【20代のEC事情】2018年大注目のライブコマースを徹底調査〜ライブコマースに見る次世代ECのカタチ〜

小林芽久未

株式会社テスティー(以下、テスティー)の小林芽久未と申します。

本記事では「EC×若者」をキーワードに若年層調査・分析を実施し、若者の意識や消費行動を読み解きます。日々のサービス運営やマーケティングなどにおいて少しでも読者の皆様のお役に立てたら幸いです。

〜前回記事〜
第1弾【若年層調査で判明したECにおけるイメージ写真の重要性】
https://www.ecnomikata.com/column/16176/

中国で2時間に1万本の口紅を売り上げるなど、大きな盛り上がりを見せているライブコマース。

日本でも、フリマアプリ「メルカリ」の「メルカリチャンネル」やインフルエンサーを多く抱える「Live Shop!」、「PinQul」、クリエイターが配信を行う「BASEライブ」など、この1年でさまざまなライブコマースの参入が見られました。

そこで今回は、20代のファッションEC事情を紐解く第2弾として、
【ライブコマース】をキーワードに20代男女1,002名(男性500名、女性502名)を対象に調査を行いました。

TOPICS
■ 細分化する「ファッションに関する情報収集元」、SNSの波及効果とは
■ インフルエンサーを「フォロー・友達登録」することで増える商品との出会い
■ 「リアル」にこだわる次世代へのアプローチ方法は「ライブコマース」認知度と今後の可能性。

細分化する「ファッションに関する情報収集元」、SNSの波及効果とは

はじめに、ファッションに関する情報収集の方法について調査しました。

まず、ファッションの「流行」に関する情報をどのように収集しているかについて調査したところ、20代男性の52.6%、20代女性の71.9%が「スマートフォン」と回答し、男女ともに第1位となりました。

そこで、「スマートフォン」を利用して流行に関する情報を収集すると回答した人を対象に「どのように情報収集しているか」を尋ねました。

その結果、20代男女ともに第1位は「SNS」となり、20代男性で54.8%、20代女性で65.7%となりました。第2位は「WEB」で20代男性の46.0%、20代女性の38.5%、第3位は「アプリ」で20代男性の18.3%、20代女性の29.1%が情報収集に利用していることがわかりました。

さらに、「SNS」でファッションの流行情報を収集すると回答した人を対象に「ファッション情報を収集する際に利用するSNS」を尋ねました。

すると、20代男性の第1位は「Twitter」で70.1%、第2位は「LINE」で37.5%となりました。一方、20代女性の第1位は「Twitter」で52.7%、第2位は「Instagram」で52.3%となりました。

20代男性が「Twitter」を中心に利用している一方、20代女性は「Twitter」と「Instagram」の両方を同程度利用していることが判明しました。

また、「アプリ」でファッションの流行情報を収集すると回答した人を調査すると、20代男性からは「WEGO」や「WEAR」などファッションECを兼ねたアプリの名前が、20代女性からは「LOCARI」や「ローリエプラス」「pool」といった「キュレーションアプリ」の名前が多く挙がりました。

「WEB」でファッションの流行情報を収集すると回答した20代男女からはともに「ZOZOTOWN」の名前が多く挙がり、他にも「NAVERまとめ」などのまとめサイトや好きなブランドのHPを見ているという回答が得られました。

インフルエンサーを「フォロー・友達登録」することで増える商品との出会い

続いて、SNS利用者を対象に、「好きなインフルエンサーや芸能人をフォローもしくは友達登録していますか?」と聞きました。

「している」と回答した人は20代男性で35.8%、20代女性で47.1%となりました。また、「フォロー・友達登録をしている」と回答した人を対象にそれらのアカウントで「商品紹介を見たことがあるか」を尋ねたところ、20代男性で52.5%、20代女性で61.7%が「見たことがある」と回答。

男女ともに半数以上がフォロー・友達登録をしているインフルエンサーや芸能人のアカウントで商品紹介されているのを見たことがあると判明しました。

これらの結果から、SNSはインフルエンサーや芸能人をフォロー・友達登録している人にとって新たな商品に出会う一つのきっかけになっていると言えそうです。

次世代ECサービス「ライブコマース」、動画視聴経験率は20代男女ともに約2割

最後に、「ライブコマース」に関して調査を行いました。
ライブコマースは、視聴者がライブ動画配信者へリアルタイムに質問やコメントをしながら商品を購入できる次世代のECサービスとして注目を集めています。

