【第2回】♠欲しい!をもたらす表現マジック〜動画がECに効く3つの理由とは?〜
ゲーム産業という異業種からやってきた、EC業界の「新参者」がお届けする、ボーイ・ミーツ・ガール風コラム。ゲーム業界で培った最先端技術で、EC業界に新風を巻き起こします。
消費者のみなさんに「欲しい!」と思ってもらえるための、まるでマジックのような表現や手法を、実際のユースケースや豊富なデモとともにご紹介。
FLASHが動かない!
全画面でしか動画を再生できない!
複数動画の同時再生や自動再生もできない!
そんな「ないものだらけ」の、まるで牢獄のような「スマホ動画」の世界を、ミドルウェア技術のチカラで解放します。
マジックは、タネ明かしよりもパフォーマンスのほうが好き!という方にはピッタリなコラムです。毎号、カップヌードルの待ち時間くらいで読めるボリュームでお届けします!
CRI・ミドルウェア
エヴァンジェリスト
幅朝徳
【第1回】〜ゲーム産業からこんにちは!〜
https://www.ecnomikata.com/column/11973/
ECに動画、活用してますか?
全世界のインターネットトラフィックの7割以上は「動画」が占めています。
PCで動画を視聴している人は横ばいですが、スマホで動画を視聴している人は7年間で5倍と爆発的に増加しており、すでに動画視聴全体の50%以上になっています(*1)。
日本の全人口のうち8割以上がスマホで動画視聴を経験済みで、うち1/4は毎日動画を視聴しているそうです(*2)。
こんな数字からも、インターネットにおける
・「動画」シフト
・「スマホ」シフト
の2大トレンドがハッキリと見て取れると思います。
ここで、突然ですが、質問です。
下記に、スマホ向けECサイトのサンプルを、2種類用意しました。
お手持ちのスマホでQRコード先のページにアクセスしてみて、それぞれの違いを感じてください。
【その1】動きのない商品一覧ページ
http://liveact.cri-mw.jp/demo/comparison/ec_apparel_list_static/
↑スマホでご覧の方はココをクリック↑
まずは、上記のQRコードをスマホで読み込んでアクセスしてみてください。(すでにこの記事をスマホでご覧の方は、そのまま上記のURLをクリック)
ご覧頂けましたか?
よくある通常のECサイトのように、静止画イメージの並んだページをご覧頂けるのではないかと思います。
それでは、このページの印象を記憶していただいたうえで、次に、下記のQRコードをスマホで読み込んでアクセスしてみてください。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
【その2】動きのある商品一覧ページ
http://liveact.cri-mw.jp/demo/use_case/ec_apparel_list/
↑スマホでご覧の方はココをクリック↑
どうですか?
印象がガラっと変わりませんか?
違いは明白ですよね!?
従来のように「静止画が並んでいるだけ」のページよりも、それぞれの製品画像が「動画」として動くことで、まるで命を吹き込まれたかのように血の通った表現へと変化します。
あくまでサンプルなので、すべての画像を動画として動かしていますが、実際のECサイトでは、注目商品やセール商品など、お客様の注目を集めたい商材に絞って「動画」を使うのが効果的かもしれません。
たくさんの画像が「動画」として動き出す、これだけでも相当のインパクトをECサイトにもたらすことができますが、今回のサンプルにはもう1つ、重要なポイントがあります。
それは「動画の自動再生」です。
スマホ動画といえば、ユーザが「再生ボタン」をタップしないと再生開始になりませんが、これでは再生回数は伸びません。
お客様はそれほど能動的な行動をしてくれませんから(TV視聴だった同じですよね!)ページを表示すると同時に、動画が勝手に(=自動的に)再生されることがとても重要なのです。
せっかく作った「動画」の効果を最大限に発揮するためにも、「自動再生」はとても大事なポイントです。
実現する手法はいくつかありますが、まず思いつくのが、アニメーションGIFを利用する方法です。
では、次のページに進んで、実際にアニメーションGIFでECページを作るとどんな感じになるか観てみましょう!
【比較】アニメーションGIFによる商品一覧ページ
http://liveact.cri-mw.jp/demo/comparison/ec_apparel_list_gif_animation/
↑スマホでご覧の方はココをクリック↑
…いかがでしょうか?
