【第四回】~熱狂的なリピーターを生み出すマドンナ~
こんにちは!
株式会社ダーウィンズの児玉達郎と申します。
弊社は通販会社様の支援に特化した、コンタクトセンターとして、
札幌、徳島、水道橋、立川と4拠点、450名のオペレーターで
サービス提供しております。
連載コラムとして、コールセンター実践の中で、
作りこんできた販売心理学をご紹介しております。
題して、
『心理的に見る、最高の販売員の特徴』
接客、コミュニケーション、マーケティングなどの分野で、
少しでも皆様のお仕事のご参考になると幸いです。
【第一回】~顧客心理から明るい未来を語るマドンナ~
https://www.ecnomikata.com/column/15338/
【第二回】~5つの要素を使いこなす感情豊かなマドンナ~
https://www.ecnomikata.com/column/15654/
【第三回】~自己概念が高いマドンナ~
https://www.ecnomikata.com/column/15985/
リピーターが発生する条件とは
私の自宅近くに、数年以上ずっと、行列を絶やさない、
餃子専門店があります。
開店前から行列がすでに出来ており、
夜遅くになっても行列がチラホラと・・・。
新店オープン直後に行列の出来るお店は、色んな場所で
見かけますが、それが数年続くとなると、リピーターの存在が欠かせません。
TVCMでも某アイドルグループが、
「ファッションもサブスクへ~♪」
と伝えています。
サブスクリプションとは、「予約販売、定期購読」
という意味合いですが、約10年前から健康食品や化粧品の
通販会社様の支援に携わってきた私としては、
「定期コース(リピート販売)」という素晴らしいビジネスモデルが、
世の中で認知されてきていることに嬉しく感じています。
リピート顧客の存在無しには、商売は成り立たないですよね。
リピーターが発生する条件の一つとして、
『満足を超えた感動を顧客が体験したとき』があります。
私も以前、
「感動を生むためには、相手の期待値を超えることが必要で、
そのためにはサプライズが必要だ」
と思っていました。
もちろん、サプライズは感動を生む要因になりますが、
感動される接客において、常にサプライズを用意しているわけでは
ありません。
私自身、コールセンターでの感動接客を見かけるうちに、
ある一つの事実にたどり着きました。
お客様がリピートに至るきっかけとは一体何なのでしょうか?
そのヒントが、
『宝塚歌劇団』と『劇団四季』にありました。
脅威のリピート回数、10,000回!?
心理的に、人と人との距離感が近く、
喜怒哀楽を表に出すことによってのみ、
相手の感情も揺り動かされ、そこに人を行動に
駆り立てる何かが生まれる、と言われています。
感情を排した、無表情での情報交換メインの
コミュニケーションでは、
お客様の感情が大きく動くことは難しいわけです。
「感情の発露が人の心を動かす」
ということで、
以下のようなデータがあります。
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国内最大規模の顧客満足度調査と言われている、
JCSI(サービス産業生産性協議会)にて、
2016年度、421企業、回答者12万人の調査による結果。
・感動指標、感動に関する経験
・ロイヤルティ、将来の再利用意向
など複数の指標にて、1位と2位を独占していたのは、
『宝塚歌劇団』と『劇団四季』でした。
(参考文献:コールセンタージャパン 2017年6月号)
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実際に、劇団四季の名作「ライオンキング」は、
1998年から東京講演がスタートし、国内通算上演回数は
なんと、10,000回以上と今でも続いています。
これは何度も通うリピーターの存在無しにはありえません。
映画でもリピーターは生まれますが、演劇ほどの
リピート回数は起こらないと言われています。
これぞまさに、演じる役者の感情の発露により、
お客様の感情が大きく動き、行動(=リピート)に
駆り立てられたから、なんです。
コールセンターでも販売成績の良いマドンナの多くは、
「また貴方から買いたいわ」
とお客様から仰って頂けるほど、
マドンナの感情の発露により、
お客様のリピートを生み出します。
コールセンターにおいて、感情の発露がどのようにして、
リピートに繋がっているか、とあるエピソードをご紹介します。
リピーターが生まれる高山さんのホットボタン
アウトバウンド業務において、
美容液をセールスしていた、あるトップマドンナ高山さん(仮名)の話です。
その美容液は、お客様に訴求できるメリットが
複数あり、スクリプトにもそういった情報をふんだんに盛り込んでいました。
シミ、しわ、たるみ、肝斑、ほうれい線・・・、
どんな悩みにも効果が期待できそうなスペシャルな美容液です。
ところが高山さんの販売手法は異なります。
お客様の肌の悩みを聞き出すのが上手なのですが、
訴求できるメリットをあえて全部紹介せず、
お客様の悩みに合わせて、一つの訴求だけをひたすら
おススメしていくトークスタイルなのです。
これは、販売における「ホットボタン」という手法を
使っています。
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ホットボタンとは、お客様が何か商品やサービスを
買うにあたって第一の理由となるものです。
これはつまり中心的な利点であり、もしセールスマンが
顧客のホットボタンを知ってしまったら、顧客は
プレゼンテーションに抵抗できなくなるほどです。
参考文献:ブライアン・トレーシー 販売心理学より。
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そして時折、商品とは全く関係のない話もしています。
お客様の家族の話、関心があるTVドラマの話など、
まるで一緒に商品を選んでいる親友のような視点で、
セールスしています。
あるとき、そういった接客姿勢に感動されたお客様から、
感謝のお手紙が、化粧品会社様を通して届きました。
とても嬉しいことだったので、高山さんからもお返事を
書かせて頂いたところ、それからも数回、
お手紙のやりとりが続くようになりました。
もちろん、そのお客様はずっと商品をリピート購入されています。
こういった出来事は、
ルール通りの接客、スクリプトを読むだけでは、起こせません。
(もちろん、ルールやスクリプトは大切です!)
高山さんの接客スタンスは、
自分がしてほしいことを相手に話すのではなく、
相手がしてほしいことを相手に提供しています。
だからこそ商品の話だけでなく、時折、
商品以外のお客様の話にも耳を傾け、
一緒に笑い、共感し合い、背中を押しているのです。
これこそ、高山さんの「感情の発露」、
お客様が「また貴方から買いたい」と思って、
熱狂的なリピーターになってくださる瞬間です。
AI技術には負けない人の可能性
お客様の視点で、お客様がしてほしいことを
感情を込めて表現していく。
私はこれが、リピーターを生み出す一番大事な要素だと考えています。
ここ数年、AI技術が、様々な業界で注目されていますが、
最近の印象深い記事として、ローソン様での事例があります。
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ローソンでは、現在店舗の発注システムにAIを導入しており、
「セミオート発注システム」として活用しているそうです。
販売実績、天候、ポイントカードによる来店顧客属性など、
約100項目のデータを元に、AIが最適な店舗発注内容を
算出しているそうなのですが、今後、全ての発注をAIに
するつもりはないのだそうです。
なぜか。
それは店舗の売上を最終的に決めるのは、人間の感情(=やる気)
だというスタンスがあるからだそうです。
AIの推奨に従うだけの店舗と、あえて推奨数の2割増しで発注して
売り切る店舗では自ずと業績が変わってくるわけです。
(参考文献:日経ビジネス)
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人間の持つ感情、やる気が、最後の最後、もうひと押しを生み出し、
人々の期待を越えたところに、到達できるわけです。
それができれば、今後AI技術がさらに進化しても、
コールセンターでの人による接客は無くならないはずです。
クライアントの事業基盤となる、リピート顧客をたくさん生み出せる
コールセンターの品質をこれからも作っていきます。