【韓国越境EC事情】”サイズ革新”で急成長を遂げた女性ファッション通販「ホットピング」
韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せており、現地向けカスタムサービスを利用し、日本ユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム企業「cafe24」を通じて、越境ECに取り組むヒットショップとその理由について、ご紹介します。今回は、”サイズ革命”で注目を集めている女性ファッション通販「HOTPING(以下、ホットピング:http://hotping.jp/)」を取材しました。
トレンディで様々なサイズの衣類で人気
女性ファッション通販「ホットピング」は、2013年の起業当初から市場分析に基づいた徹底した差別化戦略を通じて、韓国を代表するネットショップへと成長しました。同社は、流行やトレンドが早い韓国国内で、多様な商品を紹介するとともに、サイズ革新やリーズナブルな価格で、ファッション業界で注目を集めています。
ホットピングの代表キム·ヨジン氏は、起業初期、女性アパレル市場を分析したところ、従来の大きいサイズの女性服は、体型カバーだけに集中しており、デザイン性が重視されていないことに気が付いたといいます。これを皮切りに、女性が好むトレンディな洋服を、多様なサイズ(S~2XLサイズ)展開で内製化することに取り組みました。
「”サイズ革新”に挑むため、システムを内製化し、品質や価格競争力を高めることができました。このような差別化戦略が功を奏し、10代から40代顧客まで対象顧客層の拡大できました。」とキム代表は、話しています。
またホットピングは、韓国国内にとどまらず海外市場に向けても積極的に取り組んでいます。2015年に日本語、英語、中国語(繁体、簡体)向け越境ECサイトを開設して以降、海外ユーザーからの購入が続いています。2016年には、日本向けECサイトを通じて、年商約26億ウォン(約2億6千万円)を達成するなど、日本市場においても注目を集める韓国ファッション通販として成長を遂げています。
現地向けECサイト運営戦略、2017年の売上5億円達成を目指す
日本市場での人気を集めた要因としては、韓国ファッションを好む若者層のニーズが増えたことや、韓国EC市場で積み上げた運営ノウハウを活かした越境EC運営戦略が顧客満足度を高めたことにあると分析しています。
ホットピングの日本語サイトの人気アイテムや購入ユーザー特性は韓国語サイトとほとんど変わりません。しかし、運営方式に限っては、日本市場ならではの特性を反映した現地向け戦略に基づいた取り組みをしています。具体的には、商品詳細や利用規約を日本語で提供するほか、日本ユーザーのクレジットカード使用率が高くないことを踏まえ、口座振込みやコンビニ決済など、日本向の決済システムを構築しています。また、迅速な発送のためEMSを利用しています。
キム代表は日本向け越境EC戦略について、「商品競争力を確保しつつ、ユーザーに馴染みの深い決済システムの構築、企業SNSアカウントの活用、迅速な配送などが主な現地向け運営戦略だと言えるでしょう。また、商品の特徴や機能を伝える動画や写真なども日本ユーザーに楽しみを提供する要素となっていると考えています。」と述べています。
またホットピングの人気の秘訣として、多くの顧客の参加や関心を集められるイベントやコミュニケーションを行っていることが挙げられます。例えば、Instagramアカウントを運営し、顧客とのコミュニケーションに力を入れています。 Instagramの新機能「インスタライブ」を導入するなど、トレンドにいち早く対応することを目指しています。さらにカテゴリー割引、送料無料イベントを実施するほか、ファッション好きの自撮りモデルを募集するなど顧客参加型イベントの企画を通じて、ユーザーから支持を得ています。
キム代表は「日本からのモバイルアクセスが徐々に高まっていることを受け、今年は日本市場で年商50億ウォン(約5億円)を目指しています。海外ユーザーに向けても、単なるファッション通販ではなく、顧客との繋がりを重んじ、大切な思い出が作れるファッションブランドを目指してまいります。」と今後の抱負について話しています。
総評
ホットピングは、トレンドを反映した迅速な商品紹介と多様な商品サイズを提供することで、10代から40代まで幅広いリピーターを獲得したネットショップです。また、商品競争力や価格競争力を備え、日本市場に進出して2年で、約26億ウォン(約2億6千万円)の年商を達成する成長を遂げています。日本をはじめ、中国、台湾、英語圏などグローバル市場に向けた積極的な取り組みも期待される企業です。