もはやECの常識!?「WEB接客」が市場規模拡大中の理由
皆さん、初めまして!テモナ株式会社の金城と申します。当社は、2013年から「WEB接客」という分野で、EC事業者様に支援を行ってきました。市場規模が急速に拡大しているWEB接客ですが、そもそも言葉の意味をご存知でしょうか?
【第1回】WEB接客とは何か?
WEB接客とは、その名の通り、インターネットのサイト上で接客をすることを言います。まずはわかりやすく理解するために、以下のシチュエーションを思い浮かべてみてください。
あなたはセレクトショップの販売員さんです。お客様が洋服を選んでいます。かなりお悩みのようです。このお客様に、どんな声をかけますか?
「自由にご試着いただけますので、気軽に仰ってくださいね。」
「ありがとう。じゃあこれにしようかしら。」
「ありがとうございます。試着室までお持ちします。」
このように話が進んだらとてもスムーズですよね。お客様にとっては自分に似合う服を選びやすくなりますし、お店にとってもレジまで商品を運んでもらいやすくなります。似合うかどうか悩んでいるお客様の心理に合わせて、最適な接客をしています。
別のお客様がいらっしゃいました。毎週、お店に足を運んでくれる常連のお客様です。この方は、お店のFacebookにもいいね!を押してくれるほどのファンの方。どんな声をかけますか?
「○○さん、いらっしゃいませ!先日はご購入いただき、ありがとうございました!」
「どうも。この前買ったシャツに合いそうな帽子を選びに来たんだよね。」
「それでしたら、こちらの帽子はいかがですか?●●の新作なのですが...」
こちらも、”以前購入してもらった”という情報を把握した上で、お礼と別商品のオススメをしています。これぞ接客です。
では、ECのシチュエーションに変えて考えましょう。あなたのセレクトショップでは、ECサイトも運営しています。お客様がサイトにアクセスし、色んなページを見て回っています。
「...。」
「...。」
「...。」
普通に考えると、ECで実店舗と同じ接客はできませんよね。当然インターネット上で、試着はできません。しかし、ページに滞在してから数秒後、右下にこんなポップアップが表示されたらどうでしょう?
『お困りですか?不明点がございましたら、03-0000-0000まで気軽にお電話ください。』
もしお客様がサイズ感で迷っていたならば、電話をかけてもらうことで、正しいサイズを案内できます。サイズを確認した後、お客様は安心して購入してくれるかもしれません。またお客様がスマホの扱いに慣れていない高齢者の方であれば、電話をかけてもらうことで、口頭で注文を承ることができるかもしれません。
このように、訪問者の情報から心理を汲み取り、訪問者ごとにサイト上の対応を変える技術を「WEB接客」と呼びます。訪問者の情報は、「何回サイトに訪問してくれたか?」「何個商品を買ってくれたか?」「どんな商品を買ってくれたか?」など様々です。
WEB接客をする”理由”
接客が手厚いお店と、一切接客をしないお店を比べた時に、どちらのお店の売上が高いかと聞かれれば、大多数の方が前者と答えるでしょう。当たり前だと思うかもしれませんが、改めて理由を考えると、なぜ接客で売上が上がると言えるのでしょうか?
