2021年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望
株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、このほど2021年度までのICT(情報通信技術)の主要5市場(デバイス/ネットワーク/プラットフォーム/コンテンツ配信/ソリューション)について、国内と一部世界における動向分析と市場規模の予測を行いました。
ICT・メディア市場は、その多くの市場分野が成熟期あるいは衰退期を迎えています。その一方で、(1)スマートフォン等のスマートデバイスを活用したビジネスの急速な立ち上がり、(2)EC(電子商取引)やインターネット広告、コンテンツ配信市場のさらなる成長、(3)ウェアラブル端末や3Dプリンターの普及、(4)M2M(Machine to Machine)/IoT(Internet of Things)による新たな市場の形成など、新時代に向けた構造変化が起きています。NRIはこれを、ネット(インターネット)とリアル(現実)の境界線がサービスを通じて曖昧化していく「ネット・リアル融合時代」と捉え、東京オリンピック開催後の2021年に向けてどのように変化していくかを分析しました。
主要5市場の特徴的な動向と予測結果は以下のとおりです。各市場で取り上げている市場分野の詳細は、【ご参考】の「各市場・分野の定義と説明」をご覧ください。
【デバイス市場】
デバイスとモノとの連携を用いたサービス提供が本格化し、デバイスはサービスに合わせて多様化していく。
これまでデバイス市場をけん引してきたスマートフォン、タブレット端末は、普及率の上昇、新興国向け販売比率の拡大などにより、市場成長率は鈍化し価格は下落傾向にある。
世界の携帯電話端末(スマートフォンを含む)の販売台数はアジア地域を中心に拡大しており、2014年度の19億8,700万台から2021年度は22億5,000万台へとゆるやかな成長を予測。
タブレット端末の販売台数は、世界では2014年の約2.6億台から2021年には約3.6億台へ、国内では2014年の約1,000万台から2021年は約1,400万台になると予測される。
次世代テレビ、ウェアラブル端末、3Dプリンターは、デバイス市場の大きな成長分野である。
【ネットワーク市場】
成熟期を迎えているが、異業種のサービスとのバンドル(組み合わせ販売)の増加や、MVNOで市場が活性化すると見込まれる。
国内固定ブロードバンド回線の加入件数は、2014年度は約3,370万件、2021年度は3,620万件とわずかに増加する。加入件数の中心となる光回線は、市場の約7割のシェアを保有するNTTが「サービス卸(光ファイバー回線を他企業が自社のサービスとセットで提供できるようになる回線の卸売りサービス)」の提供を開始したことにより、今後、通信事業者に限らず、多種多様なプレーヤーが通信サービスに参入することで、市場全体が活性化することが予測される。
国内携帯電話契約回線数は、IoT市場の増大、タブレット端末や通信モジュールが組み込まれた機器の増加、多様なMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)の登場などにより、2014年度の1億4,998万回線から2021年度には1億6,998万回線に増加する。
【プラットフォーム市場】
スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、B2C EC市場はさらに拡大。オムニチャネル化の推進、スマートペイメントの利用が加速する。
国内B2C EC(企業と消費者間の電子商取引)市場は、2014年度の12.6兆円から2021年度には倍増し、25.6兆円に達する見込み。携帯端末の普及に伴い、時間や場所を問わずにECを利用できるようになったことが市場の成長を後押ししている。
スマートフォンの普及によりアプリからのネット接続が増加することから、インターネット広告ではアプリ内のリワード広告(成功報酬型広告の一種で、訪問者に報酬の一部を還元する仕組みを持つ広告)や、SNSを活用した新たな広告手法が登場する。それらが一定の成功を収めることで、国内インターネット広告市場全体は2014年の8,245億円から2021年度には約1.3兆円に拡大し、同市場でのスマートフォン向け広告の比率は2014年度の34%から2021年度には52%へ増加する。
国内スマートペイメント(企業と消費者間の電子決済手段)市場は2014年度に53.6兆円だが、東京オリンピックに向け環境整備が加速し、2021年度には91.3兆円に達すると予測される。
【コンテンツ配信市場】
スマートフォンの急速な普及により、コンテンツ市場は成熟期から衰退期へ。ユーザー目線で付加価値を創造する、新たな市場を創出することが求められる。
ゲーム市場では、ゲーム人口のさらなる縮小が見込まれるため、ハードウェアの市場規模は、2014年度の1,378億円から2021年度には870億円へ、ソフトウェア市場は2014年度の2,180億円から2021年度には1,562億円へと減少することが予測される。一方、ソーシャルゲームの市場規模は、2014年度の7,969億円から2021年度には9,044億円へと拡大が予測され、今後も市場をけん引していく。
動画配信市場は、携帯電話事業者が自社端末向けに提供するサービスの普及や、2015年9月にサービスを開始した米国の大手動画配信サービス「ネットフリックス」など、月額固定料金で豊富な映像コンテンツを視聴できるサービスの利用が拡大する。これにより、同市場は国内で2014年度の1,346億円から2021年度には2,000億円を超える規模に成長すると予測される。
【ソリューション市場】
情報セキュリティの堅調な伸び、およびM2M/IoTの急激な成長により、ソリューション市場は高い成長性を示す。
データセンター、クラウドは、2021年度まで引き続き堅調に増加。また、増大するサイバー攻撃などの脅威により、情報セキュリティ市場はますます拡大していく。
