【第3回】ユーザーテスト実施前に確認すべき3つのポイント 〜初めてのユーザーテスト〜
社内で練りに練って作り上げたネットショップのインターフェース。サービスを何も知らない人に実際に操作してもらったところ、目も当てられない結果が…。
サービスを知ってしまっている人間には到底想像が付かないコトがあると気付かせてくれた調査手法、ユーザーテスト。全5回でその価値や簡単に初められる実践方法をお届けしてまいります。
【第1回】ユーザーにしか分からないコトを発見しよう 〜初めてのユーザーテスト〜
https://ecnomikata.com/column/13489/
【第2回】リモートユーザーテストをオススメする2つの理由 〜初めてのユーザーテスト〜
https://ecnomikata.com/column/13490/
より効果的なユーザーテストを実施するために
ユーザーテストの実施前には、サイトの目的や存在意義を整理しましょう。
「え、難しい…」と思われるかもしれませんが、難しいレベルで整理する必要はありません。
私がユーザーテストを行う際、下記の『ユーザビリティ』の定義(ISO 9241-11)を参考にしています。
特定の利用状況において、
特定のユーザによって、
ある製品が、
指定された目標を達成するために用いられる際の、
有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い
この中の3つの要素に対して、下記を参考にシンプルに整理して頂ければ十分です。
ポイント1 特定の利用状況
『特定の利用状況』とは、例えば帰宅途中の電車の中で短時間でとか、自宅のソファで落ち着いてとか、そういったウェブサイトに触れているユーザーの状況です。
これは、主にユーザーテストをPCで実施してもらうか、スマホで実施してもらうかを決めるための要因となります。
ポイント2 特定のユーザ
『特定のユーザ』とは、腰痛持ちのデスクワーカーとか、バレンタインのお返しに悩む20代男性、といったターゲットのようなものです。
極端に言えば、男性なら誰でも良いやと考えて被験者を募集し、腰痛解消グッズの調査を依頼したら「いや悩んでないし…」となり調査が無駄になってしまうことを防ぐために必要です。
ポイント3 指定された目標
『指定された目標』とは、腰痛持ちだから解消するグッズを買いたいとか、家のお米がなくなり追加購入したいとか、ハワイ旅行へ行きたいがリゾート旅行用のアイテムが無いため買う必要があるとか、そういった達成すべきゴールのことです。
『ユーザ』と『目標』が思い浮かべば大丈夫
ユーザーテストは、自サイトのターゲットに近い方(特定のユーザ)に対し、ある状況設定を仮で設定(指定された目標)して、スマホなりPCなりのデバイスを指定(特定の利用状況)して実施します。
単に「このサイトどう?」と質問しても、色合いがどう、文字サイズがどう、表示が遅いなど、表面的な課題しか指摘されなくなってしまいます(もちろんそれが大事な場合もあります)。
ポイント2とポイント3が思い浮かんだら、デバイスを決めてテストを実施するだけです。デバイスは、現状のサイトのアクセス比率を見て決める事が多いです。ただし、モバイルが多いとしてもシニアの方に快適に利用していただきたいといった意向があれば、PCで調査したりします。
具体例
仮の生鮮食品のネットショップが近場への即時宅配サービスを開始したとを想定して、具体例を考えてみました。
・特定の利用状況 … 夕飯のレシピや食材をスマートフォンで探している
・特定のユーザ … 新鮮な野菜やフルーツが手に入れにくく悩む東京在住の人
・指定された目的 … 今日の夕飯に使う新鮮で安全な野菜やフルーツを今すぐ手に入れたい
こんな感じです。
商材が幅広い場合はこのように1パターンに収まらないかもしれませんが、まずは既に課題を感じていたり、優先して改善したいところに絞ってまとめてみると良いと思います。
次回は、ようやくリモートユーザーテストを実践する方法についてお届けします。