そもそも売上は、下記の計算式によって表すことができます。
●売上 = 購入者数 × 購入単価 × 購入回数
そして購入者数は、下記の計算式によって表せます。
●購入者数 = 訪問者数 × コンバージョン率
つまり売上を上げるには、
購入者数を増やすか(=たくさんの人に買ってもらう)、
購入単価を上げるか(=たくさんの商品を買ってもらう・より高い商品を買ってもらう)、
購入回数を増やす(=たくさんリピートしてもらう)
ようにすれば良いのです。
また、購入者数を増やすには、
訪問者数を増やすか(=たくさんの人にお店に来てもらう)、
コンバージョン率を上げる(=買ってもらいやすくなる)
ようにすれば良いのです。
この具体的なテクニックが接客です。もちろん接客をする理由を聞かれて、「売上を上げるため」と答える方はいないでしょう。しかし、先ほど例に挙げた試着の案内は、お客様に買ってもらいやすくなるようにしています。すなわち、コンバージョン率を上げる接客です。以前購入された商品から別商品をオススメする案内も、お客様にたくさんの商品を買ってもらうようにしています。すなわち、購入単価を上げる接客といえます。
ECでも、商品を悩んでいる人に対して離脱を防ぐポップアップは、コンバージョンの向上につながります。以前見た商品の関連商品をオススメするレコメンドも、購入単価の向上を促進できます。
既に購入したお客様に対して、定期購入コースをオススメすることで、リピート率を向上することもできます。また、当社自身のサイト上でWEB接客を行なった結果、再訪問率が向上し、訪問者数も増えました。WEB接客は、売上を上げるためのあらゆる要素を改善できると断言できます。
注目されている背景
さて、昨今EC業界で、WEB接客が注目されているのには理由があります。
まず、日本国内の広告費において、マスコミ4媒体の広告費が減りつつある中、インターネット広告は前年度比110%以上の成長を続けています。
また上記は、日本国内のEC市場の成長率を表しています。2017年のECの市場規模は前年度比109%の成長をしており、EC化率も順調に伸びています。しかし視点を変えると、競争が激化しているとも表現できます。
WEB接客は、熾烈な競争に勝つための手段になり得ます。競争の激しさからか、2015年頃までは「WEB接客をすると売上が上がる!これは嬉しい!」という声であったのが、2017年現在は「WEB接客をしないのはもったいない!生き残れない!」という声に市場の反応が変化していると感じています。
WEB担当者が、人の気持ちを考えることが重要
ここまで読むと、「実際にWEB接客をやってみよう!」と思う方は多いのではないでしょうか。WEB接客を実践する上にはツールが必要です。現在、日本では20社以上が、WEB接客のツールを提供しています。クーポンをポップアップで表示できるツール、サイト上でチャットができるツール、AIがバナーを最適化してくれるツールなど、多岐に渡ります。
しかし繰り返しになりますが、WEB接客とは、訪問者の情報から心理を汲み取り、訪問者ごとにサイト上の対応を変える技術です。この定義から考えると、訪問者の気持ちを汲み取り、接客施策を考えるWEB担当者の”ノウハウ”こそが機能よりも重要だと、私は言い切ります。
よくWEB接客と聞いて「クーポンを表示するツール」と仰る方がいますが、クーポンはあくまで手段のひとつです。クーポンは、購入するかしないかの瀬戸際の人に対して、背中を押してあげるための存在であるべきです。いたずらにクーポンを配ると、購入単価を落とし、逆に売上が下がることにもなりかねません。
また、確かにAIはWEBマーケティングにおいて、間違いなく良い成果をもたらしていますが、「これからの時代、マーケティングはAIに丸投げでOK」と勘違いしていませんか?
AIは、接客のタイミングや画像などのクリエイティブを最適化してくれますが、AI自身が新たなクリエイティブを生み出すことはできません。もっと本質的なことを言うと、AIが”訪問者の気持ち”を汲み取ることはできません。故に、WEB担当者の人が施策を考えるステップは、AIが登場しようとも当分変わらないと思います。あくまでAIは、WEB担当者のサポート役です。
例えば...
「3回目の訪問者は、主に商品を買うかどうか迷っている」
→「商品の信頼性を求めている」
→「3回目の訪問者限定で、お客様の声のコーナーをLPの上部に表示しよう」
→「リピーターのお客様からいただいたハガキを映そう」
AIがこのような思考を持ち、施策を実施することはあり得ません。
当社では、EC事業者様にWEB接客を提案する際には、上記のような”戦略図”を作成しています。「このお客様にはこう接客して...その後、こう来たお客様へはこう接客して...」という風に。社内ではこの”戦略図”を、『カオスマップ』『曼荼羅チャート』など、様々な名称で呼んでいます(笑)
まとめ
今回の内容をまとめると、以下の3点です。
●WEB接客とは、訪問者の心理を汲み取り、訪問者ごとにサイト上の対応を変える技術。
●WEB接客は、あらゆる売上の要素を向上させる。
●一番重要なのは、WEB担当者の”ノウハウ”。
第2回からは、当社サービス「ヒキアゲール」の具体的な事例を踏まえて、”戦略図”の中身である接客施策を紹介します!次回はコンバージョン率向上編です。お楽しみに!
お読みいただきありがとうございました!
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【第2回】
こんなWEB接客は嫌われる!コンバージョンを上げる接客・下げる接客
https://www.ecnomikata.com/column/15525/
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