スマートデバイスによるヒト・モノの情報武装化(IoT)、およびネットワークの高速化とデータ分析技術の発展等により、M2M市場は2014年度の約3,300億円から2021年度には9,000億円を超える規模に達すると予測される。
ICT・メディア市場は、その多くの市場分野が成熟期あるいは衰退期を迎えています。その一方で、(1)スマートフォン等のスマートデバイスを活用したビジネスの急速な立ち上がり、(2)EC(電子商取引)やインターネット広告、コンテンツ配信市場のさらなる成長、(3)ウェアラブル端末や3Dプリンターの普及、(4)M2M(Machine to Machine)/IoT(Internet of Things)による新たな市場の形成など、新時代に向けた構造変化が起きています。NRIはこれを、ネット(インターネット)とリアル(現実)の境界線がサービスを通じて曖昧化していく「ネット・リアル融合時代」と捉え、東京オリンピック開催後の2021年に向けてどのように変化していくかを分析しました。
主要5市場の特徴的な動向と予測結果は以下のとおりです。各市場で取り上げている市場分野の詳細は、【ご参考】の「各市場・分野の定義と説明」をご覧ください。
【デバイス市場】
デバイスとモノとの連携を用いたサービス提供が本格化し、デバイスはサービスに合わせて多様化していく。
これまでデバイス市場をけん引してきたスマートフォン、タブレット端末は、普及率の上昇、新興国向け販売比率の拡大などにより、市場成長率は鈍化し価格は下落傾向にある。
世界の携帯電話端末(スマートフォンを含む)の販売台数はアジア地域を中心に拡大しており、2014年度の19億8,700万台から2021年度は22億5,000万台へとゆるやかな成長を予測。
タブレット端末の販売台数は、世界では2014年の約2.6億台から2021年には約3.6億台へ、国内では2014年の約1,000万台から2021年は約1,400万台になると予測される。
次世代テレビ、ウェアラブル端末、3Dプリンターは、デバイス市場の大きな成長分野である。
【ネットワーク市場】
成熟期を迎えているが、異業種のサービスとのバンドル(組み合わせ販売)の増加や、MVNOで市場が活性化すると見込まれる。
国内固定ブロードバンド回線の加入件数は、2014年度は約3,370万件、2021年度は3,620万件とわずかに増加する。加入件数の中心となる光回線は、市場の約7割のシェアを保有するNTTが「サービス卸(光ファイバー回線を他企業が自社のサービスとセットで提供できるようになる回線の卸売りサービス)」の提供を開始したことにより、今後、通信事業者に限らず、多種多様なプレーヤーが通信サービスに参入することで、市場全体が活性化することが予測される。
国内携帯電話契約回線数は、IoT市場の増大、タブレット端末や通信モジュールが組み込まれた機器の増加、多様なMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)の登場などにより、2014年度の1億4,998万回線から2021年度には1億6,998万回線に増加する。
【プラットフォーム市場】
スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、B2C EC市場はさらに拡大。オムニチャネル化の推進、スマートペイメントの利用が加速する。
国内B2C EC(企業と消費者間の電子商取引)市場は、2014年度の12.6兆円から2021年度には倍増し、25.6兆円に達する見込み。携帯端末の普及に伴い、時間や場所を問わずにECを利用できるようになったことが市場の成長を後押ししている。
スマートフォンの普及によりアプリからのネット接続が増加することから、インターネット広告ではアプリ内のリワード広告(成功報酬型広告の一種で、訪問者に報酬の一部を還元する仕組みを持つ広告)や、SNSを活用した新たな広告手法が登場する。それらが一定の成功を収めることで、国内インターネット広告市場全体は2014年の8,245億円から2021年度には約1.3兆円に拡大し、同市場でのスマートフォン向け広告の比率は2014年度の34%から2021年度には52%へ増加する。
国内スマートペイメント(企業と消費者間の電子決済手段)市場は2014年度に53.6兆円だが、東京オリンピックに向け環境整備が加速し、2021年度には91.3兆円に達すると予測される。
【コンテンツ配信市場】
スマートフォンの急速な普及により、コンテンツ市場は成熟期から衰退期へ。ユーザー目線で付加価値を創造する、新たな市場を創出することが求められる。
ゲーム市場では、ゲーム人口のさらなる縮小が見込まれるため、ハードウェアの市場規模は、2014年度の1,378億円から2021年度には870億円へ、ソフトウェア市場は2014年度の2,180億円から2021年度には1,562億円へと減少することが予測される。一方、ソーシャルゲームの市場規模は、2014年度の7,969億円から2021年度には9,044億円へと拡大が予測され、今後も市場をけん引していく。
動画配信市場は、携帯電話事業者が自社端末向けに提供するサービスの普及や、2015年9月にサービスを開始した米国の大手動画配信サービス「ネットフリックス」など、月額固定料金で豊富な映像コンテンツを視聴できるサービスの利用が拡大する。これにより、同市場は国内で2014年度の1,346億円から2021年度には2,000億円を超える規模に成長すると予測される。
【ソリューション市場】
情報セキュリティの堅調な伸び、およびM2M/IoTの急激な成長により、ソリューション市場は高い成長性を示す。
データセンター、クラウドは、2021年度まで引き続き堅調に増加。また、増大するサイバー攻撃などの脅威により、情報セキュリティ市場はますます拡大していく。
スマートデバイスによるヒト・モノの情報武装化(IoT)、およびネットワークの高速化とデータ分析技術の発展等により、M2M市場は2014年度の約3,300億円から2021年度には9,000億円を超える規模に達すると予測される。