通販利用者がもっとも「気づき」となる媒体は?

竹内 一慶

通販事業者であれば、顧客の通販利用のきっかけである「気づき」となる媒体については、非常に興味があるはずです。ECのパッケージソフトを提供している、エルテックス社の行った「通信販売に関する【消費者調査】2017」に「気づき」媒体についての調査がありましたので、ご紹介させて頂きます。

調査は「通販利用者の利用している機器」など他にも幾つか質問がございますが、今回は以下二つを取り上げます。

■質問項目)あなたがECを含む通信販売で買い物をする際に、 利用した事があるものを、いくつでもお選びください。(複数回答)

出典:「エルテックス社 第10回通信販売調査レポート「通信販売に関する【消費者調査】2017 Part1」


■質問項目)あなたがお選びになった、通販で買い物をする際に利用したことがあるもので、最もよく利用するものをひとつだけお選びください(単一回答)。

出典:「エルテックス社 第10回通信販売調査レポート「通信販売に関する【消費者調査】2017 Part1」

この調査は、2013年から5年間継続的に行われているものです。また調査のベースが、インターネット通販の利用者ですから、デジタルの広告、宣伝が、かなり効果的な層である事は前提となります。

この結果から面白いのは「通販カタログ」を、「もっとも良く起点とする」インターネット通販利用者が、15%程度は安定的に存在すると言う点です。

デジタルの住民からは、時代遅れ感も強い「紙のメディア」ですが、現状の「配布先リスト」と「紙を使ったクリエイティブ」には、通販売上の15%を支えるという、それだけの魅力が、存在しているということが分かります。

デジタルのコミュニケ―ションよりは、より慎重に「費用対効果」について事前設定は必要ですが、既顧客に対してのコミュニケーションとしては、「紙媒体」は一定の効果を持つのです。(仮定の売上としては15~20%レベル)


既顧客のリテンションに、カタログはまだまだ有効

この調査の「読み込み」に必要な前提は、顧客の「購入に対するモード」です。

通販で「最もよく利用するもの」を選ぶのですが、一位は「インターネットの大規模モール」(約45%)となっています。これは、もともと「買う気で商品を探している」モードで、インターネットに接続しているのであり、リアルな世界ではすでに買うものを決めて「来店している」モードです。

つまり、順位が高いのは当たり前なのです。

一方で、第二位の「テレビの通販番組」(22%)というのは、基本的にゼロからの「出会い」そのものですから、その注文チャネルがデジタルであれ、電話であれ、やはりテレビと言うのは、相当に「購買喚起力」や「安心感」が強いことが分かります。

そして、第三位が「通信販売カタログ」(約15%)ですが、この大半は既顧客へのアプローチであり、一度信頼したブランドは「継続的に信頼する(したい)」という、顧客マインドをベースに、「忘れずにカタログを送ってもらった!」と言うことも含めて、「良い購入体験」の醸成が、LTVの向上となっているものと考えられます。

こうした傾向から「気を付けておく」べき今の日本の通販の売上向上ポイントは、
・通販ファネルの最上部である「気づき」の設計をデジタルに頼り切らない
・カタログで訴求できるアップセル品、関連商品群の整備
・「売り切り」ではない「良い購入体験」の整備(挨拶、お伺い、キャンペーン)
・既顧客へのアプローチ(紙のカタログ、DMなどによる複合メディアの活用)

こうした大きな視点で、自社の通販をチェックしてみることも、売上向上には大切だと思われる調査結果です。

カタログ・DMなど送付物の開封率をみえる化する

既存顧客へ一定の効果を持つ紙媒体。しかし全会員へ毎度送付するのは、費用負担が大きくなると想定されます。カタログやDM送付後、既存顧客の反応が分かれば、次回への課題が見えてくるはず。「みえるDM」は低コスト・低工数でカタログ・DM送付後の顧客行動をみえる化し、結果課題のみえる化をサポートするサービスです。


著者

竹内 一慶 (Kazunori Takeuchi)

大学卒業後、セールスプロモーション代理店へ就職。金融・住宅から食品などの一般消費財まで幅広い業界で17年間セールスプロモーションの企画・営業職に従事。2017年より株式会社ポストウェイ経営企画室に移り、セールスプロモーション業界時のノウハウを活かしながら、新しいメール便サービスを日々模索中。

http://postway.jp/