倉庫・物流不動産マーケットレポート(β版)調査結果(2018年3月時点)
株式会社シーアールイーでは、大型物流センターや大型賃貸倉庫などの物流不動産における市場動向・調査を記したマーケットレポートを発表しています。
マーケットレポートは、四半期ごと(1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)のデータを基に作成しており、今回は2018年3月末時点での市場をまとめました。
本コラムでは、首都圏、関西圏、九州圏、中部圏のエリアごとの市場動向についてですが、より詳細な地域については倉庫・物流不動産マーケットレポート(β版)に記載しております。
マーケットレポートは弊社物件検索サイト「LogiSquare(ロジスクエア)」からダウンロードできます。
大型倉庫【首都圏】過去最高レベルで需給均衡、空室率は若干低下
前Qに引き続き、旺盛な需要に支えられ空室率は3.83%と0.12pt減少している。
千葉湾岸などニーズの高いエリアの空室率低下はさらに進んだ。
一方、千葉東葛、埼玉関越・東北道では、過去最高のネット需要があったものの、首都圏の新規供給の約6割が集中し、空室率が悪化した。今後、空室の消化には一定の期間を要するのに加え、継続的に大量供給を控えているため要ウォッチする。
今Qの大量需要の一部には移転による重複が含まれている可能性があり、今後の解約動向に留意する。
大型倉庫【関西圏】高水準の需要も大量供給に追いつかず、やや悪化
空室率は15.43%と前Qより0.6pt悪化している。
旺盛な需要があるものの、それを上回る新規供給がなされたことに起因する空室率の上昇である。
ストック量に対する需要量割合では首都圏を上回る需要水準となっている。
大阪湾岸の空室率は大幅に悪化しているが、総需要は約46,000坪と高水準となっている。
神戸内陸の空室率の悪化は著しいが、一物件の影響であるため、今後の動向を注視したい。
大型倉庫【九州圏】空室率は若干の良化傾向ながらも、依然高止まり
空室率は11.06%と前Qより0.23pt改善している。
鳥栖エリアは新規供給の消化も進み、低い空室率を維持しているが、福岡エリアは依然高止まりの様相を呈している。
来Qは福岡エリアに新規供給が予定されているため、空室率のさらなる悪化が懸念される。
大型倉庫【中部圏】予想通り空室率は改善傾向
空室率は9.90%と前Qより2.54pt改善している。
名古屋南で今Qに新規竣工した物件に未消化があるが、名古屋北で既存/新規物件ともに消化が進んだため、全体の空室率は改善された。
2019CY前半に両エリアで新規供給が予定されているため、賃貸マーケットの形成と合わせて動向に注目する。
中小型倉庫【首都圏】空室率は若干の増加ながら、依然として好調維持
都内湾岸の1棟でテナントの退去、東京神奈川県西ではテナントの入退去があった結果、若干空室率は増加しているが、依然として著しく低い空室率を維持している。
都内湾岸を除いたエリアは、引き続き空室率が2%を下回った。
ラストワンマイルの需要は底堅く、さらなるEC需要の増加に伴い、更なる需要の拡大が想定される。一方で中小型倉庫の供給は少なく、需給のひっ迫は継続されると推測する。
今後も4半期ごとに調査レポートをコラムに掲載していく予定です。
御社の物流戦略にぜひご活用いただけばと思います。
ご不明な点やご質問等ございましたら、弊社までお問い合わせください。
【調査概要】
〇調査地域
首都圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県
関西圏:大阪府、京都府、兵庫県を中心とする地域
九州圏:福岡県、佐賀県を中心とする地域
中部圏:愛知県を中心とする地域
〇調査施設
大型倉庫
首都圏 285 棟 (計:12,815,806.41㎡ )
関西圏 67 棟 (計:4,219,591.08㎡ )
九州圏 24 棟 (計:742,891.69㎡ )
中部圏 21 棟 (計:879,058.49㎡ )
中小型倉庫
首都圏 906 棟 (計:732,733.25㎡ )
〇用語定義
大型倉庫 :総賃貸面積1万㎡以上の賃貸物流施設
中小型倉庫:総賃貸面積3,305.8㎡(1,000坪)未満(当社管理のみ)
空室率 :調査時点での空室の割合(空室面積÷総賃貸面積)
〇マーク凡例
☀=空室率5%未満
☁=空室率5%以上10%未満
☂=空室率10%以上
※本レポートは、株式会社シーアールイーが調査対象に関する情報をお伝えすることのみを目的として作成した資料です。
※掲載された内容は、作成時における当社の見解や予測、また関係者へのヒヤリングを基に作成したものであり、将来の市場変動等を保証するものではありません。
※本レポートに掲載された一切の権利は当社にあります。当社の事前の了解なしに転用・複製・配布することはできません。