【第二回】~5つの要素を使いこなす感情豊かなマドンナ~

児玉 達郎 (こだま たつろう)

こんにちは!
株式会社ダーウィンズの児玉達郎と申します。

弊社は通販会社様の支援に特化した、コンタクトセンターとして、
札幌、徳島、東京と3拠点、400名のオペレーターで
サービス提供しております。

前回より、連載コラムとして、コールセンター実践の中で、
作りこんできた販売心理学をご紹介しております。

題して、
『心理的に見る、最高の販売員の特徴』

接客、コミュニケーション、マーケティングなどの分野で、
少しでも皆様のお仕事のご参考になると幸いです。


前回コラム↓
【第一回】~顧客心理から明るい未来を語るマドンナ~
https://www.ecnomikata.com/column/15338/

感情表現を豊かにする5つの要素 

ちょっとした想像をして頂きたいのですが、

■Aアナウンサー
椅子に座って、無表情。手は机の下に隠して、淡々とした説明。

■Bアナウンサー
立ち上がって、笑顔。身振り手振りを交えながら、抑揚のある説明。

どちらが、印象に残りますか?

ほとんどの方はBを選択されると思います。

私がSV(コールセンターの現場管理者)だった頃、
販売成績の良いマドンナと接していくうちに、
ある共通点があることを発見しました。
(マドンナとは当社オペレーターの呼称です)

それは、

『感情表現が豊かである』

という共通点です。

電話でお客様と会話しながら、笑っていたり、
ジェスチャーを交えながら熱心に商品を説明しているマドンナは
総じて、高い販売成績をあげる傾向があったのです。

感情表現の豊かさですが、心理学的には、

・言葉
・声のトーン
・表情
・ジェスチャー
・体の姿勢

といった5つの要素で構成されると言われています。

墓場で口笛?

ここでは、「言葉」以外の4つ要素が
非常に重要なのです。

20世紀心理学における最大の発見の一つ、と言われているのが、

『行動から感情は作られる』

ということがあります。

昔から、
・楽しいから笑うのか
・笑うから楽しくなるのか

どちらが正解なのか、といった議論がありましたが、

答えとして、

・笑うから楽しくなる

のです。

アメリカでセールスの神様と言われ、
その書籍も多数日本で出版されている、
ブライアン・トレーシー氏も、

「墓場で口笛」

というシンプル、かつわかりやすい言葉でこれを表現されています。
(墓場のような悲しい場所でも口笛を吹くことで明るい感情は
 生み出すことができる、という比喩です)

行動、つまり、身体を動かすことによって、
感情が高まり、表現力豊かな接客へとつながっていくのです。

具体的なトレーニングポイント

具体的なトレーニングポイント

では、コールセンターでの接客において、
感情表現を豊かにするために、「言葉」以外の要素、
どういうところを意識するべきか、
ご紹介いたします。


■声のトーン

人の第一印象は、10秒以内で決まる、
と言われています。

電話でのコミュニケーションでも
第一声の印象がその通話全体を支配するくらい、
重要なポイントとなります。

例えば、

「お電話ありがとうございます!○○化粧品の○○でございます」

といった、最初の第一声をワントーン上げることがポイントです。

ちなみに、電話においては、普段の地声で話すと、
相手には暗い印象で聞こえてしまいます。


■表情

ミッキーマウスの顔をイメージしてみてください。

そして、大きく目を見開いて、「ウィスキー!」と10回、
声に出して言ってみてください。

多くのマナー講座の発生練習としても、
「ウィスキースマイル」
という手法で紹介されています。

これを毎日練習することで、口角がしっかりと上がり、
素敵な笑顔ができるようになります。

この「声のトーン」と「表情」を組み合わせて、
笑顔で、口角を上げて、ワントーン高い声で、
「お電話ありがとうございます!」
と言えると、印象がガラッと変わります。

ちなみに心理学では、『コミュニケーションにおけるルールスリー』
という話があるのですが、5つの要素のうち、3つがかみ合わないと、
相手に伝えたいことが正しく伝わらない、のです。

■ジェスチャー

説明がわかりやすいマドンナの特徴として、
お客様と電話で話しながら、自然とジェスチャーが加わります。

「この洗顔の使い方ですが、
 小さなたまごくらいの泡を手にのせて、
 それをお顔の上の方からクルクルと・・・」

と言いながら、手が動いています。

もちろん、電話越しのため、
お客様にはマドンナのジェスチャーは見えないのですが、
ジェスチャー豊かなマドンナは、
説明に抑揚が入り、わかりやすくなります。

そこで、日頃からマドンナには、
手を机の下にしまわず、
意識的に動かすよう、指導しています。

これぞ、まさに、
『行動から感情は作られる』

ジェスチャーが増えるにつれて、
話し手の感情が高まっていくのが見えてきます。


■姿勢

背もたれから、コブシ一個分くらい離して、
背筋を伸ばして、胸を張ります。

そうすることで、お腹から声が出るようになり、
長時間、お客様と会話していても、喉への負担が少なくなります。

ただ、ずっとこの姿勢を維持するのは、逆に
身体に緊張が生じてしまいます。

お電話が繋がっていないときは、
メリハリを利かせられるよう、
リラックスした座り方も教えています。

また、顎を引いて会話することで、
インカムに声がまっすぐ入るようになり、
お客様にとって、聞き心地の良い声色になります。

テクニックではない、相手が求めていることを

5つの要素(言葉、声のトーン、表情、ジェスチャー、姿勢)、
これはコールセンター応対品質における基本の型です。

つまり、「何を伝えるか」以上に、
「どのように伝えるか」が
大事であると教えています。

しかしながら、人対人ですから、
相手に合わせたコミュニケーションの取り方が
もっと大事であると感じます。

例えば、ウィスキースマイルは基本ですが、
お客様が無表情で淡々とされているのに対して、
マドンナが常に笑顔で明るいトーンで話し続けるのには、
少し違和感があります。

お客様はご自身の心理状態に合わせて、
落ち着いて、冷静に、
電話で話してほしいときもあるわけです。

最近では、衣料品店、美容院、タクシーなどで、
「声をかけない接客」が注目されているように、
買い物したいけど、自分のペースで、買い物に集中したい、
というお客様も数多くいらっしゃいます。

感情表現が豊かであることは、接客において、
とても大事なことですが、テクニックに寄り過ぎず、

「お客様が求めていることを、提供したい」

というスタンスが大前提です。


著者

児玉 達郎 (こだま たつろう) (Kodama Tatsuro)

通販支援に特化した前職において、コールセンターを設立。営業・現場を指揮し、立ち上げた案件は200社以上。2015年ダーウィンズの東京コールセンター長に就任。現在も現場の第一線でコールセンター全てを取り仕切る。また、欧米では、IBM・BMW・コカ・コーラなどが採用するPCM(心理学)認定トレーナーの資格を持ち、オペレーターに対する心理学講習などで離職率を下げる一方、顧客に合わせたコミュニケーションの取り方を教えることで、通販企業の販売率向上に貢献。クライアント先のコールセンターで8時間に渡るセールス研修、PCM認定トレーナーとして外部の心理学セミナーなど、実績多数。

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