泡立てたものが、30℃になった時、と決まっている。パティシエ達は工程が次々移る度、温度計を片手に真剣な面持ちで「いや、まだ」「よし、今だ」という具合に、慎重に進めていく。それはどの場面においてもだ。

 聞けば「温度が一度狂うと、硬さや口当たりに変化が生まれるから」という。極端な話をすれば、同じ事をやっているようでも、作成する工場、あるいはスタッフの手のかき混ぜ方等、些細な要因で、味は変わってくるのだという。故に、それをフロー化して、味の均一化を図る。一定、かつハイクオリティで味を保とうとする、その企業努力には頭がさがる思いだ。何気なく僕らが口にするそのケーキには、並々ならぬ思いと、職人魂が込められている事に驚かされた。

お菓子にも、お菓子を食べる時間にも、思いやり

 それでいて、機械に任せる事なく、一人一人が手作業で作っているという現実は、お客様への誠意ととらえた。普段、目にする部分ではないけど、こういう気持ちがお客様の同店に対しての信頼を一層深め、愛着を増す事につながるだろう。一人一人の顔が浮かぶほどに、真心がこもったものなのだ、と工場に来て思った。

 先ほども触れたとおり、豆に関する菓子が充実しており、特に、同店では「カシューナッツとフランボワーズ」という具合に、いろんな種類の豆やナッツを野菜やフルーツのパウダー等と掛け合わせてつめあわせの楽しさを演出している。これは、「本当の幸せは、美味しさだけにあるわけでなく、食べる時のシーンにもある」という考えに基づいている。例えば、お茶会などでそれら「フェーヴ」が、主婦たちの楽しさを彩る、といった風に、スイーツを口にする時の楽しいシーンもきちんと描いて、商品を開発している。

 また、豆のスイーツにする事で、人の体を思いやるそのポリシーも、しっかりユーザーに伝わっていて、最近では特にギフトとしての需要が強くなり、出産の内祝いなどでの利用が増えているという。さすが、フェーヴらしいのは(自社ECサイトに限り)、そこに名前を入れるなどのサービスを行い、人々を祝うあたたかな気持ちに花を添えている。

幸せといつも寄り添うフェーヴ

 そして、フェーヴのネットショップの運営に関わるノア企画 野崎哲さんは最後にこんな話をしてくれた。 「フランスのお菓子「ガレット・デ・ロア」では、パイの中に陶製の小さな人形を忍ばせ、これをフェーヴと呼んでいます。そして切り分けた際にフェーヴを引き当てた人は、幸福が一年間持続すると言われ、これが単なる豆ではなく、幸福を意味するシンボリックな存在になっています。」と。

 続けて、「私たちがフェーヴと名付けたこの店のお菓子もまた、作り手の思いとともに、食べる人のもとに幸福を引き寄せてくれたら、嬉しい限りです」と微笑んだ。

 単純にお菓子を売るだけという姿勢でいれば、これだけのファンはいなかったろう。けれど、この「フェーヴ」は食べる事で、人々の心に「幸せ」を“実らせ”てくれるのだ。素敵なシーンとともに、この「フェーヴ」がある限り、このショップのファンは減る事はないだろう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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