先ほどのページとの違いに、ひょっとしたら気付かれた方もいらっしゃるかもしれません。
実は、アニメーションGIFを使用する場合、課題となる点が2つあります。それは、
<課題1> 色数が256色しか使えない
<課題2> 動画のデータサイズが肥大化してしまう
という2つです。
アニメーションGIFという技術規格そのものが、開発されてからかなりの年月が経過しており、やはり古い技術ゆえの制約がつきまといます。
たった256色で再現された動画は、自社の製品の魅力をアピールするにはちょっと厳しいケースもあるかもしれません。
そしてなにより、データサイズの肥大化は、そのままお客様の通信費負担やページそのものの表示速度に影響してしまいます。
なお、上記サンプルページでは、データサイズが大きくなりすぎるため(読者のみなさんのパケット代も考慮しまして…)、あえて、全8枚のうち冒頭の2枚だけをアニメーションGIFとして表示しています。
また、すべての画像をアニメーションGIFにすると、なんと1ページだけで約31MB超え!という、途方もなく重いWebサイトになってしまいます。SEO的にもNGです。
いくら通信速度が速くなったとはいえ、少々配慮に欠けるサイトと言わざるを得ません。
このように、「動画」を自社のECサイトに活用する場合は、その「効果」ばかりに注目するのではなく、ファイルサイズやページ表示速度といった「快適性」や「ユーザビリティ」にも配慮することが大事です。
アニメーションGIFを使用する場合は、動画の数や動画の長さを抑えることで、ファイルサイズを小さくすることができます。でも、やはり工夫にも限界がありますし、せっかく動画を積極的に使いたいのに、思う存分使えないというのもモッタイナイ話です。
そこで、
・より多くの動画を使いたいし、ファイルサイズも最小に抑えたい
・256色の制約なく、フルカラー使った美麗な動画を再生したい
・自動再生と、ユーザタップによる任意再生を組み合わせたい
そういう場合は、アニメーションGIFではなく、他のフォーマットを選択するのも手です。
ちなみに、ひとつ前のページでご紹介した、8つの全ての画像が「動画」でグリグリと動くページは、当社独自の動画フォーマットである「LiveAct® PRO」を使って作りました。
フルカラー使用可能で(GIFのような256色の制約がない)しかも圧縮率が高いので、ページ全体のファイルサイズは、アニメーションGIFの場合にくらべて10分の1以上に削減できます。
いかがでしょうか?
ECサイトで「動画」が「自動再生」されるだけで、ずいぶんお客様に与える印象が変わることを、ご体感頂けたのではないかと思います。
次のページでは、いよいよ「動画がECに効く3つの理由」をご紹介!
さて、いよいよここからは、「動画」がECに効く3つの理由をご紹介します!
インターネットコンテンツとしてすっかり一般的になった「動画」ですが、まだまだECの世界では積極的に活用されている段階とはいえません。
いいかえれば、どこよりもはやく「動画」を自社のECサイトに活用することで、まだまだ日本では先行者受益を大いに得られるということでもあります!
でも、いままでにやったことのないことを試したり、自社のシステム等に導入するのは、それなりに勇気が必要なことだと思います。上司や経営層を説得しなきゃ・・・なんて悩みもきっとあるでしょう(苦笑)。
そんなときに、今回の記事がお役にたてれば、とても嬉しく思います。
【動画がECに効く理由】
その1「圧倒的な情報量をコンパクトに!」
顧客視点では、何かモノをECサイトで買うときには、なるべく失敗しないように口コミやレビューを徹底的に調べたりする方もいるかもしれません。でも、そういう方は少数で、多くの方は「商品画像」を検討材料としてもっとも参考にされると思います。
EC事業を営まれている方の多くは、日々「返品率」に悩まれているのではないかとご拝察します。
返品にはさまざまな原因があるでしょうが、やはり大部分を占めるのは、お客様の「こんなはずじゃなかった/思っていたモノと違う」なのではないでしょうか?
当たり前のことですが、購入前にお客様が正しく商品知識を得ることで、返品率は下げることができます。
でも、商品画像って、たくさん掲載すれば良いってものではないですよね?
膨大な画像があっても、今度はそれを「効率的に見せる」手法や、UIの悩みが発生します。画面サイズの限られたスマホの場合、さらに深刻。膨大な数の商品画像のために延々と画面をスクロールさせたりスワイプさせるのは、もちろん得策ではありません。
そこで、「動画」の出番です。
たくさんの画像を載せるよりも、たった1つの動画を掲載するほうが、商品の理解は深まります。効果的に活用することで、返品率の改善にも必ず繋がることでしょう。
私の古巣でもある「ゲーム業界」でも、実は同じ歴史をたどっています。はじめはテキストと静止画だけのゲームから、表現できる色数も増え、動画とCGが融合し、リアルタイム3D化が進み、今では実写と見紛うようなフォトリアルな世界観のゲームが主流になっています。
ECの世界でも「動画」は過渡期のひとつの表現に過ぎず、VRやARの進化により、そのうち自宅にいながらにして実際の商品を「手に取れ」たり「試着」したりできる時代になるかもしれませんね!
