規制強化で求められる安心安全なアフィリエイト広告とは

ECのミカタ編集部

バリューコマース株式会社
アフィリエイト本部長
角田 悠
Yu Tsunoda

登場して20年になるアフィリエイト広告。「アフィリエイター」が配信する成果報酬型の広告という独自性のもとで市場拡大が続いている。一方、誇大虚偽広告に対しては官民連携のさまざまな取り組みが行われている。安全安心なアフィリエイト実現に向けた動きについて、国内最大級のASPであるバリューコマース株式会社の角田氏に話を聞いた。

成果報酬とアフィリエイター という独自性

スマートフォンが普及し、SNSなどのプラットフォームが多様化したことにより、インターネット広告の市場は拡大を続けてきた。サービスが登場して20年ほどにもなるアフィリエイト広告も、市場規模の拡大が続いている。アフィリエイト広告は、成果に応じて報酬が得られる形の広告手段で、成果に合わせた金額を支払う仕組みだ。そのため、インターネット広告のなかでは、広告主が支払う初期費用が少なく済む。また、広告を配信するアフィリエイターは、成果報酬を得るために、さまざまな工夫をすることになる。広告主が思いつかないような新しいアイデアや消費者目線でのコンテンツが提供されるため、効率的な需要喚起も期待できる。

「アフィリエイト広告は、消費者の購買における情報探索の文脈に沿った、適切なコンテンツに広告を掲載することができます。そのためコンバージョンを増やしたいというときには、非常に効率的な方法です。」

バリューコマース株式会社では、コマース事業者へ集客を軸とするソリューションを提供するマーケティングソリューションズ事業と、販売促進を軸とするソリューションを提供するECソリューションズ事業を行っている。マーケティングソリューションズ事業のなかでもアフィリエイトは、1999年に日本で初めてサービスを開始。現在、国内最大級のサービスにまで成長している。

アフィリエイト広告が掲載されるメディアの多様化も進んでいる。かつては、個人が運営するブログでのバナー掲載が一般的だった。だが現在では、上場企業が運営するメディアやニュースサイトにも掲載されており、SNS上でのコンテンツ配信も可能となっている。

規制強化による健全化が進む アフィリエイト広告

一方で、アフィリエイト広告をはじめとするインターネット広告には、課題もある。その一つが虚偽・誇大広告だ。消費者を騙すような不当表示など、悪質なものも散見されてきた。とくにアフィリエイト広告においては、アフィリエイターが表示物を作成・掲載するという特性上、広告主による表示物の管理が行き届きにくい。また、成果報酬を求めて、虚偽・誇大広告を行うインセンティブが働きやすいため、悪質な広告の配信が発生しやすいことが問題とされてきた。

こうした悪質な広告に対して、国もさまざまな規制強化を行っている。2021年夏には薬機法が改正。虚偽・誇大広告の流布については、「何人も」対象とするように定めており、広告主だけでなく媒体先やアフィリエイターも規制の対象とした。また消費者庁は、悪質なアフィリエイト広告に対する規制に向けた有識者会議を実施。アフィリエイト広告に関する実態調査も行う予定だ。さらに、2022年1月公表の報告書では、景品表示法上、広告主が責任主体であるということの周知徹底、悪質な事業者への法施行強化、不当表示の未然防止などが謳われている。

「アフィリエイト広告においては、一部の悪質な業者が存在し、収益だけを追い求めるような事例があるのも事実です。今回の規制強化を前向きに捉えて、厳格な対応を推し進めていきたいと考えています。我々のようなASPが中心となって広告主やメディアを巻き込みながら、健全な環境の整備に努めたいです。」

同社は、従前より悪質な広告への規制強化の取り組みを続けてきた。例えば、薬機法のコンテンツについては、これまで人の目で行っていた審査に加え機械的に自動検知できるシステムを導入。品質の向上と審査範囲の拡大を果たした。また景表法・特定商取引法・薬機法・医療法を遵守する事業者向けの認定資格を取得。社員向けの教育としても、外部講師による研修や規約・法律に関する最新情報のインプットにより社内レベルの底上げを図っている。

安全安心なアフィリエイトの実現に向けて

安全安心なアフィリエイトの実現に向けて

同社は、国による規制強化の以前から、安全安心なアフィリエイト広告の実現のためにさまざま取り組み、業界の健全化のために努めてきた。

「eコマース市場が拡大されることに併せ、今後もインターネット広告に関する法改正が度々行われる見通しです。新聞のニュースや、消費者庁、厚生労働省のサイトをチェックし、法令遵守した広告を作成するようにしてください。」

また同社は、良質な送客の提供にも力を入れている。一つには、トラッキング環境の整備がある。

「近年サードパーティーCookieへの利用が制限されるなか、トラッキングを集計するための複数のソリューションを取り入れて、より正確なマーケティング結果の提供を実現しています。」
さらに集客力のある良質なメディアコンテンツの開拓とサポートのために、2021年から営業力を強化している。

「コンバージョンの最大化に向けて、利用者の増えているInstagramやYouTubeといったアプリケーションプラットフォームからの送客も行えるよう、プロダクトのアップデートも実施しています。」

環境の変化に応え続ける 国内最大級のASP

「現状では、アフィリエイト広告の悪質なところがクローズアップされがちです。しかしさまざまな規制強化により、悪質な事業者が排除される仕組みができ、中長期的に見たときに、アフィリエイトがクリーンな広告配信ができる業界になることを信じています。そうしたなかで、弊社としては安全安心なアフィリエイト広告の徹底、集客・接客サービスを複数提供しています。これからも広告配信に真摯に向き合い、健全な環境を実現したいです。」

スマートフォンやSNSなどのプラットフォームが社会に浸透し活用されるなかで、事業者と消費者がつながるチャネルの多様化も進んできた。成果報酬型でアフィリエイターによる効率的な需要喚起ができるアフィリエイト広告は、現在でも需要の高い配信手段だ。

しかし、今アフィリエイト広告は、さまざまな規制強化により過渡期を迎えている。EC事業者には、安全安心に向けた動きへ積極的に対応しているプラットフォーマーを選択することが求められる。

ECのミカタ通信vol.23 ~変化を遂げたEC市場!今後の”あるべき姿”とは~

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