【韓国越境EC情報】独自で立ち上げたコスメブランドで越境EC展開「コリンコ」
韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム「cafe24」を通じて、海外展開に取り組む様々なヒットショップとその理由について、ご紹介します。
今回は、09年から自社ECを含め、モール出店、海外販路開拓に取り組みながら、コスメグッズ販売を手がけている「コリンコ(http://jp.coringco.com)」を紹介します。同社は、従来品との差別化を図るため独自開発したメイクブラシがヒットしたのを皮切りに、毎年20%の売上成長率を記録しているヒットショップです。
Kポップやアイドルの人気でアジア諸国をはじめ、欧米など数々の国でオルチャンメイクへの関心が高まっています。これに伴い、海外消費者に向けて、積極的な越境ECを展開するコスメメーカーも増えているようです。
EC発コスメブランド「コリンコ」は、ニッチ市場を狙い、既存ブランドとは差別化された製品開発を行い、海外消費者にも受け入れられるブランドを目指しています。
2009年コリンコを立ち上げた趙ヒュギCEOは、大手自動車メーカー会社を退職した後、自分のビジネスを持つため、様々な経験をしながら起業準備を進めました。その間、大手コスメ企業へメイク道具を納品したところ、実店舗事業の成長に限界を感じたことが、EC展開を検討したきかっけとなりました。
「様々なブランドのメイクアップブラシを分析しながら同業他社に頼らず、独自の研究及び開発を行いました。その結果、従来品では目立つ特色のない黒毛のブラシが多いことが分かりました。これに着目し、従来品とは差別化されたピンク毛のブラシを開発したことが、成長のきっかけになったと思います」
カテゴリー拡大に取り組み、海外売上高比率は50%以上
実際、コリンコが自社開発した「ピンクブラシ」は、国内だけでなく、日本や中国、台湾でも反響がありました。特に、出店先「Qoo10」などではコスメカテゴリー上位にランクされたり、ネット上で商品を確認した欧州のバイヤーからも問合せが殺到したと言います。
その後、美白クリームなどのスキンケア商品や「鼻プチ」などの企画商品、アイシャドーなどカテゴリー拡大に取り組み、全商品の80%以上を自社生産する仕組みを構築しました。これにより、流通コストを最小化し、価格競争力の向上も実現できたと言います。
こうして、200種類以上のアイテムを取り扱うようになったコリンコは、毎年20%の売上高成長率を記録し、海外売上高の比率が全体の50%以上を占めるなど海外市場でも競争できる力を整えました。
コリンコは、海外販路拡大を目指すため、グローバルECプラットフォーム「cafe24」で開業した越境ECサイトも運営しています。今後、中国向けサイトも構築する計画で、様々な販売チャネルを発掘し越境EC展開を継続していく予定です。
[コリンコ趙CEOとの一問一答]
--越境EC事業のきっかけと日本市場に参入した理由は。
グローバルECの活性化により、今はネットビジネスを通じて世界を舞台に商売ができる時代になりました。それで、国内や実店舗事業だけで競合と戦うより、海外市場に目を向けることを決めました。特に「ECを活用した海外進出」は、国内市場にとどまっている企業にさらなる成長の機会を与えられると思います。
日本は、アジア諸国より先に、韓流ブームが起こっただけに、アパレルや韓国コスメへの関心が高いことを理由に参入を決め、今まで反響が続いています。これは、日本で購入するのが難しいアイテムや、若年女性の好奇心を刺激するコスメグッズが多いことが理由だと見ています。
--海外展開における顧客対応戦略について
国内事業と同様に、お客様のことを大切に思う気持ちが必要だと思います。
その一環として、その国の言語で作った商品マニュアルや感謝の気持ちを表現した手紙などを海外顧客にも送っています。また、単なるコスメ販売に留まらず、CS対応を含め、常に顧客を大切に思う気持ちで顧客満足度向上にも力を入れています。
--今後の計画について
今後もグローバルEC市場は、継続的に成長すると見ています。
2009年から様々なチャネルでコスメグッズ販売を手がけながら、商品開発、顧客対応、市場トレンドなど消費者のニーズを継続に分析してきました。これからも様々な国の消費者に向けた研究や商品開発に取り組みながら、アジア市場や欧米市場に向けても事業拡大を計画しています。
ECのミカタ編集部の見解
オルチャンは”顔”という意味の「オルグル」と”最高”という意味の「チャン」という言葉を組み合わせた造語なんだそうです。
日本でもやはり、「オルチャンメイク」という言葉をSNSなどで目にしますし、テレビや雑誌に出るようなモデルさんも最近は「オルチャンメイク」だな〜という方が増えていますね。
コリンコの「ピンクブラシ」はまさにオルチャンメイクの可愛らしい雰囲気を表しているなという印象です。「可愛くメイクアップするための化粧道具も、どうせなら可愛い方がいい!」そういった女性のツボを突いたことが、ヒットの裏側なのでは、とも考えられます。
また、韓国コスメといえば、プチプラ(プチプライス)という印象をお持ちの方も多いかもしれません。そういったイメージの中で流通コストを最小化し、価格競争力を強化したことも注目すべき点かと思われます。
今や、コスメはただ化粧をするための道具ではなく、コレクションすることに楽しみを見出す女性も多くいます。「プチプラなのに可愛い!」はまさに、そういった女性のツボを突くポイントなのではないでしょうか。