ちなみに、私がコンサルを担当したEC案件では、お客様と一緒に、このようなデモを作ってみました。動画の新たな可能性を感じて頂けるかと思いますので、ぜひ!
【デモ】いつもの商品画像に140倍の情報量を(動画技術の応用例)
http://liveact.cri-mw.jp/demo/use_case/rotate360/
↑スマホでご覧の方はココをクリック↑
【動画がECに効く理由】
その2「先行者受益を勝ち取ろう!」
繰り返しになりますが、ECに「動画」を積極活用している事例はまだ少ないです。ですが、広告業界や教育業界などをはじめ、「動画」を積極的に取り込んでいこうというムーブメントは確実に動き始めています。
だからこそ、EC領域で動画を今から活用しておけば、競合競争力を持つことができます。ポイントは、動画の利活用がお客様にとってもメリットがあるという点です。商品理解を促してくれるECサイトにはエンドユーザからの評価も集まりますし、リピーターの醸成にも繋がります。
モール系との比較において、自社ECやオウンドメディアの最大の差別化は、コンテンツ力のはず。「動画」を活用したコンテンツは、間違いなく自社ECのキラーコンテンツとなります。
また、他社よりもいち早く「動画」コンテンツに着手することで、動画を活用したマーケティングのノウハウだけでなく、その制作やクリエイティブに関する知見も蓄積されていきます。
今ならまだ間に合います。ぜひ、先行者受益を勝ち取るべく、「動画」にチャレンジしてみましょう!
【動画がECに効く理由】
その3「キュレーションアプローチを手軽に実現!」
人がモノを買うのは、そのモノが欲しいからです。でも、欲しい人にだけ売っていては事業の拡大は見込めません。「欲しい!」とすでに思っている人を取りこぼさずに受け止めるECサイトづくりは当然ながら必要不可欠ですが、それ以上に「その気にさせる」ECサイトづくりが重要です。
「メディアコマース」とか「ストーリーマーケティング」とか「ナラティブアプローチ」とか、いろいろな呼び方がありますが、要するに、お客様に対して何らかの「ものがたり(物語)」を体験していただきながら、結果的に自社商材を購入していただく、そんな手法が近年注目を集めています。
この手法と非常に相性が良いのが「動画」です。
映画やドラマ等でも「プロダクトプレイスメント」という手法により、主人公が使っている商品や特定のシーンに登場する商材がヒット商品になったりします。広告枠として予め仕組まれているものもあれば、監督や制作スタッフが好きだった、という理由だけのばあいもあったりします(笑)。
インターネットでは、数年前から「キュレーション」が浸透しつつあります。分かりやすい例は、SmartNews や Gunosy 、NewsPicks といったニュースキュレーションサービスや、NAVERまとめ 等のまとめサイトです。
ECにおいては、このキュレーションを導入することで、プロダクトアウト的なアプローチから、マーケットイン的なアプローチに切り替えていくことができます。
どんなときに、どんなふうに使う商品なのか、また、使うとどんなメリットがあるのか。一人称で語られる体験談は、お客様と商品との距離感をグッと縮めてくれます。(もちろん、その商品やキュレータとお客様との間に一定の共感や共鳴があってのことですが。)
製品紹介のために「動画」を使うだけでなく、こうしたキュレーション的アプローチを使うことで、1動画✕1商材ではなく、1動画✕多商材のコンテンツも実現可能になります。
モノを売ることから体験を売ることへのパラダイムシフト、まさに「モノからコトへ」の変化を具体的な形で表現できるのが、「動画」なのです。
こうしたアプローチを積極的に導入しているのが、前回もご紹介した【STORICO】というECサイトです。
【STORICO】by Shop Japan
https://www.storico.jp/
…いかがですか?
「動画に挑戦してみようかな?」
そんな風に思っていただけたなら幸いです。
実際に「動画」をECに取り入れていこうとしたときに、おそらくみなさんが、次に課題として直面するのが、
・企画制作&クリエイティブをどうするか?
・効果測定やPDCAをどうするか?
・スマホ動画への対応をどうするか?
といった点です。
でもご心配なく!
こうした課題の解決方法についても、当コラムでご紹介していきます。
Stay Tuned…
それでは次号【第3回】のコラムでお会いしましょう。
みなさんのビジネスが、ドラマティックでマジカルなものになりますように!
[脚注一覧]
(*1) Internet Trends 2016 by KPCB 調べ
(*2) 博報堂DYグループスマートデバイス・ビジネスセンター独自調査