まず、「ライブコマースの動画配信を見たことがありますか?」と尋ねたところ「見たことがある」と答えた人は20代男性で21.6%、20代女性で21.9%と男女ともに約2割でした。
また、ライブ配信で紹介された商品の購入経験について尋ねたところ、20代男性の14.8%、20代女性の7.3%が「購入経験がある」と回答しました。

「購入はしていないが欲しいと思ったことがある」と回答した人を含めると20代男女ともに約半数の人が、ライブ配信で紹介された商品に対して購買意欲があることが判明しました。

さらに、ファッション関連商品を紹介するライブ配信を視聴したことがある人を対象に「ライブ配信の良い点」をフリー回答にて聞きました。

>友達にオススメされているような気持ちになる (27歳男性)
>リアル感・限定感がある (22歳女性)
>一つ一つ丁寧に紹介してくれるのでわかりやすくていい (24歳女性)
>その場で商品がみれる 感想などが聞ける (20歳男性)
>動画だから実際にいて動いたときの感じがわかる (27歳女性)

ライブ配信による商品紹介は、「リアル感」があって良いという意見が多く挙がりました。また、ライブ配信中に「感想が聞ける」「実際の口コミがわかる」など、ECでファッション関連商品を購入する際にネックとなる「使用感・着用感」「シルエット」に関する情報をすぐに確認できる点も魅力に感じているようです。

ライブコマースの利用率はまだ低いものの、それを利用した商品購入意欲のある若年層は一定数いることが今回の調査からわかりました。このことから、ライブコマースが今後さらに普及すれば、それに伴い利用率も高まると予想されます。

若年層は、インフルエンサーや芸能人のSNSアカウントをフォロー・友達登録する時点で、彼らへの興味・関心が高いと考えられます。

例えば、好きなアーティストのライブやコンサートへ行った際に関連グッズをつい買ってしまうことがあります。それと同様にライブコマース上でも、ある種「ファン心理」のようなものが働く可能性があります。

フォロー・友達登録をしているインフルエンサーや芸能人がライブ配信を通してオススメする商品を、つい買ってしまうという動きも今後は出てくるかもしれません。

このように、若者の興味・関心が高いインフルエンサーや芸能人を活用し、さらに「リアル感」を加えて商品購入を促すサービスは、確度の高い新たなマーケティング手法になると言えそうです。

ライブコマースの普及を見据えた時、「ファン心理をくすぐるリアル感」は
今後のECマーケティングにおいて重要な要素となるかもしれません。


まとめ
・20代男女はファッションの流行を「SNS」でチェックしている。
・20代女性の約半数はインフルエンサーや芸能人をフォロー・友達登録している。
・「ライブコマース」の動画視聴経験率は男女ともに約2割。
・購入経験者は約1割と少ないものの購入意欲のある20代は3割以上。
・次世代ECのキーワードは「ファン心理をくすぐるリアル感」。

以上、若年層男女のファッションEC利用調査
第2弾「ライブコマースに関する調査結果」をお送りしました。

最終回となる次回は、「ファッションEC〜決済方法と購入意欲の関係〜」について深堀調査を行う予定です。


著者

小林芽久未 (Megumi Kobayashi)

平成4年生まれ。

株式会社テスティーの広報・ライターを担当。
若年層リサーチに特化したTesTeeにて、調査メディアの運営に携わり
女子高生や女子大生、10〜20代男女を対象に多様なジャンルにて調査を実施。
若年層マーケティングに助力するため、イマドキの若者の実態を発信している。

■企業情報
【株式会社テスティー】https://www.testee.co

■事業内容
・スマートフォンアンケートアプリの開発・運営
 「Powl(ポール)」https://static.powl.jp/lp/
・プログラミング不要のチャット型ツールの開発・運営。
 「Fast Sonar(ファストソナー)」https://fastsonar.com
・若年層/アプリに特化したモバイルネットリサーチ事業の運営
 「テスティーリサーチ」https://www.testee.co/research
・リサーチ結果を紹介するメディアの運営
 「TesTee Lab(テスティーラボ)」https://lab.testee.co