CRMが顧客管理であるという捉え方ってイマドキ古い?!

加來 幹久

~既存顧客アプローチの重要性~

ネットショップの運営において売上を作っているのは、広告などを通じて集客された、いわゆる『イチゲンさん』と一度は商品を買ってもらっていて、誕生日などの個人データが分かっている『常連さん』です。つまり、当然ながら新規顧客と既存顧客という構成で売上は成り立っています。

事業計画に基づいて売上を上げる一般的な施策は、広告出稿を通じた新規顧客獲得の動きでしょう。しかし、広告経由で集客されたユーザーは自社オンラインショップのユーザーIDと紐づいてない状態で集客されるので、「新規のユーザー」か「既存のユーザー」なのかなかなか分からないのです。

多くの企業様を支援していく中で、新規・既存の比率を調べてみると広告で獲得したユーザーは平均で、新規顧客30%既存顧客70%で構成されていることが分かってきました。しかも、去年買ってくれたアクティブ顧客のうち50%~80%は、次の年にリピートされない状況が生まれています。つまり「新規獲得に投資しているつもりで既存顧客獲得していた。」という実態が生まれていて、さらに既存顧客へのフォローが重要視されていないため、既存顧客流失による機会損失が生まれている状況です。

既存顧客へのアプローチはサイト全体の売上アップに非常に効果的です。売上を伸ばしているEC事業者様は新規集客にかかる費用を増やすことなく、既存顧客対策によって成果を出しています。しかしながら既存顧客へのアプローチには以下のようないくつかの課題があると感じています。

①そもそもCRM=顧客管理という概念が強いため、売上の事業計画と直接リンクさせることが出来ないことからCRM戦略を予算化しにくく施策実行に至らない。

②施策実行に至ってもターゲットセグメントや施策パターンを細かくすればするほど運用の実現性が低いため推進されづらい。

③さらにどの施策がどの効果につながったのかなど成果を正確に計る手段がないためKPIが設定しづらく、費用対効果を図ることが出来ない。

以上のことより、既存顧客のアプローチが売上アップに直結するにも関わらず、なかなか顧客維持育成がスムーズに仕組み化されていかないのです。EC事業における企業のCRMの考え方や、既存顧客への戦略を大きく見直すべきタイミングではないかと日々強く感じています。


著者

加來 幹久 (Motohisa Kaku )

栃木県生まれ
商社で半導体製品の輸出入。商社で半導体製品の輸出入。アメリカ・アジアを担当。

WEB制作会社へ役員として転職の後、2003年4月に起業。WEBマーケティングを軸としたWEB制作を事業とする。
2004年12月12日、デジミホ設立。リスティング広告ROI最大化分析・コンサルサービスを開始。
2010年、オプトと業務資本提携。2013年、売上直結型CRMツール「R∞(アールエイト)」リリース。

http://www.digimiho.co.jp/